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12月04日-04号

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  1. 尼崎市議会 2009-12-04
    12月04日-04号


    取得元: 尼崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-04
    平成21年 12月 定例会(第4回)        第4回尼崎市議会会議録(定例会)第4号-----------------------------------◯議事日程    平成21年12月4日 午前10時 開議第1         質問第2 議案第135号 訴えの提起について-----------------------------------◯出席議員 1番     明見孝一郎君 2番     和田周治君 3番     眞田泰秀君 4番     土岐良二君 5番     丸山孝宏君 6番     吉岡健一郎君 7番     田中淳司君 8番     高濱黄太君 9番     鬼塚三代君10番     土田裕史君11番     森村太郎君12番     福島さとり君13番     開 康生君14番     上村富昭君15番     寺坂美一君16番     丸岡鉄也君17番     須田 和君18番     酒井 一君19番     真崎一子君20番     広瀬早苗君21番     北村章治君22番     宮城亜輻君23番     杉山公克君24番     真鍋修司君25番     前迫直美君26番     津田加寿男君27番     上松圭三君28番     蔵本八十八君29番     弘中信正君30番     都築徳昭君31番     辻  修君32番     義村玉朱君33番     塩見幸治君34番     小柳久嗣君35番     安田雄策君36番     仙波幸雄君37番     北村保子君38番     荒木伸子君39番     波多正文君40番     寺本初己君41番     高岡一郎君42番     田村征雄君43番     松村ヤス子君44番     早川 進君-----------------------------------◯議会事務局事務局長          辻本 守君事務局次長         高見善巳君議事課長          中村知章君-----------------------------------◯地方自治法第121条の規定による出席者市長            白井 文君副市長           中村 昇君副市長           江川隆生君企画財政局長        岩田 強君総務局長          森  進君協働推進局長        鶴田 茂君環境市民局長        浅野悟郎君医務監           大橋秀隆君健康福祉局長        山本博久君こども青少年局長      吹野順次君産業経済局長        芝 俊一君都市整備局長        衣笠年晴君消防局長          吉田 寛君水道事業管理者       森山敏夫君自動車運送事業管理者    阿万幸雄君企画財政局総務課長     白畑 優君教育委員会委員長      仲野好重君教育長           村山保夫君選挙管理委員会委員長    桑田茂樹君代表監査委員        須賀邦郎君-----------------------------------(平成21年12月4日 午前10時 開議) ○議長(蔵本八十八君) これより本日の会議を開きます。 日程に入るに先立ち、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において真崎一子さん及び松村ヤス子さんを指名いたします。 この際、事務局長から諸般の報告をさせます ◎事務局長(辻本守君) 御報告いたします。 現在の出席議員は44人であります。 次に、本日の議事日程は、配付いたしましたとおりであります。 報告事項は以上であります。 ○議長(蔵本八十八君) 日程に入ります。 日程第1 質問を行います。 昨日に引き続き、順次発言を許します。 荒木伸子さん。   (荒木伸子さん 登壇) ◆38番(荒木伸子さん) 皆様、おはようございます。新政会の荒木伸子でございます。朝一番ですので、初めてです、ちょっと緊張しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、市長の政治姿勢についてお伺いしてまいりたいと思います。 ことしは天皇御即位20年であり、ベルリンの壁の崩壊から20年であります。児童の権利に関する条約が国連総会で採択されて20年、そしてアメリカではオバマ大統領が誕生し、EU初代大統領にベルギー首相のファン・ロンパイ氏が選出されました。日本では、明治以来初めて、官僚主導政治の打破を訴えた民主党が政権をとり、自公政権から民主党へと政権交代が行われました。まさに記念の年であり、激変の年と申し上げることができるのではないかと思っています。 さて、ここ尼崎市では、白井市長が就任されて7年目に当たります。1期目は、尼崎市を変えると訴えられ、当選されました。そして、2期目は、もっともっと変えようと再度挑戦され、10万票にも上る票を獲得され、見事当選されたのであります。 まず、就任当初から政治家としてさまざまな活動をされてこられましたが、7年間を振り返られて、どのような思いあるいは感慨を持たれておられますでしょうか、お答えください。また、この7年間、尼崎市をどのように変えてこられたのでしょうか、いいことも悪いことも含めてお答えください。 白井市長のあいさつは常に、さまざまな事例の紹介であり、市民の間ではとても評判がよく、私も感心することが多くあります。しかし、事例の紹介だけに終わり、それらが市政運営にどのように組み込まれていくのかは全く見えませんでした。市民と共通の価値観を共有し、現実を変えていくためにも、言葉の力は大変重要になってきます。行政のトップとして、行政運営の責任者として、市民に市政に対する思いを伝え、財政の窮状をもっと訴えるべきであったと思います。 3年前の市長選で、おたがいさま、おかげさまの精神を訴えられましたが、時宜を得た判断だと思ったものです。しかしながら、いろいろな場面での市長のあいさつには、それはほとんどなかったのではないかと記憶しています。 そこでお尋ねしますが、おたがいさま、おかげさまの精神が浸透する社会とはどのような社会なのでしょうか、また、その実現に向けてどのように努力されたのでしょうか、お答えください。 私は、そのような社会が構築されているのであれば、今回の厳しい22年度の改革改善項目等にも理解があったのではないかと思います。税の再配分とよく職員は申しますが、納税者にとっては、そのような意識は余り見られず、税を納めても何の意味もないとため息が漏れる始末です。今後、「足による投票」が目に見える形で起こるのではないかと懸念いたします。 次に、まちづくりについてお伺いいたします。 世界の都市の5分の1が人口減少社会に入っていると言われています。そして、日本でも、平成17年から18年に、人口10万人以上の都市の約半数が人口減少都市になっています。そして、尼崎市では、昭和46年の人口55万3,241人をピークに減少を続けてきました。特に南部の人口減少が著しく、近年になって北部も人口減少が始まりました。 自然増加数は昭和45年の1万783人をピークに減少し続け、平成19年にはわずか51人、20年には61人と心細い限りであります。一度だけですが、平成17年には自然増加数の減が起きています。社会増加数の減は昭和44年から続き、平成20年にやっと739人ですが社会増加数がプラスに転じました。このときの人口は46万1,202人です。これは明倫中学校跡地にできたマンションの効果によるものであります。 このような状況から見れば、既に尼崎市は数十年前から人口減少社会であり、都市が縮小してきたと言えます。幸いにもそれが意識されなかったのは、競艇事業の3,300億円にも上る収益が都市に潤いをもたらしてきたからであります。 都市計画をめぐる議論では、縮小都市というのは、都市のかなりの部分で人口減少に直面し、一方で構造的な危機的状況を伴いながら経済構造の転換を経験している高密度人口の都市域を指して使われています。世界の4分の1以上の都市圏で1990年代に衰退が起き、現在でもふえ続け、縮小都市化は、アメリカの90工業都市域、日本、そしてヨーロッパの特別な地域など、一定のところに集中しているようです。 人口縮小の結果を顕著に受けとめ、都市の縮小化現象において、今日までのような成長志向の都市政策や都市計画を見直し、そこから転換することが求められていると思います。 そこでお尋ねしますが、縮小都市とも言える本市の都市運営を今後どのように考えておられるでしょうか、お答えください。総合計画審議会の資料にも縮小の時代を意識されていますが、本市の考え方をお聞かせください。 改正中心市街地活性化法に基づく基本計画は、活性化実現のための精微な論理、詳細な情報分析、5年後の目標達成が課されましたが、縮小都市とも言える本市において、平成20年7月9日認定の尼崎市中心市街地活性化基本計画では、どのように尼崎市の中心市街地の活性化を図っていこうとしておられるのでしょうか、お答えください。その当時、縮小都市という考え方は余り見受けられなかったと思います。1年が経過していますが、その進捗状況もあわせてお答えください。 市民の間では、中央商店街はもう商店街ではない、市場であるという認識が広がっています。先日、神戸市で、ユネスコ・デザイン都市フォーラム in KOBEが開催されました。ここで世界のデザイン都市の代表者が初めて一堂に会し、各都市の多様な取り組みや今後の展望が紹介されました。 創造都市ネットワークとは、グローバル化の中でも文化的表現の多様性を目指すユネスコが、文化的な産業の振興により都市の活性化を目指す創造都市の連携と相互交流を援助するために、2004年に創設したものです。ベルリン、モントリオール、ブエノスアイレス、名古屋、深■、そして神戸の各都市から発表がありました。主催地の神戸市では、景観をデザインして都市の再生を図り、観光に力を注ぐとしています。 興味深かったのは、ベルリンのイェルク・ズアマン氏の発表です。40年間、東ドイツと西ドイツの文化は全く別であった。しかし、ベルリンの壁の崩壊後、旧東ドイツの工業部門の仕事は60%減少したが、自由になり、経済構造の変化に伴い、創造的なデザインが表現されるようになった。会社を設立し、ベルリンの壁付近の使用されなくなった古い工場跡のビルをオフィスにして活動している。ベルリンではクリエーティブ産業関係の企業は2万2,900社、16万人に雇用を創出し、175億ユーロ、実にGDPの21%を占めている。創造産業部門の成長率は5ないし10%であり、人こそがより強い都市を生み、お互いの交流が大切であるということでありました。 そのほか発表されたことは、都市は失敗したときにこそ都市は考える。マイナスからの立ち上がりに創造都市戦略は有効である。デザインという考え方が少しずつ変化してきた。プロダクトからアートへ、そして環境へと、まちと暮らし、ものづくりをデザインを意識して築くようになった。暮らしとデザインをより身近にできるか、きっかけづくりが要るとの発言がありました。 そこでお尋ねしますが、今後、本市のまちづくりにおいて、都市をデザインするという考え方を取り入れ、人々のアイデアを生かしていくべきと思いますが、どうでしょうか、お答えください。 昨日、前迫議員が運河再生と産業について質問されましたが、まちづくりの観点から、運河再生について質問してまいります。 平成19年4月、尼崎運河は、国土交通省の運河を核とした魅力ある地域づくりへの取り組みを支援する運河の魅力再発見プロジェクトの認定を受けました。地域と港湾管理者等が主体となって、運河の魅力を再発見し、地域の特性を生かした水辺のにぎわい空間づくりや水上ネットワークの構築、防災機能の強化等を図り、運河を核とした魅力ある地域づくりを進める取り組みです。 尼崎運河再生による魅力ある港づくり、これは尼崎西宮芦屋港、鶴町地区は、みなと振興交付金による事業であります。21世紀の尼崎運河再生プロジェクトの目標である、自然と人と産業との良好な共生関係による持続的発展が可能な“21世紀の環境先進都市”の創造の実現を目標に、係留施設等の施設整備を行い、魅力ある親水空間を創造し、尼崎臨海部の活性化を図る事業であります。 計画期間は平成20年度から平成24年度、総事業費5億5,000万円、そのうち交付金2億4,400万円であります。平成20年度事業費は2,000万円、21年度5,200万円、整備内容は、基幹事業として、係留施設、緑地等であります。提案事業として、情報提供施設、社会実験、舟運とか環境学習が挙げられています。 そこでお尋ねします。 政府の行政刷新会議が手がけた事業仕分けが終了いたしましたが、当初、みなと振興交付金が見直しの対象事業に入っていましたので、その結果が大変気になるところですが、その結果はいかがだったのでしょうか。また、今後の事業の行方についてもあわせてお答えください。 尼崎運河再生による港づくりは、企業が独占して利用してきた2kmにも及ぶ運河を市民にとって身近なものに再生し、多くの人々との出会いやにぎわいの創出、企業とのコラボレーションによる環境の再生等により、運河を中心に、まちの活性化を図るものであります。レクリエーションの場、健康増進の場、憩いの場、地域貢献の場、教育の場、生涯学習の場、交通の場、運河地域の魅力アピールの場として、多様な年齢の市民の利用を図る計画であります。また、他都市から多くの人々が訪れる観光の場として発展する可能性をも秘めています。 この運河再生事業は、未来の尼崎市を産業都市として、しかも人と企業とのコラボレーションによる観光都市として再生できるのではないでしょうか。このためには、まず、人がこの周辺に住み続けることが必要になってまいります。現在、運河周辺は工業専用地区であり、建築基準法上は、住居、物販店等、工場の操業環境を阻害する用途の建築は禁止されています。また、南部臨海地域は工業保全地域でありますので、用途地域を変更することができません。しかし、これは現時点の話であります。 先ほど私は縮小都市について申し上げました。人間の居住空間はいつも変化し、長時間にわたって都市は衰退と成長を繰り返しています。アメリカのピッツバーグ、イギリスのマンチェスター、サルフォード市やドックランド地区の運河再生、スペインのビルバオなど、世界で多くの工業都市が再生され、人々のにぎわいを取り戻しています。いずれも環境がキーワードになっています。かつて石炭の積み出し港として栄えた門司港も、門司港レトロとして姿を変え、観光に力を注いでいます。この再生には、市はもちろんのこと、多くの市民団体やNPO、商工会議所、企業等がネットワークを組み、まちづくりに取り組んでいました。 そこでお尋ねしますが、運河再生によって、尼崎市を産業都市のみならず、観光都市として目指すためにも、人間の英知を結集し、運河地区に人々が住むことができる可能性を探求されてはいかがでしょうか、お答えください。法律は人間が決めたものであります。 次に、まちづくりの観点から、若葉小学校の統廃合についてお尋ねいたします。 今まで私は、縮小都市、運河再生についてお尋ねしてまいりました。未来のまちづくりを見据えた観点から、統合についてのお考えを聞いてまいります。 これまでの経過を踏まえますと、教育委員会の若葉小学校を西小学校に統合されるお考えは変わっていないようですが、単に児童数が少なくなっているから統合する、これは非常に短絡的な考え方であります。43号線以南にある小学校は、若葉小学校のみであります。 過去には、石炭から石油へとエネルギーの転換が一部の都市を衰退させました。しかしながら、今度は石油からクリーンエネルギー、原発エネルギーが、都市を変貌させるかもわかりません。現在は経済のグローバル化が産業構造の転換を余儀なくしており、企業も、世界を視野に入れた活動を行わなければ、生存競争に打ち勝てない状況になっています。日本の製造業は、国内や欧米から新興国へと投資をシフトしています。トヨタ自動車やコマツ、住友金属、三井化学、日立製作所、ブリヂストン、JFEスチールなどであります。 産業都市としていつまでもその地位を保持できるのか、予断を許さない状況だと思っています。43号線以南に工場の流出による空地ができないとも限りません。それはないと保証できるのでしょうか。その空き地に企業誘致をすればよいとでも考えておられるのでしょうか。そのような考え方をいつまでも持たれるようであれば、縮小都市における都市再生の道は閉ざされます。 運河再生を観光の目玉商品にするためにも、住宅建設は必要であります。住宅建設が可能になったときに、小学校がないという事態になれば、どなたがその責任を負われるのでしょうか。若葉小学校の校区再編を考えれば、残すことも可能であります。現在の校区をそのまま残して統合する、余りにも無策ではないでしょうか。道意町は古い賃貸の木造長屋が多く存在しますが、それらや資材置き場がどんどん戸建て住宅用地として活用され、現在も戸建ての建て売り住宅が建設中であり、まちの風景が変わりつつあります。 そこでお尋ねしますが、43号線以南の若葉小学校を、まちづくりの観点から、その核として残す可能性はないのでしょうか、お答えください。また、以前に、若葉小学校と啓明中学校を統合し、教育特区をつくり、南部に光を当ててはと質問しましたが、その検討結果はどうなりましたでしょうか、あわせてお答えください。 以上で第1問を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) 荒木議員の御質問にお答えいたします。 まず、市長就任以来7年間を振り返って、どのような思いか、また尼崎市をどのように変えてきたのかというお尋ねでございます。 私は就任以来、多くの市民の方々と直接意見交換する場を持ったり、活動の現状を直接拝見することができました。本市の状況を知り、課題を理解した中で、さまざまなグループ、活動団体は、それぞれの抱える問題を乗り越え、地域を見守り、はぐくむ取り組みを継続してくださっています。さらに、市民の皆様のお一人お一人が、尼崎市のことを、このまちのことを真剣に考えてくださっている、この未来のことをともに考えてくださっていると実感することが多々ございます。何かに取り組むと、うまくいかないことやこんなはずではなかったと感じることも多いと思うのですが、避けたり、逃げたりせず、休み休みでも努力を続けてくださっており、そのことで大きく成長される姿も拝見してまいりました。まさに我がまちの宝は人であると思っております。 しかし、一方で、全く市政に関心のない方がふえているのも事実であり、まちづくりや地域づくりにはまだまだ課題があると認識しております。また、行財政の改革に力を注いでまいりましたが、本来のあるべき財政の健全化の状況には至っておらず、今後とも最優先すべき課題であると考えております。 次に、おたがいさま、おかげさまの精神が浸透する社会とはどのような社会なのか、またその実現に向けてどのように努力してきたのかというお尋ねでございます。 私は、市長就任2期目で取り組むべき基本政策の一つとして、おたがいさま、おかげさまの地域づくりを掲げ、地域の中でだれもが生き生きと暮らせるまちづくりを目指してまいりました。地域における人間関係が希薄化している中、おたがいさま、おかげさまとは、そうしたコミュニティーの形成に向けた目指すべき方向性を表現したものであり、地域の皆様一人一人が助け合い、支え合い、そして感謝の気持ちを持って行動し、地域社会の一員としての責任を果たしていくことにより、安心、満足して暮らせる社会を築くことができるものと考えているところでございます。 私は、こうした地域社会の実現に向け、平成19年度に、市民の皆様にも参画していただいた中で策定いたしました協働のまちづくりの基本方向に基づき、協働を進めるための意識づくりやまちづくりに関する情報の共有化、市政への市民参加・参画の推進などに取り組んできたところでございます。 ○議長(蔵本八十八君) 江川副市長。 ◎副市長(江川隆生君) 縮小都市とも言える本市の都市運営を今後どのように考えているのかというお尋ねに御答弁申し上げます。 本市の人口につきましては、長年の減少傾向に歯どめがかかり、昨年以降、わずかながら増加の傾向が見られるものの、中長期的には、国の推計と同様に、減少していくものと思われます。また、人口は、総数だけではなく、その年齢構成が都市運営の視点からは重要な要素でございまして、今後、少子高齢化の進行とともに、生産、消費、納税等の社会経済活動の多くを担う生産年齢人口は減少する一方で、高齢者の増加によりまして、福祉、医療を初めとする社会保障等に関する需要の一層の増加が見込まれます。 このような中、都市機能を維持し、安心して暮らせるまちづくりを進めていくためにも、財政基盤の確立とともに、住民自治基盤を確立していくことが大きな課題となってまいります。現在、本市におきまして、行財政改革に取り組んでおりますが、同時に、地域において多様な主体が協働し、より一層相互に助け合い、支え合う、豊かな関係ができること、そしてこれらを支える人材が育つことが今後ますます重要になってまいりますことから、本市といたしましては、こうしたことの実現に向けまして、市民、団体、事業者の皆様とともに考え、取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 芝産業経済局長。 ◎産業経済局長(芝俊一君) 尼崎市中心市街地活性化基本計画ではどのように中心市街地の活性化を図っているのか、また認定から1年経過しているが、その進捗状況はどうかというお尋ねでございます。 尼崎市中心市街地活性化基本計画は、人口減少社会の到来などに対応するため、都市機能を中心部に集積させ、にぎわいあふれるコンパクトシティーを実現するといった国の方針にのっとり、策定したものでございます。この基本計画では、商業活性化の推進による魅力ある生活拠点の形成、産業支援策の推進によるビジネス機会の創出、地域資源を活用したまちづくりの推進の3つの方針を打ち出しております。この方針のもと、これまでの中心市街地における都市集積や歴史的・文化的資源など本市が誇る地域の資源を最大限に活用することなどにより、人、物、情報が集い、にぎわいと活力あふれるまちとなるよう取り組んでいるところでございます。 また、これらの進捗状況につきましては、ICカード活用商店街活性化事業など、一部、現時点では検討中のものもございますが、おおむね予定どおり進んでいるところでございます。今後におきましても、商工会議所を中心に、関係者で構成される中心市街地活性化協議会のもと、それぞれの事業主体間の連携強化を図りながら、計画を推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) 本市のまちづくりにおいて、都市をデザインするという考え方を取り入れ、人々のアイデアを生かしていくべきと思うが、どうかというお尋ねでございます。 御質問において例示されました都市のありようを見ますと、まちづくりを進めるに当たりまして、デザインという考え方は、単にどのような町並みにしていくのかといったことだけではなく、市民や企業の創造性を引き出す仕組みを構築し、地域の個性をより生かした新たな魅力と活力を引き出していくことにより、都市の活性化に結びつけていこうとするものと認識をいたしております。 これまで本市におきましても、都市をデザイン化していくことに通ずる考え方といたしまして、現在の第2次基本計画において、生活の質的向上、地域経済の活性化、地域資源と市民活動に着目した都市魅力の向上など、都市の施策の展開に当たり重視する視点を定め、地域資源を活用したまちの活性化に向けた取り組みを進めるとともに、秀でた技術、デザインを生かした地元の製品や特色ある商品を発掘し、新たなものづくりイメージを発信していくなど、市民、事業者と協働で個性と魅力あるまちの実現を目指してまいりました。取り組みはいまだ十分ではございませんが、こうした考え方については今後のまちづくりに受け継いでいかなければならないと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 衣笠都市整備局長。 ◎都市整備局長(衣笠年晴君) みなと振興交付金については、国の事業仕分けの対象事業に入っていたが、その結果はどうなったのか、また今後の事業の行方についてはどうかというお尋ねでございます。 行政刷新会議ワーキンググループが11月12日に実施をいたしました事業仕分けにおきまして、みなと振興交付金は、まちづくり交付金といった他のまちづくり関連事業とともに議論をされまして、その評価結果といたしましては、実施は各自治体、民間の判断に任せるという結論がなされております。しかしながら、この評価結果が当該事業に対する最終判断ではなく、御存じのように、新聞報道にもありますように、状況も変化していることから、今後もその動向について注視していきたいと考えております。 次に、運河地区に人々が住むことができる可能性を探求してはどうかというお尋ねでございます。 本市臨海地域では、扇町地区などで低未利用地が増加していたことから、平成9年度に策定をした都市計画マスタープランや尼崎21世紀の森構想では、蓬川以西の臨海西部地域を、既存工業の操業環境を維持しつつ、居住、商業、アメニティー等の機能が複合する土地利用に変化していく地域と位置づけております。 その後、社会経済情勢が変化し、松下プラズマ工場などの立地が続いておりますが、一方で、尼崎の森中央緑地の整備が進むとともに、平成19年度からは21世紀の尼崎運河再生プロジェクトがスタートするなど、臨海地域を訪れる市民の方々がふえてきております。 現在の土地利用の状況では、御質問のように、運河の周辺を居住地域に変更することはできませんが、当面は、訪れた人に対する飲食、物販、サービス施設などの実現に向けて、兵庫県とともに、限られたエリアにはなりますが、段階的に取り組んでいきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 村山教育長。 ◎教育長(村山保夫君) まちづくりの観点から若葉小学校を残す可能性はないのか、また、以前、教育特区、小中一貫校ですけれども、それをつくる質問をしたが、その後の検討結果はというお尋ねでございます。 まず、まちづくりの観点から若葉小学校を残せないかとのお尋ねでございますが、現在進めております小中学校の適正規模等推進計画は、子供たちの良好な教育環境の創出を目指し、その実現に向けて推進しているものでございます。現在のところ、若葉小学校は、市内で最少の児童数で、各学年1学級しかない状況でございまして、今後、若葉小学校の児童数が増加し、過少規模が解消される状況ではございません。 次に、前回の質問以降、小中一貫校を実施しております先進都市、品川区でありますとか、この周辺でしたら京都市あるいは姫路市ですけれども、そういったところの視察を行い、情報収集に努めますとともに、小学校と中学校のなめらかな接続に向けての検討を行ってまいりました。その結果、小中一貫校は、小中学校両方の教員免許を持つ教員の確保やハード整備面に多額の経費がかかるという課題があることから、本市におきまして、今年度から、小中連携のモデル校区を2カ所指定し、調査研究を開始したところでございます。今後、小中連携の有効性について十分分析等を行いまして、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 荒木伸子さん。   (荒木伸子さん 登壇) ◆38番(荒木伸子さん) 教育長から御答弁ありました。子供に良好な教育環境を残すため……。一体どういうことが良好なんでしょうか。子供に目が行き届く少人数のほうがよっぽど良好ですわ。単なる人数で統廃合するという考え方をもう一度改めてもらいたいと思います。東京都では、1学年20何人、本当に少ない学校がいっぱいあります。それでも学校は存続しています。子供たちにとって何が重要なのか。健全な育成をするのは大事です。本当に統合すれば健やかに育つというんでしょうか。私はそれについて疑問であります。 それと、人口の回復の見込みができないとお答えありましたけれども、現場を見てもらいたいと思います。多くの建て売り住宅ですけれども、建っていってるんです。そこには若い人がいっぱい住んできています。そんな現場も見ないで、単なる現在の児童数で判断をされるというのは、大変そこに無理があると思います。それだけは申し上げておきます。 引き続き、まちづくりについてお尋ねしてまいります。 平成18年4月1日から10月29日までの間、日本で初めてのまち歩き博覧会、長崎さるく博が開催され、延べ723万人の参加がありました。その経済効果は800億円もあったそうであります。3年間で、職員の人件費、インフラ整備など9億円の経費がかかっています。この博覧会は、まちを見るだけの博覧会です。基本方針は、市民プロデューサーによるプロデュースですが、当初は観光関係者のほとんどが否定的でありました。実際に42のコースをつくって、ふたをあけてみると、大変なまち歩きブームになり、観光の質を変えたと各方面から評価されています。 我が尼崎市でも、11月14日に、大庄まちづくり懇話会主催の第1回歴史探訪ほんわか大庄めぐり~旧中国街道を歩こうが行われました。この事業費は、あまがさきチャレンジまちづくり事業費10万円を活用したものであります。参加者41名、そのうち高校生11名、学校の先生2名の参加があり、参加者からは、住んでいるまちが違ったものに見えた、知ることによってまちの受けとめ方が随分違った等の感想が寄せられ、成功裏に終了しております。 そのほか、中央地域振興連携推進会議生涯学習部会主催で、寺町の寺院見学と尼信博物館めぐりの寺町かいわい歴史探訪、コミュニティルーム武庫運営委員会主催の武庫地区歴史ポイントラリーが行われ、また自然と文化の森協会主催による、我がまち再発見近松の里と銘打って、園田の風景を楽しみながら、歴史遺産をウオッチングしています。また、ふるさと探訪市民ウオーク実行委員会主催で、文化財収蔵庫、ユニチカ記念館、寺町等の探訪市民ウオークが開催されています。そのほか、尼崎市立地域研究史料館やちかまつ・文化・まち情報課主催で、築地、寺町のウオークラリーや、「中国街道(常光寺~大物)を歩く」があります。 このように、各地域でさまざまな歴史探訪が開催されています。これ以外にも、各地域に歴史的遺産や資産が多く存在します。例えば尼崎ミレニアム遺産100選には多くの地域資産が選出されています。これらを市民全体によるまちおこしに活用し、市民にまちの再発見を促すことが、まちへの愛着の醸成につながると考えています。 そこでお尋ねしますが、これらの地域資産を活用して、尼崎が動くと題して、各地域で別々に行われているまち再発見ウオークを、わがまち再発見ウオーク・歴史探訪まち歩き博の開催を考えてはいかがでしょうか、お答えください。 19世紀末にイギリスで活躍した芸術家であり、社会活動家であったウィリアム・モリスは、生活の芸術家を唱道いたしました。それがアート・アンド・クラフト運動となったのであります。私は数年前に、瀬戸内海の直島を訪れたことがあります。その島には、安藤忠雄設計のホテル兼美術館のベネッセハウスが島の南部分にあり、広大な庭園に多くの現代アートが展示されています。また、安藤忠雄設計による地中美術館もあり、直島は現代建築と現代美術館の新名所として広く世界じゅうに知られています。 これには巨大な資本が投下されていますが、それよりも私が驚いたのは、市民一人一人が芸術家だったことです。普通の民家にしゃれたデザインののれんをかけたり、手づくりの表札が掲げてあったり、空き家を改装して美術品の展示場にしたり、植木の手入れが行き届いていたりと、市民の工夫が至るところで見られました。しかし、華やかな島の部分とは裏腹に、島のあとの半分は、三菱マテリアルの銅製錬所や有価金属リサイクル施設が多くあり、そして工場施設も多くありました。直島町では環境調和型まちづくりを目指していますが、光の部分と影の部分の対照が余りにもはっきりしているのには驚きました。 そこでお尋ねしますが、芸術家や建築家といった専門家だけに創造をゆだねるのではなく、生活者である市民の一人一人がみずからの生活につくる喜びを取り入れ、豊かに暮らす生活を目指せば、住民の意識を大きく変容させることができると思います。身近な町並みに美術を感じることができるようになれば、いまだに他都市の市民が持っている公害のまち、競艇のまちという都市のイメージを変えることにもなると思いますが、いかがでしょうか、お答えください。 これにはさほどの資金も要らないと思います。また、市民生活に文化の芽をはぐくむことにもつながるのではないかと思います。これらの成果をまち歩きに活用することもできますし、メイドイン尼崎の商品をそのコースに組み込むこともできると思います。要するに、これらの思いをいかに行政が市民生活の中に仕組んでいくかであります。この拠点に支所が力を発揮するときが来たと思っています。 まちづくりについていろいろ質問してまいりましたが、まちづくりには人がかなめになってくると思います。先ほど市長もそのようにおっしゃっておられました。人材の育成も必要になります。この拠点に支所がなり得るのであります。地域分権を進めるに当たって、地域拠点にさまざまな機能と材を集約し、その拠点として、現在は建物の総称としている各支所を復活すべきと考えます。 そこでお尋ねしますが、建物の総称としている支所にさまざまな機能と材を集約し、さらなる地域分権の拠点として再構築されてはいかがでしょうか、お答えください。 次に、行財政運営についてお伺いしてまいります。 平成14年に白井市長が就任して以来7年が経過していますが、財政は一向によくなるどころか、悪化の一途をたどっています。初当選当時は、公約の実現もあり、平成14年10月策定の経営再建プログラムの見直しが行われ、5カ年の影響額は6億9,900万円の効果額の減となり、影響額に対しては5カ年の収支改善計画の中で対処しています。財政再建団体への転落を回避して、息つく暇もなく、今回の改革改善項目を市民が知るにつれ、落胆の声が上がっています。この7年間の行財政運営を検証してみる必要があると思います。 宮田前市長の時代には、失われた10年と言われ、既に、大量の団塊世代の退職問題、多過ぎる職員数、扶助費の問題、競艇事業収益の減等がこれからの行財政運営に大きな影響を与えると懸念されていました。それで、経営再建プログラムの提案となったのであります。たしか米田議員だったと思いますが、既に、入るをはかりて出るをなさねばだめだと本会議場でも指摘されておられました。まさにこれは収支均衡のことを指しているのであります。白井市長の時代には、エヌピーエムの導入、枠配分、枠配分による予算のカット等があり、少子高齢化社会は当然予知されたことであります。 そこでお尋ねしますが、かなり努力した形跡が見られるにもかかわらず、尼崎市が早期健全化団体になる可能性が高くなっておりますが、その要因は何か、それを回避するためにどのように対応されてきたのか、またその結果はどうであったかについてお答えください。行財政の推進プログラム、あれは単なるプログラムです。全体に運営をどうするかという、私がここで申し上げているのは、7年間のことを申し上げております。そして、宮田市長の時代には既に指摘されていたということも含めて申し上げておりますので、そのことも考えた上で御答弁願いたいと思います。 大阪府泉佐野市は、地方公共団体財政健全化法で財政破綻寸前とされる早期健全化団体になることが確定と発表いたしました。同法は、国や都道府県が関与することで財政再建を確実に進めることを目的とし、平成20年度決算に基づき、平成21年度から施行されています。泉佐野市は、平成20年度決算で連結実質赤字比率が26.42%、基準は17.44%であります。将来負担率が393.5%、基準は35%となっています。その基準を超えています。財政健全化計画書の計画期限は、20年間となっています。 財政規模に応じて基準の数値が異なりますが、尼崎市の場合、早期健全化基準は、実質赤字比率11.25%、連結実質赤字比率16.25%、実質公債費比率25.0%、将来負担比率350%であります。4つの指標のうち、いずれか1つでも基準を超えた場合は、早期健全化団体となります。20年度決算では、実質赤字比率と連結実質赤字比率はともに黒字、実質公債費比率10.4%、将来負担比率205.8%でありました。 そこでお尋ねしますが、将来負担比率205.8%を、西宮市101%、姫路市102.5%のように、例えば100%-平均値は101.3%でございますが、100%に近い状態とするには、尼崎市はどのような対策を講じなければならないのでしょうか、お答えください。 また、監査委員が審査意見書で、将来負担額3,724億円の約7割を占める市債残高2,681億円の計画的な削減は重要課題であると指摘されていますが、自転車操業とも言える現在の著しい財政運営の状況下にあって、果たして指摘されるとおりにできるのかと疑問がわきます。そこで、こうした計画を策定するとすれば、どのような計画になるのでしょうか、お答えください。 以上で私の質問はすべて終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 浅野環境市民局長。
    ◎環境市民局長(浅野悟郎君) 地域資産を活用し、各地域で行われている、わがまち再発見ウオーク・歴史探訪まち歩き博といったものを考えてはどうかとのお尋ねでございます。 御指摘のとおり、歴史的遺産を含めた地域資源を再発見し、まち歩きをするといった活動は、従来から数々行われておりまして、さらに近年、従来型の観光ではなく、まちのさまざまな魅力を体験する都市観光も注目されております。こうした中、本市におきましては、あまがさき・街のみどころご案内事業を通して、まちの再発見を促す情報の発信やまち歩きの提案を行う中で、まち歩きを楽しみ、地域の資産を見直す機運を醸成してまいりたいと考えております。 次に、市民の日常につくる喜びを取り入れることで、身近な町並みに美術を感じられるようになり、まちのイメージを変えることにもなるとのお尋ねについてでございますが、近年、まち歩きの催しやボランティアガイドの活動、情報誌の発刊、商業施設のオープンなどで、他都市の方が本市を訪れる機会がふえてきております。こうした状況のもと、市民みずからが我がまちのよさを再発見し、地域資源の見せ方を工夫するなど、さらによいまちにしていく機運を醸成することも大切であると考えております。市民の中にこうした機運が高まることにより、町並みに美術を感じられるような活動へとつなげていくことも可能になると考え、その第一歩として、まち情報の発信を進めているところでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) まず、まちづくりには人材の育成が必要であり、その拠点に支所はなり得る、支所を地域分権の拠点として再構築してはどうかというお尋ねでございます。 支所につきましては、平成18年の機能見直し以降、3年半以上経過していることを踏まえまして、現在、各支所の地域振興、地域保健などにおける機能見直しの効果や問題点、課題等、業務に視点を当てた検証を行っているところでございます。今後、その検証結果をもとに、地域における各機能のあり方について検討してまいりますが、その際には、地域にある諸施設全体を見渡し、他の施設の活用なども踏まえた上で、議員御指摘のまちづくりのかなめとなる人材育成の観点も含め、さまざまな角度から検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、行財政問題についてのお尋ねでございますが、まず、これまでかなり努力してきた形跡は見られるにもかかわらず、尼崎市が早期健全化団体になる可能性が高くなってきたが、その要因は何か、また回避するためにどのように対応してきたのか、その結果はどうであったのかという数点についてのお尋ねでございます。 本市は、平成15年度から、経営再建プログラムに基づき、人件費等の内部管理経費の見直しを中心に、300項目を超える改革改善に取り組むとともに、平成20年度からは、“あまがさき”行財政構造改革推進プランに基づき、実質的な収支均衡の実現を目指し、行財政の構造改善に取り組んでまいりました。しかしながら、現在の本市の財政は、早期健全化団体への転落も危ぶまれるほどの状況にございます。 その要因といたしましては、まず景気の変動や国・県等による改革等の外的要因の影響を受けやすい、こういった硬直化した財政構造にあること、そしてまた経営再建プログラムでは先送りしてきたような外郭団体の建設償還金の繰り延べを初め、都市開発公社健全化の取り組みといった多額の負債の償還に、特にプラン期間以降において本格的に取り組んでいることなどが挙げられます。さらに、地方交付税改革を初めとする国の三位一体改革など、結果的に国の取り組みが地方財政に大きな影響を与えたことも、本市財政の構造の悪化の大きな要因と考えております。 実質的な収支均衡の実現は決して容易な目標ではございませんが、将来に負担を先送りすることなく、財政規律を守る中で間断なく構造改善に取り組むことこそが、本市に課せられた最重要課題であると考えており、今後におきましても、プランに基づき、構造改善に向けた取り組みを大胆かつ強力に推し進めてまいります。 次に、将来負担比率を100%近い状態とするには、本市はどのような対策を講じなければならないかというお尋ねでございます。 御指摘にございましたように、本市の将来負担比率は平成20年度決算で205.8%でございます。これを100%近い状態にするには、都市計画税など公債費に充当可能な財源に変動がないと仮定した場合でございますが、おおむね900億円の将来負担額の縮減が必要となりますが、これは平成21年度の一般会計の当初予算規模約1,800億円の50%にも及ぶ規模でございます。将来負担額の急激な縮減は困難であると考えております。 しかしながら、本市の極めて厳しい財政状況の中では、将来負担額を着実に縮減していかねばなりません。そのためには、負債抑制の観点から、通常事業の市債発行額は元金償還額以内を基本、こういったことをしていくほか、その他の負債につきましても計画的に償還していく必要がございまして、行財政構造改革推進プランで定める財政規律の確保が重要であると考えております。 最後に、将来負担額の約7割を占める市債残高の削減計画を策定するとすれば、どのような計画になるのかというお尋ねでございます。 現在、本市の財政状況では、市債残高の縮減について、一定の一般財源を確保いたしまして、目標年度あるいは目標金額といった数値を明記した上で、そういった計画を策定することは困難であると考えております。しかしながら、負債残高の縮減は財政運営上重要な課題でございまして、先ほど申し上げましたように、プランに掲げる財政規律の一つであります通常事業の市債発行額は元金償還額以内を基本、こういったことを守る中で、着実に市債発行の抑制、残高の縮減に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 荒木伸子さんの質問は終わりました。 続いて発言を許します。 土田裕史君。   (土田裕史君 登壇) ◆10番(土田裕史君) 新風グリーンクラブの土田裕史です。3日目の質問ですので、重複する項目や内容もございますが、先輩、同僚議員の皆様におかれましては御容赦の上、御清聴くださいますようよろしくお願いいたします。 先月18日、鳩山政権の目玉の一つである子ども手当について、その目的と対象を再検討すべきであるという政策提言をOECD、経済協力開発機構が発表したことが報じられました。この提言は、日本の政策課題達成のために、OECDの貢献をテーマとした政策フォーラムにおけるものですが、成長戦略や教育、医療、介護など9分野に言及しており、その中には、地域政策と地方分権の推進についても触れられています。そこでは、より地方に根差したボトムアップ型の地域計画、意思決定過程への移行が提言されております。計測可能な目標の設定、それぞれの政府の責任の明確化、時間軸の設定とアウトカム指標の活用によって、長期の戦略的な計画と当面の政策課題を関連づけることの必要が示されております。 さて、今年度は事務事業評価の手法が大きく見直されました。その結果、これまで冊子数冊にわたって各事業別に評価されていたものが、各所管課単位のコンパクトな評価で1冊にまとまったものとなりました。 そこで、まずお伺いいたしますが、この事務事業評価手法の見直しの意図、目的は何か、お答えください。 評価表を拝見いたしましたが、何点か気になることがございますので、順次お伺いいたします。 評価項目が冒頭に示されておりますが、各課の評価を見る限りでは、基準にばらつきが見受けられます。特に事業の優先度の評価では、産業振興課のように34事業すべてについて1から34まで順位をつけている課もあれば、優先度1がずらりと並ぶ課もあります。 お伺いいたします。 どのような方針で評価を行うように指示されたのですか、また結果としてこのようなばらつきが生じた原因は何なのですか、お答えください。 評価表には数値目標を記す欄がありますが、OECDの提言でも、計測可能な目標の設定とあるように、極めて重要な項目であります。しかし、これを明記している課は非常に少ない状況です。どうしてこのような結果になったのか、お答えください。 各事務事業における協働の領域区分について、現在の区分と将来目指す区分とが明記されております。事業によっては、その区分が一致しているものもあれば、例えば市民まつり事業のように、将来目指す区分がB、市民の主体性のもとに行政の協力によって行う領域でありますが、現在はD、市民の協力や参加を得ながら行政の主体性のもとに行う領域と、乖離しているものも多くあります。この乖離については今後どのように対策がとられるのでしょうか、お答えください。 “あまがさき”行財政構造改革推進プランの柱の片方は、安定した財政基盤の確立であり、形式的な収支均衡を確保している状況から、財源対策によらない実質的な収支均衡、いわゆる財政健全化レベル3を目指すことが高らかにうたわれておりました。この考え方を平成22年度以降も守ることが改革改善項目の素案に明記されておりますので、これについてお伺いいたします。 9月の決算特別委員会でも指摘いたしましたが、実質的な収支均衡とは、言いかえれば、財源対策によらない実質赤字比率を0%とすることであります。平成20年度決算では、地方自治体財政の健全化判断比率、いわゆる4指標のうちの実質赤字比率において、会計上は黒字であるので、バー表示となっておりますが、仮に財源対策を控除すると140億円ほどの赤字を計上することになり、比率は14.8%で、早期健全化基準を超えることになると説明しておりました。ちなみに平成19年度の決算では、この財源対策を控除した実質収支額は約80億円の赤字で、実質赤字比率8.64%でありました。 経済情勢の悪化により税収が落ち込んだというのは百も承知しておりますが、前年に比べて比率が悪化しているというこの結果について、市長はどのように認識されておられるのでしょうか、お答えください。 財政健全化法では、健全化判断比率、いわゆる4指標のうちの一つでも早期健全化基準を超えた場合は、財政健全化計画を立てなければなりません。その健全化計画の内容として、各年度の健全化判断比率の見通しを定めなければなりません。 決算特別委員会で、将来負担比率を除く3つの指標については予算編成段階でのおよその試算は可能であるという答弁がありましたので、お伺いいたします。約99億円の実質収支赤字額がある平成21年度の予算編成段階での実質赤字比率の試算はいかほどでしょうか、お答えください。 決算審査の議論についてお伺いいたしますが、一般会計、特別会計の決算認定が12月定例会から9月定例会へ前倒しとなって、3年が経過いたしました。前年度決算の確定を早めることによって、その結果と評価を次年度の予算編成に反映させることに意義があるのだと考えますが、調整方針が先に出ている中で、議会での決算審査における議論をどのように反映させているのですか、お答えください。 先日、法務省が、無料となっている官庁や地方自治体請求による不動産や企業の登記事項証明書、いわゆる登記簿謄本の窓口交付手数料を有料化する方向で検討に入ったという報道がございました。これによると、官公庁への交付は、役所同士が便宜を図り合う趣旨で、窓口請求の場合は政令で無料と定められており、2008年のオンライン請求分を含む不動産、商業、法人の各登記簿謄本の総交付件数約6,500万通のうち、官公庁への交付は約1,500万通で、ほとんどが窓口請求だということであります。 人件費やシステム整備など登記関連の経費は手数料収入で賄われており、官公庁への発行を有料にすれば、一般市民や民間企業への手数料を安くする原資となります。法務省は、現行で1通当たり1,000円の不動産登記簿謄本の窓口での交付手数料を2011年度から700円から800円程度に引き下げる方針だということですが、官公庁への交付を有料にすれば、値下げ幅や値下げの対象が広がる可能性があるということであります。 そこでお伺いいたしますが、この法務省の方針について、本市はどのような見解をお持ちでしょうか。また、有料化となれば、どれほどの歳出増が見込まれるのでしょうか、お答えください。 これで1問目を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) まず、事務事業評価に係る一連の御質問に順次お答えを申し上げます。 最初に、事務事業評価手法の見直しの意図、目的についてでございます。 今年度の事務事業評価におきましては、組織のフラット化が進む中で、各課においてみずからの組織目標、ミッションを定めまして、所管する事務事業に優先順位を付すことで、真に必要な事務事業の選択を明確にすることを目的として、これまでの個々の事務事業ごとの絶対評価から相対評価に変更する、そういったことで変更を図ったものでございます。 次に、どのような方針で事務事業に優先順位をつけたのか、また結果としてばらつきが生じた原因は何かというお尋ねでございます。 事務事業の優先度につきましては、各課で定めたミッションに基づきまして、事務事業の必要性、有効性、効率性を評価した総合評価をもとに、順位をつけたものでございます。しかしながら、中には、組織目標を複数設定したり、事務事業の受益者や対象が異なるため順位づけが難しいとか、さらに、趣旨や目的が異なり相対的評価が難しい事務事業を所管する課があるなど、結果としてばらつきが生じたものでございまして、今後の課題であると認識をいたしております。 次に、目標数値を設定している課が少ないのはなぜかというお尋ねでございます。 目標数値は、各課が所管する事務事業の成果について、それが達成されているかどうかを測定する指標としているものでございます。事務事業評価書では、平成19年度から、内部管理業務や法定業務などを除く事務事業につきまして、最終目標数値と目標達成年度を設定するという見直しを行ってまいりました。しかしながら、中には計数可能な目標の設定が難しいものもあり、一部の事務事業にしか設定できていないのが実情でございます。今後、それぞれの事務事業の性質に応じた的確な目標数値が設定できるよう、各事業所管課と意見交換を行い、改善に努めてまいりたいと考えております。 次に、協働の領域区分の乖離について、どのような対策を講じているのかというお尋ねでございます。 協働の領域区分は、事務事業を進めるに当たり、市民が担う領域と行政が担う領域をAからEの5段階であらわしているものでございます。御指摘のとおり、現在のAからEの評価領域と将来目指す領域が乖離している事務事業もございますが、協働の趣旨に基づき、今後、事務事業を進めていく中で、将来目指すべき行政と市民の領域へと到達することが重要であると考えております。そのための具体の方策といたしましては、平成20年度から各課にパートナーリーダーの選任を呼びかけまして、協働の視点から業務を見直したり、職員の意識改革を図るなど、協働の取り組みを推進しているところでございます。 次に、財政問題に関するお尋ねでございます。 まず、平成20年度決算における財源対策控除後の実質赤字比率が前年度に比べ悪化していることについての認識でございます。 平成20年度決算でございますが、財源対策控除後の実質赤字比率は、前年度と比較いたしますと約6ポイント悪化いたしております。これは、土地開発公社の健全化の一環として、アルカイック広場を、一般会計において、公園整備事業債、これは本債でございますが、これといわゆるすき間債を活用いたしまして処理したことが、大きな要因となっております。 なお、この処理は、将来世代の負担を軽減するため、本市が抱える負債を計画的に縮減するものでございまして、財政健全化の取り組みとして実施したものでございます。 次に、約99億円の実質収支赤字額がある平成21年度の予算編成段階での実質赤字比率の試算はどうかというお尋ねでございます。 平成21年度の当初予算における財源対策は、約99億円でございます。これを実質的な赤字とみなし、予算編成当時に試算しておりました標準財政規模をもとに実質赤字比率を試算いたしますと、約10%となります。 次に、決算特別委員会での決算審査における議論を予算編成にどのように反映させているのかというお尋ねでございます。 平成20年度決算審査におきましては、さまざまな御指摘をいただいてまいりました。特に先ほど申し上げましたアルカイック広場にかかわる負債処理や財政健全化法に基づくいわゆる4指標の推移など、今後の財政運営上留意しなければならない点が多くございました。また、外郭団体の建設償還補助金など、これまで先送りをしてきた負債の計画的な処理については、全庁的な取り組みとして平成22年度の予算編成方針に明記し、取り組むことといたしたものでございます。 それから、最後でございますが、官庁や自治体請求による登記事項証明書の交付手数料の有料化検討という法務省の方針に対しまして、どのような見解を持っているのか、また有料化となればどれほどの歳出増が見込まれるのかというようなお尋ねでございます。 現在、登記事項証明書の発行手数料は、行政相互の利便性を図る観点から、政令等で無料と定められているものでございます。このたび法務省が有料化の検討を開始したという報道がなされましたが、その場合、料金徴収と支払いに係る事務コストが国と自治体の相互にかかること、またそのコストは結果として税で賄われることとなりますことから、現行どおり無料が妥当であると考えております。 なお、有料化された場合における本市の歳出の増は、1,000万円程度になる見込みでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 土田裕史君。   (土田裕史君 登壇) ◆10番(土田裕史君) 今の窓口手数料の話で、無料が妥当と。要は法務省の方針に対しては反発するという見解だと思いますけれども、法務省から1,000万円に近い負担をいきなり求められているわけですから、財政の苦しい本市にとっては反発するというのは当然のことだと思います。そういう考えをお持ちなのでしたら、この不況下で市からさまざまな負担を求められている市民の気持ちというものがわかるはずだと思います。 来年度、改革改善項目において、受益者負担の適正化という方針で、さまざまな負担増を市民に求める項目が並びます。市報あまがさき12月号でも掲載し、パブリックコメントを行っておりますが、苦しい財政状況と受益者負担の方針を説明するだけで、市民に対する負担増について理解が得られると考えておられるのでしょうか、端的にお答えください。 その中で、学校開放運営事業を例にいたしますが、市民の目線で考えれば、求められた負担によって夜間照明設備等の必要と思われる設備の補修改修が行われることを期待いたしますけれども、どうやら、ただ単に電気代となり、はたまた市の収支改善に消えていくことになりそうであります。 私は、負担増を求めるには、それなりの配慮が必要なのではないかと考えます。世界的な原材料価格の高騰などの影響で、パンやめん類などさまざまな食品価格が値上げされたのは、おととしのことであります。原油価格の異常なまでの高騰も加わって、市民生活に多大なる影響を及ぼす懸念がありましたが、先行き不透明な資材調達コストの増加に耐えるため、企業努力の限界を訴えるとともに、品質の維持向上などを掲げて、苦渋の選択で価格改定に踏み切った企業が多数ありました。 ある食品加工メーカーでも、17年間据え置いていた即席カップめんなどのメーカー希望小売価格を7%から11%値上げいたしました。けれども、ことしに入ってから、シーフード風味のカップめんには、新たな具材、貝柱が入って、さらにおいしくなったなどとして、これまでの製品の品質を改良したニューバージョンを販売しております。 このように、負担増を少しでも納得していただくための民間の努力というものを行政は真摯に見習うべきだと考えます。そもそも行政の提供するサービスは、市場の競争原理が働かないものが多く、提供するサービスの質というものに対して目が向かないのではないでしょうか。たらい回しや二度手間など、行政の対応に関する市民の不満がなかなか解消されないのも、そうした公務員感覚が原因なのかもしれません。 先月、会派で視察いたしました徳島県のリハビリテーション大神子病院では、苦しい状況にさらされておりますが、内容を濃くしたできる限りのサービスを提供できるよう、全職員が努めておりますし、サービスの質を追求することによって、職員のモチベーションも向上しているとおっしゃられておりました。今の時代、こうした努力によって付加価値をいかに生み出すかということを民間では真剣に考えております。 以上のことを踏まえましてお伺いいたしますが、本市は、受益者に対して相応の負担を求めるにふさわしい利益の提供者たり得ているのでしょうか、お答えください。 施設の使用料等、競合相手が存在すると考えられるものについては、公共による運営であるがために、安価で利用できることがメリットであると考えます。しかし、今回の負担増によって、その価格設定における優位性が失われるため、利用率が低下することも懸念されます。単価を上げることによって全体総数を下げることになり、収入総額が結果的に減少するという悪循環も大いに考えられます。 また、その悪循環によっては、施設自体の存続にかかわる運営状況となり、市の財政状況によっては整理の対象になるおそれもあります。万一そういったことになれば、現在の市執行部が、施設の整理を行うことを目的に、あえて使用料を値上げしたと勘ぐられても仕方がないことではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。 使用料を増額しても利用率を下げない対策を行うのでしょうか、お答えください。 先ほど事務事業評価の協働区分のことについて、各課にパートナーリーダーを置いているという答弁がありましたけれども、今年度、縦割りの役所組織に、横ぐしとなって、協働を実現するために、協働推進局ができたと認識しているんですけれども、こうした各課にまたがる事業について、協働を目指す上では、協働推進局がリーダーとなって取り仕切って、各事業の目標実現に取り組んでいくべきなのではないでしょうか。先ほどの御答弁で、協働推進局が戦略的に関与しないととれるような答弁があったので、その点について再答弁をお願いいたしたいと思います。協働推進局の意義をお答えください。 事務事業評価では、白井市長が公開と参画の象徴として進められてきたと私は考えております車座集会や市長室オープントークなどのまちづくり対話推進事業というものがありますが、この評価が、C評価、事業内容や実施主体の見直しの検討という評価になっております。これはどういうことなのでしょうか。市長と担当部局、それぞれの見解をお伺いいたします。 評価表の最後には尼崎市施策体系整理表というものがあり、全事務事業が、第2次基本計画の6部、16章、43節、227の施策体系別に分類されております。この表を見る限りでは、基本計画と行財政構造改革推進プランとの相関関係において、これまで当局が主張してきたように、基本計画を尊重しているということも理解できると思いました。ところが、今年度実施されている事業の分類は同じ整理表においてどのようになっているかと問いましたところ、そして資料を求めましたところ、平成21年度分の体系表はまだ整理できていないとの返事でございました。このことから察するに、各事業は、事務事業評価のためだけに施策体系に後づけされているということに違いありません。やはり基本計画は、尊重されているのではなく、棚上げされているということになります。 お伺いいたします。 なぜ各事務事業を政策体系に後づけしているのでしょうか、お答えください。 国で行われました事業仕分けを導入すべきという意見もございましたけれども、私自身は、現在の尼崎市には、個別事業の仕分けではなく、むしろ政策仕分け、施策仕分けが必要であると考えております。そうした観点から言えば、先ほど申しました施策体系整理表は、予算編成作業の過程で完成しているべきものであり、さらに言えば、各課が施策体系に合致する形で事業を提案し、その事業の目標設定を行うべきであります。予算配分も、個別事業の優先度だけで判断するのではなく、施策体系別に、何が最も効果ある事業なのかを取捨選択していくべきではないでしょうか。枠配分による事業費の一律削減という考え方もありましたが、部局ごとに行って、削りようのないところから絞り出すのではなく、施策体系ごとに行って、それぞれの創意工夫を生み出すマインドを醸成するべきだと考えます。私ならば、そうすることによって総合計画と各年度予算の関連性を明確にしたいと考えますが、この考えについて市長の御見解をお聞かせください。 次に、事務事業評価表の公開のあり方でありますが、所定の閲覧場所やホームページでごらんいただけますというのでは、全く公開の意味になっていないということは言うまでもありません。行政の自己評価を市民の目による他者からの評価を受けて、生かす仕組みが必要であります。そのためには、まず議会の決算審査において、この事務事業評価を審査の対象とすべきであります。 現在、審査資料として作成している決算書と事務事業評価表を組み合わせて1つのものにすれば、これまで言われてきました作業効率の問題も上がりますし、事務事業評価に対する職員の意識もいや応なく高まるのではないでしょうか。評価と決算が連動する仕組みができ上がるものと考えますが、これについて見解をお答えください。 平成21年度の予算段階での財源対策を控除した実質赤字比率について、約10%であるという答弁がありましたけれども、私の試算でも10.5%ほどになるのではないかと考えておりましたので、まあいい線いってるんじゃないかなと思っているんですけれども、そうすると、平成21年度の予算編成段階で、既に確定している平成19年度決算での実質赤字比率8.46%を上回る予算を組んでいることになります。よって、今年度予算は、実質的な収支均衡を目指すというプランの目標とは正反対の予算編成を行っていることが明らかであります。この目標との乖離は市長はどう説明されるのでしょうか、お答えください。 市は、プラン最終年度までレベル3を目指すという方針をあくまでも堅持されるようですから、次年度は、今年度予算編成時点での約10%という比率を必ず下回る予算を組まれるものと考えます。 そこでお伺いいたします。 白井市長は、次期定例会におきまして、財源対策を控除した実質赤字比率を明記した平成22年度予算案を提出されますか、お答えください。 昨年後半からの世界同時不況とそれに伴う円高の様相が明らかになるにつれ、本市でも法人市民税を初めとする市税収入の大きな落ち込みが見込まれ、構造改革を進める上で大きな負担となっているというのが当局の認識であります。私はここに大きな勘違いがあるのではないかと考えております。 確かに、この経済情勢の影響によって税収が落ち込むことで、財政上大きな負担となっていることは間違いありません。ですが、それが行政構造の改革の足かせとなるでしょうか。慢性的な赤字体質を解消するのに、景気変動が本質的に連動するでしょうか。現在の尼崎市の論理で考えるならば、景気が上向き、税収がふえて、財政状況が好転すれば、構造改革は達成されたということになってしまうと思います。それでは財政構造の硬直化という問題をいつまでたっても解消するつもりがないのと同じではないでしょうか。本市の行財政改革と景気変動との関連性についてどのように考えていらっしゃるのか、お答えください。 さらに厳しい視点による必要性、有効性を踏まえた市単独事業の休廃止、人件費を含む内部管理経費の徹底した見直し、歳入確保に向けた取り組みの一層の強化という3本柱による改革改善を進めていくことは、行き着く先は、法に定めるところの最低限の行政サービスしか行わない、何の個性も持たない、単なるお役所であり、必死で転落することを避けようとしている自治体としての体をなさない状態と同じではないでしょうか。 また、行政ができないことを市民の力でなし遂げようとする意識の醸成、活動の展開は必要ですが、現在の市のやり方では住民自治基盤の整備は果たせないことを多くの方が指摘しているところでもあります。高齢者の見守りや介護を地域で、子育ても地域で、まちの安全・安心も地域でと、協働参画という名のもとに施策を何でもかんでも地域へと丸投げしておりますが、受け皿として未成熟な地域コミュニティーは自壊してしまい、まちとしての魅力すら失われてしまうのではないでしょうか。 市長が考える行政改革と自治基盤の整備とは何なのか、改めてお伺いいたします。 麻生政権下における緊急経済対策にかかわる今年度の補正予算に関しまして、これまでさまざまな事業が展開されてまいりましたが、概して経済情勢に対応する戦略的な施策というよりは、各課が予算不足でできなかった事業を棚ぼたのように行ったという感がありました。不要不急の観点から事業優先度を精査していることはわかりますが、予算化しなかった事業がすべて不要な事業であるとは思えません。年々収縮していく市の事業の中で、財源不足で実現しなかった施策にも注意を払わなければならないと考えますが、そうした事業の位置づけは今後どのように考えていくのですか、お答えください。 今定例会でも補正予算に約27億円の生活保護費が計上されているように、本市にのしかかる扶助費の増大に対しては何らかの対策が必要であります。大阪市では、景気悪化に伴う生活保護受給世帯の急増を受けて、かねてから人手不足が課題となっていたケースワーカーを3年という任期つきで100人超募集することを検討しているという報道がありました。生活保護受給世帯全国最多の大阪市は、受給者の増加は一時的との見方から、こうした臨時的な増員を考えているようですが、本市でも、扶助費の抑制に資する対応として、ケースワーカーの増員を検討すべきではないでしょうか。正規か臨時かという議論は別といたしまして、一人でも多くの受給者を自立へと導くための方策としては価値があると思いますので、御見解をお聞かせください。 先日、阪神南県民局を通じまして、県との意見交換を行う機会があったのですが、その中で、地方の苦しい財政状況において、今後、県と市町との役割分担をもっと明確にし、重複事業を整理して、地域課題に対応していかなければならないという話がありました。 地方分権の観点から考えましても、県と市との事業の仕分けを早急に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。 冒頭に申し上げましたOECDの提言におきまして、教育分野に関することでございますが、就学前教育と保育に対する公的支出を増加すること、一層の政策一貫性と幼保一元化によって効率の改善と待機児童の解消を図り、もって幼児教育と保育を改善すべきとしております。本市教育委員会は、来年度から市立幼稚園の見直しを本格化させ、財源捻出のために、ある程度の廃園を企図しております。OECDの提言とは真逆の方針と言えます。本市の就学前教育のあり方やこれからの子供たちの成長を置き去りにして、市の財政状況だけを重視する取り組みは言語道断であるとしか言えません。 そうまでして効率的な運営をしたいのであれば、市立幼稚園の見直しだけを考えるのではなく、現在抜き差しならない状況となっている市立保育所の問題とあわせて、幼保一元化した本市の就学前教育のあり方という観点から再度検討すべきと考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか、お答えください。 以上で2問目を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) それでは、土田議員の御質問にお答えいたします。 車座集会や市長室オープントークなどのまちづくり対話推進事業の評価が事業内容や事業主体の見直しの検討を要するCとなっているが、この評価に対する見解はというお尋ねでございます。 まちづくり対話推進事業は、私が就任以来訴えてまいりました公開と参画の取り組みの一つとして取り組んでいる事業であり、車座集会、市長室オープントーク、まちづくり提案箱及び市政出前講座がその対象事業でございます。御指摘の車座集会につきましては、これまで79回、市長室オープントークにつきましては65回実施し、市政や地域における課題や本市のまちづくりなどをテーマとして、市民の皆様や市民活動グループと私自身が直接意見を交わしてまいりました。 事業を通じて、多くの方々から、市政に対するさまざまな御意見やまちづくりの担い手としての思いについて、直接生の声をお伺いすることができ、また時には参加者同士が激論を交わすなど、皆様の我がまちを思う熱い気持ちが、新たな発見や感激とともに、私の心の中に深く伝わってまいりました。 それだけに、私といたしましては、この事業をさらに活性化させていきたいと考えておりますが、一方で、最近では、車座集会にあっては参加者の減少や固定化、市長室オープントークについては申し込みグループの減少が課題となっているのも事実であり、このような課題が今回の評価にもあらわれたと認識しております。今後、こうした課題の改善を行い、ますます多くの市民の皆様のお声をお聞きし、活発な意見交換ができるよう努めてまいりたいと考えております。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) まず、使用料改定に関連いたしまして、苦しい財政状況と受益者負担の方針を説明するだけで負担増について市民の理解が得られると考えているのかというお尋ねでございます。 受益者負担の適正化につきましては、行政が実施する特定のサービスについて、税負担の公平性、公正性を確保するという観点から、より適正な財源配分を行うことを目的として、見直しを行うものでございます。今回の“あまがさき”行財政構造改革推進プランの素案におきましては、使用料手数料の改定、減免制度の見直し、市単独事業における利用者からの負担金の徴収などの取り組み項目を掲げているところでございます。 これらの取り組みにつきましては、例えば貸し館使用料の見直しでは、施設利用者に対して、改定の趣旨、目的とともに、本市の財政状況とそれぞれの受益者負担の考え方などをわかりやすく説明してまいりたいと考えております。 次に、本市は受益者に応分の負担を求めるにふさわしい利益の提供者たり得ているのかという御質問でございます。 受益者負担の適正化を図る基本的な考え方といたしましては、原価計算に基づき、サービスに係る経費の再確認を行い、そしてその内容や事業目的等を十分に精査する中で、サービスに見合った適正な負担を求めていく予定にいたしております。厳しい財政状況下では、提供するサービス内容等の充実につながる施設の改修等を十分に行うことは困難でございますが、受益者負担の適正化に取り組む必要性や目的等について、先ほど申し上げましたように、施設利用者を初め、市民の皆様にも明らかにし、理解を得てまいりたいと考えております。 例に挙げられました学校開放運営事業にかかわる受益者負担の適正化では、他都市との水準比較を行う一方で、事業目的や利用者の実態、特に子供たちが多く利用していることなどを踏まえまして、受益者の負担軽減に一定の配慮を行っているところでございます。 次に、施設の利用率を下げない対策は行うのかという点についてでございます。 使用料の見直しにつきましては、全庁的な方針として今回のプランに掲示をいたしておりますが、その利用率の向上については取り組んではおりません。したがいまして、施設の利用率の向上につきましては、各施設の利用目的やサービス内容等に応じて、各施設管理者やそれぞれの運営協議会等で協議検討を行う中で、個別の対応を行っていくことといたしております。 次に、事務事業に関する御質問でございます。 事務事業は評価のためだけに施策体系に後づけしているのか、施策別枠配分予算制度を導入することで、総合基本計画と各年度予算との関連が明確になるのではないかというお尋ねでございます。 事務事業を施策体系表に位置づけることにつきましては、予算編成時点で完了していることが望ましいと認識しておりますが、現在、実施計画を策定できない状況の中で、予算段階での施策体系表の作成を見送っているものでございます。 また、施策単位で予算の枠配分を行うことは、施策の中で事務事業の優先順位が明らかになるため、事務事業の取捨選択やスクラップ・アンド・ビルドを促す効果があると認識しておりますが、施策と予算と組織機構の連動性のあり方が課題であると考えております。いずれも、事務事業評価をわかりやすく、より機能が発揮できるよう改善するものであり、次期の総合基本計画の策定にあわせて研究検討してまいりたいと考えているところでございます。 次に、決算書と事務事業評価書を組み合わせ、決算特別委員会の審査対象としてはどうかといった御質問でございます。 決算書につきましては、地方公共団体の1会計年度の歳入歳出予算の執行の実績について作成される確定的な計数表でございまして、その書式も、地方自治法施行規則で基準が定められているものでございます。一方、事務事業評価表につきましては、本市が実施しております各事業の成果について、数値などの客観的な指標を活用して、評価を加えたものでございます。したがいまして、議員御指摘のこれらを組み合わせた書類を作成することは、おのおのの書類が性格を異にするため困難ではございますが、決算審査に当たり、説明資料とあわせて評価書を配付し、決算審査にも活用いただいているところでございます。 次に、財政問題についてでございます。 平成21年度当初予算における財源対策控除後の実質赤字比率は19年度決算を上回っているが、プラン目標との乖離をどう説明するのかというお尋ねでございます。 平成21年度当初予算におきましては、行財政構造改革推進プランに基づく平成21年度までの構造改善額約23億円を予定どおり反映し、歳出削減等に一定の効果は得ているところでございます。しかしながら、昨年秋からの世界同時不況の影響を受け、プランの取り組みによる効果額を上回る市税等の一般財源が大きく減少となる見込みであり、財源対策の規模の拡大につながったことが、財源対策後の実質赤字比率が19年度決算を上回った理由でございます。 次に、次期定例会において、財源対策を控除した実質赤字比率を明記した平成22年度予算案を提出するのかというお尋ねでございます。 財政健全化法に基づく実質赤字比率などいわゆる4指標につきましては、本来、決算等に基づく確定的な数値をもとに算出されるものでございまして、公表を前提とし、当初予算資料に明記する考えはございません。しかしながら、実質赤字比率等の財政指標は、早期の段階で自主的に財政の健全化を図るための目安となるものでございますので、参考数値として試算は行ってまいりたいと考えております。 次に、本市の行財政改革と景気変動との関連性についてはどのように考えているのかという御質問でございます。 本市における行財政改革の取り組みといたしまして、経営再建プログラムにおきましては、財政再建団体への転落阻止を最優先として取り組んでまいったものでございます。さらに、平成20年度からの“あまがさき”行財政構造改革推進プランにおいては、構造改善に向け、取り組んでいるところでございます。 こうした取り組みを進めてまいりましたが、財政の健全性を示す指標であります経常収支比率は、100%に近い数値で推移をいたしております。その要因といたしましては、法人市民税や地方交付税など、景気の変動や国・県等の改革の影響に左右されやすい歳入構造があること、そしてまた歳出面では扶助費や公債費等の義務的経費の占める割合が高いなど、脆弱な財政基盤から脱却できていないことによるものと判断をいたしております。 それらを改善していくために、プランにおいて構造改善に取り組んでいるところでございますが、経済不況の追い打ちがかかり、より厳しい財政状況に至っております。今後におきまして、この状況からの早期の改善を目指し、こうした収支悪化の要因の分析を行いながら、引き続き構造改善に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。 次に、行政改革と自治基盤の整備についてどう考えているのかという点でございます。 現在の本市の財政状況は、極めて危機的な状況に直面しており、実質的な収支均衡と財政規律の確保といった基本的な考え方のもと、財政の健全化に向けて強力に取り組んでいかなければならないと考えております。一方で、住民自治基盤につきましては、地域課題が複雑化しており、行政だけでは対応が困難な状態となっている中で、地域で解決できる課題については地域で対処できるよう、その力を高めていく必要があり、そのため、市民や地域団体、ボランティアの方々など多様な主体との連携を図り、協働の取り組みをさらに進めていかなければなりません。こうした財政基盤と住民自治基盤が、安心、満足して暮らせるまちを築く基礎となるものであり、これらのバランスを保ちながら、その確立に向けて、さらなる取り組みを推進してまいる考えでございます。 次に、財源不足で実施しなかった事業の位置づけは今後どのように考えていくのかというお尋ねでございます。 今年度、国の経済危機対策などに基づきまして、国からの交付金などの財源を最大限に活用した中で、地域の活性化、市民の安全・安心、子育て、教育など、後年度に実施を予定いたしておりましたもので優先度の高い事業を中心に、いわゆる前倒しを行うなどとした対応を行ってまいりました。今後の予算編成におきましては、厳しい財政状況にありますことから、徹底した歳出削減を行わなければなりませんが、事業選択に当たりましては、必要性に加え、緊急度、優先度なども十分勘案して対応してまいりたいと考えております。 最後に、県と市の事業についても仕分けを早急に行うべきと考えるが、どうかというお尋ねでございます。 地方分権の流れの中で、住民に最も身近な自治体である市が住民のニーズを把握し、サービスを提供するという考えは、時代の要請であり、こうした考えのもと、本市は、ことし4月に中核市に移行いたしました。また、国と地方との関係と同様に、県と市の関係につきましても、その役割分担が明確にされるべきものと考えております。 こうした中で、現在、県と市においては、事業内容が重複したり、費用負担の面におきましてもバランスが欠けている事業もあることも事実でございます。こうしたことにつきましては、県との間で連携、調整を図るとともに、その改善に向けましては県政要望を行ってまいっておりますが、今後も引き続いて取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 鶴田協働推進局長。 ◎協働推進局長(鶴田茂君) 先ほど1問目の事務事業評価についての御答弁の中で、協働の取り組みについては全体的に協働推進局が担っていくべきではないかとの御質問がございました。 答弁にございましたパートナーリーダーというものにつきましては、現在、職員の志願者による有志にパートナーリーダーというのを委嘱しまして、協働を全庁的に根づかせるために、職場のリーダーになってもらおうと行っておる試みでございます。 また、これ以外にも、市民の有志によります、きょうDO検証会議というものがございまして、これは、市民の有志によりまして、市が実施しております協働事業につきまして検証、評価を行っていただきます。その結果を所管局にフィードバックし、改善につなげていただこうということで行っておりまして、より市民の目線で、より効果的、効率的な事業を実施していこうとする取り組みも行っておるところでございます。 また、今年度からは、協働推進局が誕生いたしまして、これまで地域政策会議と銘打っておりましたものを協働政策会議と改めまして、協働推進局と企画財政局との連携のもと、政策策定段階から協働の視点での協議を行い、新たなスタッフ機能を果たさせていくため、同会議の運営を行っているところでございます。 これ以外にも種々その取り組みを行っておりますけれども、全庁的な協働の視点で、取り組みについて、協働推進局はリーダーシップを担っていきたいというふうに考えております。 次に、2問目の質問で、車座集会や市長室オープントークなどのまちづくり対話推進事業の評価が、事業内容や実施主体の見直しの検討を要するCとなっているが、この評価に対する見解はとのお尋ねでございました。 事務事業評価は、一つ一つの事業を客観的な評価指標で見詰め直し、企画・立案から事業実施、点検及び改革改善のいわゆるPDCAサイクルの観点で持続的に改善していこうとする事業評価の一つの指標でありまして、たゆみない課題発見と改善を必要とするものと考えております。 こうした中で、まちづくり対話推進事業の評価に当たりましては、活動指標を年間参加人数としたものでございますが、車座集会と市長室オープントークを合わせた平成20年度の参加者数は延べ430人でありましたが、前年の平成19年度の531人と比べますと、100名程度減少したことになっております。また、車座集会につきましては参加者の固定化が課題とされ、市長室オープントークにつきましては申し込みグループの減少等の課題によりまして、総合評価について、C評価となったものでございます。 しかしながら、先ほど市長も御答弁申し上げましたように、これらの事業の意義は大きいものがございまして、必要性自体は最も高い4という評価であることから、現在、これらの評価結果や指標に含まれていない参加者のアンケート結果等を総合的に分析いたしまして、事業の改善に現在努めているところでございます。 既に車座集会につきましては、意見に対する所管課からの丁寧なフィードバックに努めておりますとともに、スライドの活用によるスムーズな議事進行を行うなどの改善を行い、また市長室オープントークにつきましては、対象団体を10月にはスポーツ、11月には文化の分野で活動する団体を季節に応じ特定して募集するなど、さまざまな分野の団体の参加のきっかけづくりに努めているところでございます。 今後とも参加者のすそ野の拡大に努めていくとともに、単に成果指標の達成のみを目的とするのではなく、事業の満足度の向上や意見の市政への具体的な反映など、事業そのものの品質の向上に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 山本健康福祉局長。 ◎健康福祉局長(山本博久君) 扶助費の抑制に資する対応として、ケースワーカーの増員を検討すべきではないかといった御質問でございます。 生活保護は、国民生活最後のセーフティーネットとなる制度であり、その運用に当たっては、訪問活動の充実や効果的な自立支援によって、保護の適正化に努める必要があると考えております。そのためには所要人員の確保が必要と認識しており、ことし4月にはケースワーカー4人、査察指導員1人、就労促進相談員6人を増員したところでございます。しかしながら、経済不況による被保護世帯の激増もあり、十分に対応し切れていない状況になっております。したがいまして、ケースワーカーの増員について、引き続き関係局と協議を重ねているところでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 村山教育長。 ◎教育長(村山保夫君) 市立幼稚園の見直しは、市立保育所の見直しとあわせて、幼保一元化した本市の就学前教育のあり方という観点から再度検討すべきではないかというお尋ねでございます。 市立幼稚園の見直しの目的は、現在の市立幼稚園の就園率が大きく定数を下回って約6割である状況を踏まえまして、効率的な運営と、各年齢ごとに1学級となっている教育環境を改善向上させるために、適正な規模や配置にすることでございます。推進するに当たりましては、今後の市立幼稚園の果たすべき機能や役割、教育向上策等につきまして、関係者や市民の参画を得て、御意見を伺ってまいります。幼保を一元化した本市の就学前教育のあり方ということではございますが、今抱える市立幼稚園に係ります運営上の固有の課題を早期に解消を図ろうとするものでございます。 以上です。 ○議長(蔵本八十八君) 土田裕史君。   (土田裕史君 登壇) ◆10番(土田裕史君) 今の、まず幼稚園のことについてなんですけれども、教育委員会の考え方としては、それでええんでしょうと思います。しかし、幼保一元化が求められているというのは、幼稚園と保育所で所管が異なることに対して、政策に一貫性がないことが問題なのではないでしょうか。機能を統合することはそう簡単にできることではないですけれども、本市の就学前教育のあり方を十分に議論した上で、幼稚園と保育所の配置を総合的に検討すべきだと提案をしているんです。 子供を幼稚園に行かせるのか、保育所に預けるのか、そして公立、私立、どちらにするのかというのは、それぞれの御家庭においてお選びになることであって、行政の都合だけでその選択の幅を狭めてしまうということはあってはならないと考えます。 再答弁をお願いしたいと思います。保育所のことを含めての議論ですから、教育長ではなく、市長の答弁をぜひともお願いいたします。 負担に関するさまざまな答弁がありましたけれども、どう考えても、市の対応、考え方というものは冷たいなというしか思えません。お金が出せないということは十分承知しております。でも、民間は、お金が出せないならば、知恵を絞って、何とかして負担増を納得してもらおうという努力をしているわけです。そうした努力を市もする必要があるんではないかということを、例をさまざま挙げて申し上げたわけです。だからいつまでたっても、たらい回しや二度手間というのがなくならない、それが現状じゃないですか。その公務員としての意識を変えていかなければならないと思います。指摘をしておきます。 次の予算案の試算についてなんですけれども、経営再建プログラムにしても、行財政構造改革推進プランにしても、白井市長のもとで進められてきた計画であります。その目標達成というのは、ある意味、白井市長の選挙マニフェストの達成以上に重要であると考えます。最終年度までに財源対策によらない収支均衡を目指すと言うのであれば、目標どおりの数値を次の予算案で明らかにするべきです。できなければ、それは現在の白井市長の責任であると言っても過言ではないと思います。それができないのであれば、市長の英断で、行財政構造改革プランの目標そのものを見直すべきだと考えます。期間を延ばすなり、実質的な収支均衡を目指すというレベルを下げるなり、市長の英断で目標を見直すべきだと思います。それについて見解を求めたいと思います。 この間、形式的な収支均衡を保つために、貴重な基金や市有地等を食いつぶしてきたのが現状ではないでしょうか。本来ならば、こうした財源というものは、今のような経済対策に対応するための費用として使うべきものであったと考えます。それを先に手をつけておいて、経営再建プログラムが完了しても、いまだに行政構造の改革が進んでいない、財政の硬直化が解消されていないというのは、正直言って、行政の怠慢と言えないでしょうか。あれもこれもの時代から、あれかこれかの選択をしなければならない状況になっていると言いますけれども、はたから見ていれば、あれもこれもできない、一体行政は何ができるのかというのが本音ではないでしょうか。今の行政にできることを示さなければ、まちをよくしようと努力している市民も、存分に力を発揮することができません。 これまでも私は、行政の存在意義等、これからの地方自治体のあり方について、さまざま質問してきましたけれども、それを示すことが喫緊の課題であると指摘しておきます。アメリカでは、自治体を民間が運営する都市というものがあります。同名の書籍がこの秋に出版されておりますけれども、1けたの職員数で成り立っている自治体の運営に関して、学ぶべきこともあると思います。逆に言えば、市役所の存在すら疑問視される時代が来るのかもしれません。そうならないためにも、今、何のために財政を再建するのか、何のために行政構造を改造するのかを明確にして、結果に責任を持って市政運営に努めなければならないと思います。 2問目について、こうした見解、コメントをさせていただきました。再答弁もお願いさせていただきました。3問目では、改革改善項目の個別について少々聞きたいと思います。 市民業務の窓口の検証についてなんですけれども、阪急塚口、JR尼崎、阪神尼崎の3つのサービスセンターを開庁していた平日時間外と土曜日の業務を阪急塚口1カ所に集約し、電話予約による本庁及び地区会館での取り扱いも廃止するということです。市民サービスの向上のためにこうしたサービスセンターの設置や時間外業務等の取り扱いを改善したと思いますけれども、そうした改善を廃止するということは、サービスセンターをまず3つも設けたこと、それ自体が失敗だったという判断なのでしょうか。当初の見込み違いだったのですか。それとも、各センターの市民の認知不足だったのでしょうか。財源捻出のためのサービスカットなのでしょうか。これについてお答えください。 県と市との重複という観点から伺いますけれども、来年度新規事業としまして、食育推進計画の推進というものが上げられております。本年度策定に向けて取り組んでいる尼崎市食育推進計画に基づく事業だと思いますけれども、食育の普及啓発については県民局においても取り組まれていることでありまして、このようなことを申し上げると食育に対して熱心に取り組まれている方々には非常に失礼な物言いになってしまうかもしれませんし、またその食育そのものを否定するつもりは毛頭ございませんけれども、今の市の経済状況、そして一日一日の生活に腐心しなければならない方々も多数いらっしゃる社会情勢の中で、非常に限られた市の財源を投入する優先度の高い事業なのでしょうか。少しの間、猶予をいただいて、それこそ食育に取り組まれている市民の皆さんのお力に期待してもよいのではないでしょうか。その点について見解をお聞かせください。 体験型市民農園整備事業についてもお伺いいたしますけれども、初心者の農業体験の場を提供するというのはわかります。しかしながら、将来的に、その体験者が尼崎市の都市農業の担い手として定着できるのでしょうか。県は、県の農業振興としてさまざまな事業を展開しておりますけれども、事業の重複という観点から考えれば、こうした事業も県に担っていただくべき事業なのではないでしょうか、お答えください。 人件費を含めた内部管理経費の徹底した見直しということがまた今回も強調されておりますけれども、その行革の行方、行革をどういう形で最終的に進めたいのかということにも関連いたしましてお伺いいたしますけれども、やはり扶助費の伸びを人件費の削減で賄うというのは限界があります。経営再建プログラム期間中でもかなりの内部管理経費を削減してきたと思いますけれども、その削減をしてきても、まだまだ無駄があるという市の考え方なのでしょうか、お聞かせください。そういった削減が、無駄があるのであったら、もっともっとこれまでに内部管理経費を削減するべきであったのではないでしょうかと思います。 以上で私の質問を終了いたします。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 中村副市長。 ◎副市長(中村昇君) 教育委員会の答弁をいたしました市立幼稚園の見直しに関しまして、再度の御質問でございます。 OECDの提起した幼保一元化をもとに、今回の幼稚園の見直しについて、幼保一元化を前提にして見直すべきではないかという御指摘でございますけれども、幼保一元化というのは、私どもの考え方といたしましては、国の制度が、まだ現在、十分に確立したものではないというふうに思っております。市内でも今現在、3カ所はそういった取り組みがされておりますけれども、県の条例からはかりましても、それが進んでいる状況にはございません。したがいまして、これからいろんな制度を確立していく中での一つの考え方であるというふうに考えております。したがいまして、最終的にすべてが保育所と幼稚園が一元化するのが正しいという考えが国から示されているわけでもございません。 したがいまして、私ども、幼稚園、そして保育所、それぞれ本来持つ機能としては、今後もその役割がそれぞれに果たされていくべきものというふうに考えております。そして、この件につきましては、本市の社会保障審議会でも、一元化に向けての課題について論議がなされております。そして、そこでは大きな課題がいろいろ提起されている状況にあるということをまず前提に申し上げておきたいと思います。 したがいまして、こうした厳しい状況の中で、そしてまた幼稚園が抱える課題を、教育委員会として、私どもから言わせれば遅きに失した中で、ようやく市立幼稚園の見直しにかかるということでございますから、当然、それを進めていく中では、地域の子育て支援拠点としての機能を考えるときに、保育所との役割を、連携をどうしていくかといったことを考慮しながら進めてべきだというふうに考えておりますので、市立幼稚園については当然早急に見直しを進めていかなければならないというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) まず、行財政構造改革推進プランの期間についての御質問でございます。 これまでから申し上げてきておりますように、平成20年度から、“あまがさき”行財政構造改革推進プランを策定いたしまして、毎年度、取り組み項目を追加しながら、改善に取り組んできております。しかしながら、経済の激変を受けまして、税収等に影響が及びまして、これまでの取り組み効果以上に収支不足が拡大するなど、現在、早期健全化団体への転落も危ぶまれる危機的な状況下にございます。このために、社会経済環境の変化にも柔軟に対応できる安定した財政基盤をできるだけ早期に確立していくことが肝要でございます。もちろん今後の経済動向等を見据える必要がございますが、現時点では、平成24年度を目標とした現行プランの計画期間内において構造改善を達成していく、こういった目標を持って取り組んでまいりたいと考えております。 それから、経営再建プログラム期間中における内部管理経費、これを大幅に削減してきたが、まだ無駄があるのかというお尋ねでございます。 経営再建プログラム時におきましては、5カ年における累積収支不足が約800億円という状態でございましたが、事務事業を総点検する中で、人件費等の内部管理経費の見直しを中心とする改革改善に取り組んでまいりました結果、最大の目標でございました財政再建団体への転落の危機を、これは回避することができた。しかしながら、財政構造面では課題解決には至っておらず、また昨年来の経済不況が追い打ちをかけた形となり、厳しい状況になっております。したがいまして、今まで構造改善に踏み込めなかった市民サービスへも切り込むとともに、内部管理経費におきましても、人件費における支払い能力に応じた削減など、さらに厳しい視点での点検を行い、これまで以上の取り組みを進めていく必要があり、こういったことで進めていこうと考えているものでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 大橋医務監。 ◎医務監(大橋秀隆君) 食育推進計画の推進は優先度の高い事業なのか、市民の力をかりて、少しの間、猶予してもよいのではないかという御質問でございます。 近年、ライフスタイルや価値観等が多様化し、食や食生活を取り巻く環境が急激に変化してきたことで、食の大切さに対する意識が希薄になり、不規則な食事、生活習慣病の増加など、健全な食生活が失われつつあり、また食の安全や食料の海外への依存の問題も生じています。こうした中、国は、食をめぐる危機的な状況への対策として、平成17年度に食育基本法を施行し、食育を国民運動として総合的かつ計画的に推進するために、平成18年3月に食育推進基本計画を策定しました。 市の食育推進計画は、食育基本法により、国と県の計画を基本として、区域内における食育の推進に関する施策について作成することとなっております。さらに、市の責務として、区域の特性を生かした自主的な施策を策定して、実施することとなっており、食の課題と特色はそれぞれ異なることから、本市も計画に基づいて食育を推進していく必要があります。 このたび市の食育推進計画を策定するに当たり、庁内の食育に係る各種取り組み内容や統計及び食育に関する市民意識調査により、現状把握や課題整理を行っておりますが、食育基本法が制定されるに至った食をめぐるさまざまな課題が本市においてもあらわれております。こうしたことから、本市におきましても、市の食育推進計画に基づき、家庭、地域、学校、事業者等、幅広い分野の関係者がそれぞれの立場で連携しながら、食育を推進することが急務となっております。 御指摘の食育推進計画の推進につきましては、これまでさまざまな分野においてそれぞれが取り組んできたものを計画の基本理念や方向性に沿って総合的に進めようとするもので、市民、事業者、各種団体などで構成する尼崎市食育推進会議の開催等に係る事業費のみを計上しております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 衣笠都市整備局長。 ◎都市整備局長(衣笠年晴君) 市民農園についての御質問にお答えいたします。 体験型市民農園事業の体験者は農業の担い手として定着するのか、県に担っていただく事業ではないかというお尋ねでございます。 自然志向の強まりや余暇時間の増加等を背景に、本市においても、市民農園に多くの方が応募をされております。しかし、現在の市民農園は、土地所有者の相続発生に伴い廃園になるケースがあり、市民農園の数、面積の確保が難しく、農地保全の点でも課題となっております。このため、本市といたしましては、平成22年度より兵庫県の補助制度を活用しまして、生産緑地を対象とした体験型農園事業を新設することにしたものでございます。 なお、体験型市民農園は、農業従事者が直接参加者に農業の技術指導を行うことから、将来的に農業の担い手に育つ可能性はありますが、この事業はあくまでも市民の方々に農業に触れる機会を提供することを目的とするとともに、市内の農地保全にも寄与するということから、尼崎市が事業主体となって進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 浅野環境市民局長。 ◎環境市民局長(浅野悟郎君) サービスセンターを3つ設けたことは失敗であったのかといったお尋ねでございます。 この間の経過を少し振り返りますと、サービスセンターの設置は、経営再建プログラムの公共施設の集約化の一つとして、支所市民課、出張所の再編を図るため、平成18年1月に、阪急塚口、JR尼崎、阪神尼崎の駅周辺の交通の利便性の高い場所に集約化したものでございます。サービスセンターの取り扱い業務につきましては、これまでの支所市民課と同様の各種届け出、証明書等の業務を行っておりますが、集約化に当たり、市民サービスの向上策の一つとして、平日の時間外と土曜日を開庁し、証明書を交付することといたしました。しかしながら、集約後3カ年の実績を検証し、評価を行った結果、サービスセンター全体における平日の時間外と土曜日の証明書交付の取り扱い件数が少ないため、費用対効果の視点からその体制を見直し、その中で最も需要の多い阪急塚口サービスセンターに集約するものでございます。 なお、市民課業務全体の取り扱い推移を見ますと、再編前と比べて、取り扱い件数が全体で14%減少してきている中で、3サービスセンターの取り扱い件数は8%の増と、施設の認知度もあり、当初予定していたサービスセンターの役割は十分果たしているものと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 土田裕史君の質問は終わりました。 続いて発言を許します。 鬼塚三代さん。   (鬼塚三代さん 登壇) ◆9番(鬼塚三代さん) 緑のかけはし、鬼塚三代でございます。 先輩、同僚議員の皆様には、どうぞ温かいお心でしっかりとお酌み取りいただき、御清聴願いたいと思います。また、午前中、最後の登壇でございますので、どうぞ皆様には、できるだけ早目にやりますので、よろしくお願いいたします。 けさ、自転車で登庁してまいったんですが、空からドングリが降ってきました。国道43号線沿いに植えられている椎の木、ドングリの木の下を通っている最中のことでございます。まちは落ち葉のじゅうたんが敷きつめられて、季節を感じるとても素敵な時期なんですが、しかしこの12月2日から始まりました一般質問の答弁にもございましたように、私たちのまちは今、とても大変な事態に陥ろうとしております。財政健全化団体に陥る寸前、そして事務的経費が膨大に膨れ上がる現実、“あまがさき”行財政構造改革推進プランの遂行、市長のマニフェスト検証に始まり、道路整備、町名変更、運河再生、そして学校適正規模・適正配置の問題、老人介護問題、育児、教育問題、さまざまな問題を私たちは抱えております。 さて、本日、私の質問は、生活保護のあり方と生活支援や就労支援の取り組みについて、少し疑問に思いましたので、質問させていただきます。 私たちのまち尼崎は、工業を基盤として発展してまいりました。工都尼崎と言われて久しいんですが、大手企業の下請会社が多く、景気のいいときには売り上げも順調に推移しておりましたが、こうも日本全体が経済下降ぎみにおきましては、会社倒産や業務縮小せざるを得ない事態がどんどんとふえてきております。 会社倒産やリストラが起きますと、必然的に、生活に困る御家庭がふえてまいります。バブル崩壊後、失われた10年、ロストジェネレーションに代表される長期不在のあおりを受け、社会全体の収入の水準が低下し、現在の低所得者層と生活保護受給者においての所得額が接近してきました。いわゆる生活保護を受けている方が、働くよりも収入がふえる場合も多く、ワーキングプアがふえている状態も否めません。 実は私も母子家庭で育ちました。ぜいたくをしたくても、そのぜいたくの仕方がわからないんですが、父を早くに亡くしまして、母が百貨店のお菓子を販売する、今でいうところの派遣社員ですね、そして私たち兄弟3人を育ててくれました。そこには、市にまちに生活を頼るということをよしとしなかった母の性格もあるんでしょうが、それでもおかげさまで私たち兄弟は、貧困家庭という目で見られることなく、伸び伸びと育ってまいりました。時には、中学時代ですか、なぜか私だけ傘をもらったり、それから辞書をもらったりした覚えがありますが、優越な気分に浸った覚えはございました。 さて、生活保護法とは、生活に困窮する市民が法律で保護を請求する権利が保障されておりまして、この実現には、申請に基づき、保護が開始される仕組みになっております。しかし、権利を主張して、国民の義務を果たしていない、または満たしていない事案も、全国で多数出てきているのも事実でございます。 憲法第25条第1項に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定められております。生活保護は当然の国民の権利だと思います。しかし、精神論で言うならば、人間というものは、額に汗をし、働くからこそ、生きていく欲求がわき、前向きになれるものではないでしょうか。権利の主張ばかりでなく、義務もきちんと果たすことが、これからの未来を担う私たちの子供に無言の教育をしていることだと思っています。幾ら言葉でいいことを言っても、やはり子供たちはしっかりと親の生活姿勢を見ています。人間の尊厳を大事にするならば、勤労意欲を積極的に出させる方法を私たちも一緒に考え、そして推進していくことこそ、未来を担う子供たちに残してやれる財産だと思っております。 生活保護の受給者の中には、介護扶助、そして住宅扶助、または医療扶助の方もいらっしゃることでしょう。この不況下では、父子家庭にも生活保護を受ける方がふえてきているようです。それは派遣切りや解雇による失職、自宅を失い、路頭に迷う、一昔前なら母子家庭だけが取りざたされた問題でございましたが、今では父子家庭にまで及んでいるこの事実が、この先の我が市の経済不安を一層あおってきているようです。 我が市では、平成21年度の義務的経費のうち扶助費が507億円と、前年に比べ19億円も上がっております。完全失業率を見てみますと、近畿では前年同月に比べ11カ月連続で増加しております。20年度では全国が4.0%、近畿では4.5%、今年度、21年9月時点で尼崎市は6.2%という、全国平均を上回っております。尼崎市の有効求職者数、いわゆる仕事を探している人ですが、平成21年度9月時点で1万753人と、18カ月連続で前年を上回る数字が出ております。それに比べて、有効求人数はといいますと、いわゆる企業が求める数です。連続24カ月で前年を下回る4,618人しかありません。 生活保護世帯だけではなく、現在何らかの仕事を持っている人でさえ、将来の不安を抱え、転職をしたいと相談に行く数もふえています。なおさら、生活保護世帯の求職、現場復帰は難しいものになっております。早く生活保護から抜け出して、自分の稼ぐ力を身につけてほしいと願っております。 さて、我が市の生活保護動向は、ことしの8月度、中央、小田、大庄、立花、武庫、園田を含め、被保護世帯数が1万823世帯、保護率は31.45パーミルでした。10月度には保護率が32.23パーミルと、保護世帯がふえております。面談件数と相談件数は合わせて毎月650件前後を推移していますし、その中で生活保護の申請を出す件数は約35%にもなっています。 憲法第25条第1項にあるように、明るく健康で文化的な生活をだれもができなければならないので、申請されれば直ちに執行するわけでございますが、生活保護の要件のない明白なものを除いて、生活の保障は、国民は保障されるわけです。ただ、我がまちだけではありませんが、そこに不正受給の問題も絡み、悶々たる思いや疑念をぬぐい切れない問題があります。年々全国的に扶助費がはね上がる現実と、勤労の観点からいって、生活保護世帯の中で勤労意欲のある方たちに、優先的に就労支援施策を導入願いたい思いでございます。 我がまちの生活支援、福祉事務所の窓口には、毎日たくさんの生活相談者がお越しになります。私もこの前、カウンターに行ってまいりましたが、ひっきりなしにカウンター越しに受け付ける様子に、我がまち、我が市の生活者がどれだけ不安を抱えて生活しているかがよくわかります。しかし、窓口に来て面談をしたところで、その不安が解消できるのはほんのわずかです。 当局が積極的に生活支援をするための施策を考案するしか、道はないのでしょうか。例えば就労支援の観点から、軽作業のあっせんや簡単なマーケティングなどを月に一、二度お手伝いいただくとか、緊急雇用対策で出されましたマーケティングや調査などの仕事を優先的にお手伝いいただくとか、勤労意欲を刺激する施策もやはり必要なのではないかと思っております。 国の基準改定表というものがございます。それを見ておりますと、生活扶助の第1類に、食費などに係る金額が記されております。1世帯に何人か、つまり何人家族かで生活扶助額が決まります。例えば3人家族で、0歳児には一月2万900円、41歳から59歳の間では一月3万8,180円という規定がございます。第2類というところには、光熱費がそちらのほうに書かれているんですが、41歳から59歳のところには一月5万3,290円、そして11月から3月、この12月も含まれておりますが、冬季加算額といいまして、5カ月で、一月4,770円となっております。標準3人世帯で生活扶助基準額が16万2,167円、そこに医療扶助、住宅扶助、教育扶助が加算されることになります。ことし12月から、一時廃止になっておりました母子加算が復活いたしました。さらに母子生活保護世帯にとりまして、以前よりは大変暮らしやすくなったということでございます。 ただ、そこには、国民年金の最低受給額をもらっている人たちからすれば、医療にかかる費用などすべてが自己負担なので、単純に比較すると、やりきれないという声も届いております。たくさんの生活者がさまざまな問題を抱えております。時折、通り一遍のこととは言えませんが、せめて当局の今後の見解をお示しいただきたいと思います。 そこで質問させていただきます。我が市の生活保護世帯に対しての勤労支援を行うに当たり、今後どのようにアドバイスをし、どのようにもとの生活者へ戻していこうと考えていらっしゃるのか、お答えください。 さらに、社会福祉事業法でいうところのケースワーカーは、1人当たり80人を見るのが妥当と言われている標準数がございます。それが現在、我が尼崎市では、120人から130人という世帯を1人のケースワーカーが抱えていらっしゃいます。ケースワーカーは、経験年数やたくさんの事例をこなす能力など、人さまざまだと伺います。現在、就労促進相談員、これが12名、2人1組になりまして、各6行政地区の窓口を担当していらっしゃいます。各担当地域は85名の正規職員であるケースワーカーが各宅を訪問していらっしゃいます。また、窓口の面接相談員におきましては、1日30件を20日で、月に約600件という相談を受けております。先ほど一月650件前後と申しましたが、ここに相当するわけでございます。 生活保護申請になりますと、やはり1時間程度は話を聞いて、アドバイスをするとおっしゃいます。相談窓口では、時には二、三時間待ちで、カウンターはごった返しています。大庄や小田地区など南部では、比較的高齢者が多いので、生活保護世帯を訪問するのも安定して回れるそうでございますが、武庫地区や立花地区などでは比較的若い世帯が多いということで、県で示されている訪問頻度基準表というものがあるんですが、その基準表で当てはめてみますと、新規開始世帯は毎月訪問することになっておりますし、稼働能力のある世帯には毎月から3カ月ごとに訪問するようにと規定がなされております。この基準表を見ますと、ケースワーカーの能力や人数で訪問内容も違ってくるのが読み取れます。 これだけ我が市の生活に対する不安が高まる中、ケースワーカーの人員を少しでもふやして、積極的に訪問頻度を上げていくことが先決ではないでしょうか。先ほど土田議員もおっしゃいましたが、私もこのところを質問させていただきます。どうぞ当局の見解をお示しください。 私の1問目の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 山本健康福祉局長。 ◎健康福祉局長(山本博久君) 生活保護世帯に対して、今後どのように就労支援をしていこうと考えているのかといった御質問でございます。 就労支援は、経済的な自立とともに、就労に至ることで社会参加を果たす自立支援の根幹であると認識しております。そのため、本市では、平成14年度から就労促進相談員を配置し、稼働能力のある方への個別の状況に応じ、基本的な身だしなみから生活習慣の確立のための指導、履歴書の書き方から面接の受け方に至るまでの助言、またハローワークへの同行訪問等、きめ細かく対応し、成果を上げてきたところでございます。不況が続く中で、求人自体が少なく、厳しい雇用環境にありますが、対象となる方が意欲を持って求職活動ができるよう、今後とも求人情報の収集やハローワークなど関係機関と連携し、支援してまいります。 次に、ケースワーカーの人員をふやして、積極的に訪問頻度を上げていくことが必要ではないかといった御質問でございます。 ケースワーカーは、日々の訪問活動の中で、被保護者の方の生活状況を確認し、自立助長に向けて、適宜、助言、指導を行っており、家庭訪問は生活保護業務の基本であると認識しております。先ほども御答弁申し上げましたが、本年4月にはケースワーカー4人、査察指導員1人、就労促進相談員6人を増員いたしましたが、被保護世帯数の増加によりまして、現体制では計画的な訪問活動を行うことが困難な状況にあります。訪問活動の充実のためには、ケースワーカーの増員が最も必要であると認識しており、引き続き関係局と協議を重ねているところでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 鬼塚三代さん。   (鬼塚三代さん 登壇) ◆9番(鬼塚三代さん) 御答弁ありがとうございました。 ケースワーカーをふやしていくのも一つでしょうけれども、ますます扶助費が上がっていく私たちのまちの中で、メタボリック対策と同じだと思うんですね。市長が進めていく、健診をしっかりしましょう、メタボを減らしましょう、それはやはり医療費を減らすことが目的だといいます。ということは、私たちもしっかりと就労支援をしながら、まち全体で見守り、その扶助費を減らしていくことを常日ごろから考えていかなくてはいけないことだろうなと思っております。今後とも引き続いて、ぜひ当局の皆様にも御協力をお願いしたいと思います。 先ほど冒頭で言い忘れましたけれども、私は、皆様、先輩議員の皆様とも一緒に考えていきたいと思っておりますけれども、さらに、インターネット中継をごらんの皆様にも、この会場の向こう側にいる皆様にも、一緒に考えて、まちのことを見詰めていただきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 2問目に移らせていただきます。 我がまち尼崎は、南北に広く伸びる地域で、高齢者や車を持っていない方々、私もそうなんですが、現在、市バスにはなくてはならないものを感じます。赤字路線も含め、縦横に走る路線バスの運転手さんには、非常に重要な役割を担っていただいて、本当にありがたく思っております。 先日、乗車した際に、顧客誘導も大変お上手におやりになっていらっしゃる運転手さんがいらっしゃいました。にっこり笑顔とまではいきませんが、しっかりと見ていますよという穏やかな意思表示があり、車いすの方が乗車する際には、その方や付き添いの方がお座りになるまで発車しないという無言の心遣い、一般企業なら人事教育の成果だと言えるのですが、やはりそこはその方の個人の資質に頼っている部分が多いのではないでしょうか。私はそんなふうに拝見いたしました。 なぜなら、先日乗車したバスの中に、1枚のポスターがございました。運転席の後ろ側の1つのいすですね。何げなく見ておりますと、何と2カ月前に期限の切れた恐竜博物館への案内ポスターでした。伺いますと、ポスター等の掲示物は運転手さんのお仕事でないということでございますが、民間企業ですとあり得ないことです。何のためのポスターを張っているのか。しかも期限切れといいますと、マイナスイメージしかもたらされないことは、だれが考えても想像ができます。危機感が全くありませんでした。これが一事が万事でないことを祈りながら、バスをおりたのです。 平成9年には、交通局職員による誹謗中傷の落書きが発生したのを機に、交通局を挙げて、職員の現状の理解、人権問題の認識をさらに深めるために、乗務員ハンドブックを全員配付し、それをもとに指導されていらっしゃると伺い、教育指導の徹底を図っていらっしゃるということでございました。 私が先日いただいた資料の中には、平成11年からの人権研修の内容がございます。セクハラ問題、障害者問題、高齢者疑似体験、接遇などをテーマに、平均230人が、正規、非正規職員合わせて、年に一度だけでございますが、受講し、顧客サービスの向上に努めているということでございました。教育とは年に一度きりで体得できるものだと私は思っておりませんが、身につかないことは想像できますし、個人の資質向上のための教育を見受けることができません。毎年数件の事故、そして昨日、田村議員もおっしゃいましたけれども、セクハラ問題を含め、バス利用者から不満の声も届いているのから見ましても、研修が足りないのは明白の事実です。 伺いますと、バスの運転手さんは、バスではハンドルを握るリーダー的存在となるわけで、ある意味、思うようにやれるわけです。その空間は、自分の中の空間なんですね。私たち市民の大切な命を乗せて走っているという自覚はどうやって持っていらっしゃるんでしょうか。ここにこそ教育のあり方が問われるのではないでしょうか。 最年少が38歳、最年長は60歳、貸し切りバスとして競艇場へのループバスの運転は、再雇用、嘱託職員だと伺います。お客様と直接接する運転手のお仕事は、非常に敏感になることはお察しいたします。私も以前サービス業をしておりましたので、顧客対応ほど気を使う仕事はございません。それをすべての個人の資質に頼っている教育システムはいかがでしょうか。 マイクでアナウンスメント、告知などができていますか。お客様に対して安全意識を持たせることを考えて行動できていますか。車内掲示物は破れていませんか、また時期外れではありませんか。事実上、雑多な仕事が運転手さんの仕事になっているかもしれません。確かに運転手さんは運転するだけが仕事だと言われればそれまででございますが、一つの空間を管理する、だからこそ、この私たちの交通局が喜ばれるゆえんだと思っております。個々の仕事をするのではなくて、一つの空間を自分のものと認識しているかどうか、それこそ教育に問題がかかってくると私は思っております。 しかし、最前線でお仕事をされている以上、すべての責任は負わなければならない立場でもあると言えます。もちろん最終的には雇用主である市が責任を負うわけでございますが、裸の王様になるのではなく、常に自分を反省して、向上するための努力が必要なのではないでしょうか。 武庫地区では民間委託のバスが走り出しました。民間は非常に厳しい教育研修がございます。自己の資質をさらに向上するために、運転手みずから考え、行動できるようになっております。市バスには、研修に参加すると、時間給と交通費が発生します。お金をもらって教育を受けられるということは、みずからの資質の向上を願う職員にとりましては本当にありがたいことですが、何事も与えられなれすると、怠惰になるのが人間というものだと思っております。職員みずから考える教育こそ、顧客満足につながるのではないでしょうか。我がまち尼崎の運転手さんは、自分の仕事にプライドを持っていらっしゃるんでしょうか。人の命を安全に目的地まで運ぶというプライドを持っていらっしゃるんでしょうか。 ここでお伺いします。 交通局としては、運転手の教育をどのようにお考えでしょうか。今後の運転手を育てる教育方針をお示しください。運転技術などの研修のほかに、顧客満足に係る教育体系は、交通局としてお持ちでしょうか。なければ、構築なさらないのでしょうか。また、構築するとすれば、いつごろをめどとされるのでしょうか。安心・安全な運行促進のため、ぜひ考えて行動できるようになっていただきたいと思います。 以上で私の2つ目の質問を終了させていただきます。 ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 阿万自動車運送事業管理者。 ◎自動車運送事業管理者(阿万幸雄君) 交通局として運転手の教育をどのように考えていくかといった質問でございます。 交通局では、第一線で働く乗務員の意識改革と資質の向上を図るため、市営バス運転手として最も重要である事故防止、乗客接遇を初め、人権問題、服務規律などの研修を実施しまして、市営バスを御利用いただく皆様に愛され、親しまれる乗務員を目指しております。 具体的には、研修施設へ派遣する安全運行研修、接遇をテーマとした講話型研修、高齢者、障害者の装具を用いた体験型研修、派遣し研修を受けました乗務員を講師といたしまして実施します局内エコドライブ研修などを柱とし、実施しております。さらに、今年度からは、ドライブレコーダーを活用した安全運転技術指導と、NPO法人日本ケアフィットサービス協会が認定しますサービス介助士2級の資格を全乗務員に取得させることを研修の一環として取り入れております。 しかしながら、現状の交通局におきまして、顧客満足度の概念がまだ職場として共有できているとは言いがたい状況にございます。今後は、個人の仕事の質、サービスレベルを高めることができる研修体系の構築を目指してまいります。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 鬼塚三代さん。   (鬼塚三代さん 登壇) ◆9番(鬼塚三代さん) 私の要望でございますけれども、生活保護世帯数を早期に減らすということは、社会復帰を果たしていただくように、健康に気遣いながら、まちの中で自分の居場所を見つける、私もそうなんですけれども、地域ぐるみで見守るということが、やはり何事に関しても必要なのではないかなと思います。生活保護世帯は、本当に体が大変で働けない人、働きたくても仕事ができない人、たくさんいらっしゃると思うんですけれども、その中で、どうぞ見守り活動を続けていただきたいと思っております。 そして、バス事業に関しましては、市民の皆様にも関心の高い問題だと思います。お客様への心遣い、言葉遣い等も含めて、交通局の中でグループ討議の時間を月に4回ぐらいふやしていただいて、各自、自己意識を持っていただくように望みたいと思います。グループ討議をするということは、自分の考えが相手にも伝わるので、さらによりよいサービスマナー向上になると思います。また、NPO法人などにもお手伝いいただいているようでございますので、今後ともぜひよろしくお願いしたいと思います。 以上、私の要望とさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 鬼塚三代さんの質問は終わりました。 この際、休憩いたします。                        (午後0時41分 休憩)-----------------------------------                        (午後1時40分 再開) ○副議長(杉山公克君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質問を続行いたします。 発言を許します。 真崎一子さん。   (真崎一子さん 登壇) ◆19番(真崎一子さん) 日本共産党議員団の真崎一子です。今回は、ヒブワクチン助成制度1本に絞って質問を行います。 私はことしの5月、街頭宣伝で子供の医療費のことについて訴えていると、若い赤ちゃんを抱っこしたお母さんから、ヒブワクチンの予防接種をしたいけど、4回で3万円もかかるからとても無理なんです。議会で取り上げてもらって何とか補助制度をつくってほしいと懇願をされました。 私は、それまでヒブワクチンというのは名前ぐらいしか知らなかったんです。それから情報を得ることによって、子供たちにとって非常に怖い病気であることがわかりました。議員になったら必ず議会に届けたいと思い、今回質問に取り上げさせていただきました。 乳幼児の細菌性髄膜炎の主な細菌は、ヒブと肺炎球菌です。年間1,000人の子供が感染をしています。その中でも6割はヒブという細菌が原因となっています。ヒブ菌は、せき、くしゃみなどで鼻やのどを通じて体内に入り、髄膜炎や敗血症など重篤な感染症を引き起こす細菌です。患者の年齢は、生後4カ月から1歳代で70%以上を占めます。5歳以上になるとヒブ菌に対する抵抗力がつくられ、発病はまれとなります。細菌性髄膜炎は5%が死亡しています。また、20%から30%にてんかんや難聴、発育障害などの後遺症を残します。 ヒブワクチンは世界で1億5,000万人以上の子供が接種をして大きな問題も引き起こしていない試され済みのワクチンです。そしてワクチンの効果は驚異的です。1990年からアメリカで接種が開始されました。ある製薬会社の調べでは、1980年に1万5,000人いたアメリカの髄膜炎患者は1995年には86人に、500人いた髄膜炎による死亡者は5人に激減しました。 1998年から、WHOのどんなに貧しい国でも国の定期接種にして子供を守るようにとの勧告を踏まえて、世界110カ国以上で実施をされています。定期接種を組み込んでいる国では発症率が大幅に減少しています。しかし、東アジアでは北朝鮮と日本だけはいまだに任意接種となっています。 世界では常識となっているヒブワクチン接種を早く日本でもできるようにしてほしい。それもお金の心配をしないで済む定期接種でという患者、家族の願いから、細菌性髄膜炎から子どもを守る会が昨年発足しました。ことしの10月27日に会代表が厚生労働省に、ヒブワクチンを予防接種法による定期接種対象疾患に位置づけることの要望書を提出しました。11月25日の衆議院厚生労働委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員がヒブワクチンの公費による定期接種化を求めました。厚生労働省は、推奨していきたいという基本的な方針だ、次期の国会で提出する予防接種法の改定案の中に検討していきたいという答弁でした。 子供が1歳4カ月で細菌性髄膜炎に感染をしたお母さんの手記です。「初めは風邪から始まったのですが、ヒブ菌が体に入ったらしく、病院に連れていくとすぐに入院になりました。そこで化膿性髄膜炎であることを聞かされ、どうしてもっと早く気がついてあげられなかったのか後悔し、泣き崩れたのを今でも鮮明に覚えています。それからつらい治療が開始。入院して4日後に大脳動脈の脳梗塞を起こしていることがわかり、このままでは命が危ないと国立小児医療センターのICUへ転院、命は取りとめたものの、そこには生まれたばかりの赤ちゃんのようになった我が子がいました。右脳には全体の脳の3分の1にもわたるダメージが残り、首も据わらず、座ることもできない、呼びかけても無反応、そんな状態がしばらく続きました。しかし、リハビリに励み、現在、3歳5カ月で歩けるようにまで回復。ただ後遺症は残りました。左肩麻痺、右耳の難聴、てんかん、発育のおくれです。こんな怖い病気を予防する手だてがあったなら。今はこんなにつらい思いをする家族がこれ以上ふえないように、できるだけ早くワクチンの接種が行えるよう望むばかりです。どうか一日も早いワクチンの接種を可能にしてください。」というものでした。こんなお母さんの思いを受けとめていただきたいと思います。 ただ、日本では子供を襲うこんな危険な病気があることや予防接種があることすらまだ知られていません。細菌性髄膜炎は、症状が重症化するだけでなく、発熱以外は特別な症状が見られないことが多く、早期診断が難しく、手おくれになるおそれがあります。 尼崎市では、情報の提供として母子手帳とは別冊の「予防接種と子供の健康」2009年度版で予防接種について記載されています。ヒブワクチンについては、「新たに承認された今後利用されるであろうワクチンです」と紹介されています。新ワクチンに対する情報不足は不安の原因となります。細菌性髄膜炎は、発症は少ないが重症化、後遺症がある重篤な疾患であること、任意であるが予防接種が可能であることなど、乳幼児健診の場でも提示する必要があると考えます。乳幼児を持つ若いお母さん方へ周知徹底が必要です。 そこで質問します。細菌性髄膜炎とヒブワクチンについて、乳幼児のいる世帯へ周知徹底が必要だと思いますが、市としてはどのようにお考えでしょうか。 日本ではワクチンの承認がおくれ、昨年の12月にワクチン接種が可能になったものの任意接種であるため、子育て世帯には大きな負担となっています。ワクチンは標準4回の接種が必要と言われています。しかし、1回7,000円から8,000円、4回の接種で約3万円前後と自己負担が大きいことから、任意接種では受けられない子供たちが多くいます。 既に助成制度を実施している自治体が全国で40市町と広がっています。1回3,000円から5,000円を助成しています。隣の西宮市では、市民団体から陳情が提出され、常任委員会で子育て支援の一環として助成制度が必要だとの意見が相次ぎ、ことし9月17日の本会議で採択されました。また、三木市でも9月の議会で全会一致で可決され、1回3,000円の助成が実現しています。同市議会では、国に対してもワクチン接種は定期接種で行ってほしいとの意見書を提出しています。 尼崎市では市長の強い思いとして、特定健診、特定保健指導で生活習慣病の予防を行い、医療費を軽減する取り組みがなされています。しかし、乳幼児の場合は、病気の予防は予防接種でしか手だてがありません。特定健診と同様にヒブワクチンの助成制度にも取り組んでいただきたいと思っています。 若い世帯は安い賃金で働かされ、生活がとても大変です。ヒブワクチンをしてあげたくても重い負担です。制度化されたら受けるという意見もありました。ワクチンの供給量が少ないという問題もあります。しかし、国が制度化するという意思を表明すれば、製薬会社も必要なワクチンの供給はできるはずです。 そこで質問します。細菌性髄膜炎から乳幼児を守るため、ヒブワクチンの定期接種に取り組むよう国に求めていただきたいと思いますが、市の考えをお聞かせください。 昨日、前迫議員の答弁でも出てきましたが、あえて同じことを聞きます。国の定期接種が創立されるまで尼崎市独自の助成制度を求めますが、いかがでしょうか。 これで第1問の質問を終わります。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 大橋医務監。 ◎医務監(大橋秀隆君) 細菌性髄膜炎とヒブワクチンについて、乳幼児がいる世帯へ周知徹底が必要と思うが、どうかという御質問でございます。 ヒブワクチンの予防接種は、現在任意接種として実施されておりますが、その周知につきましては、妊婦の方に母子手帳を交付する際に予防接種の種類や接種時期などを記載した「予防接種と子どもの健康」という小冊子をあわせて配布することにより行っているところです。 ヒブワクチンの現状といたしましては、現在のところワクチンの供給量が少なく、接種医療機関も市内で40程度しかないため、予約待ちの状況もあるやに聞いております。 ヒブワクチンも含め、予防接種に関する情報につきましては、乳幼児健診などの機会もとらえ、今後も周知に努めてまいりたいと考えております。 続きまして、細菌性髄膜炎から乳幼児を守るため、ヒブワクチンの定期接種に取り組むよう国に求めていただきたいが、どうかという御質問でございます。 ヒブワクチンの定期接種につきましては、この11月26日の衆議院厚生労働委員会で、ワクチンの接種体制について定期接種化に向けて検討していると厚生労働大臣が答弁されており、またヒブワクチンの副反応や効果などについて情報を収集している段階であるとの説明があったこともあり、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、定期接種化されるまでの間、市独自での助成制度を求めるが、どうかという御質問でございます。 ヒブワクチンの予防接種に対する市独自の助成制度につきましては、昨日もお答えいたしましたが、現在任意接種であること、また本市の厳しい財政状況を踏まえますと困難であると考えております。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 真崎一子さん。   (真崎一子さん 登壇) ◆19番(真崎一子さん) 御答弁ありがとうございました。 国会での厚生労働省のお答えは事前にわかっています。だけど、地方自治体からも声を上げることが必要だと私は思っています。そして患者、家族の会からも声を上げ、みんなで声を上げて国を動かすような、そんな自治体であってほしいと私は願っております。ぜひ意見書を出すことを検討していただきたいと思っています。 そして財政の問題があることは十分わかっております。それでも、どうしても当局に1つ聞きたいことがあるんです。このヒブワクチンは尼崎市民にとって必要だと思っていらっしゃるでしょうか。そのことを後で御答弁お願いいたします。 生後5カ月で細菌性髄膜炎になって、命は助かったものの重い後遺症を残した息子さんを持つお母さんの言葉です。「私たち家族は、心から幸せを感じる日はもうないかもしれないなどとそのとき本気で思っていました。それでもこの子は命が助かって私の胸に帰ってきました。数年がたち、いまだ首は据わらないし、座ることもしゃべることもできない息子ですが、少しずつ成長も見え、哺乳ができなかったけど、マグカップから経口で飲めるようになったんです。ゆっくりですが、笑顔も取り戻すことができています。本当にゆっくりですが、家族は歩み始めています。この病気が予防できると知ったとき、この事実を知って予防に努めない日本の行政は殺人行為に等しいとすら思いました。これ以上この病気で命を落としたり後遺症を残す子供たちをふやさないでください。お願いいたします。このようなことが繰り返されないことを祈っております。」というものです。 子供の命をお金のあるなしで、また住んでいるところの違いで格差が生まれることがあってはならないと思っています。子供たちは未来の尼崎の宝です。確かに頻度は少ないかもしれません。でも、予防できる手だてがあるのなら、行政が子供の命と成長を守っていく、こういうことが行政の役割ではないでしょうか。 尼崎市が掲げている安全安心のパラダイム・シフト「対処」から「予防」へというのなら、ヒブワクチンの助成制度をぜひつくっていただきたいと心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 大橋医務監。 ◎医務監(大橋秀隆君) ヒブワクチンが必要であると考えるかどうかという御質問でございます。 ヒブワクチンに関しましては、世界的に有効性が認められておりますし、私どもの考え方としては、当然必要であると思っておりまして、国全体の定期接種化を私どもも希望しておるところでございます。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 真崎一子さんの質問は終わりました。 続いて発言を許します。 小柳久嗣君。   (小柳久嗣君 登壇) ◆34番(小柳久嗣君) 新風グリーンクラブの小柳でございます。しばらくの間、御清聴賜りますようによろしくお願いいたします。 まず最初の質問は、中学校の運動会はなぜ休日にされないのかという素朴な質問から始めます。 小学校の運動会は、現在当たり前のように休日に行われています。そして昼食も家族で一緒に食べています。何の不思議もありません。全く当たり前の光景でございます。 しかし、この当たり前のことを実現するのに、私、努力いたしまして、6年もの歳月がかかったのでございます。かつての尼崎市、二十五、六年前の話ですが、各小・中学校の運動会は平日に行われており、弁当も親子別々に食べておりました。 当時の教育委員会の見解は、運動会は教育の一環であり、昔のように地域住民がお酒を飲みながら運動会を見物するような雰囲気は教育的ではないとして、がんとして休日開催を拒否してまいりました。また、弁当も教育の一環であり、子供は学校給食を各教室でとり、親は家に帰って食事をしなさいというものでございました。 当時から開かれた学校づくりは建前としては言われていたのですが、この運動会に象徴されているように、当時の学校は親や地域を排除していました。まさに閉ざされた学校であったのでございます。 親は我が子の成長ぶりを見たいのです。平日では、勤務のため見ることさえもできません。私は、このような親たちの熱い熱い思いを背負い、当時の教育委員会と闘い続けました。そしてやっと7年後に休日開催となったのです。また、親子一緒の昼食ができるようになるのに、それからまた3年間もかかりました。 親が我が子の成長ぶりを学校生活の中で自然の形で見ることができる唯一の機会が運動会なのでございます。この親の願いを平然と拒否してきたのが学校の閉鎖性であります。親や地域に学校に関することでは一切口出しをさせてはならないという考え方が学校関係者には今なお根強くあります。この考えは、一般教員、管理職も全く一緒であります。親や地域とつき合うのはしんどいんです。しんどいことは避けたいという本音、エゴがその根底にあります。 その証拠が、いまだに中学校の運動会が平日に行われていることでございます。なぜ休日に開催しないのかという答えは、単純明解であります。しんどいからであります。休日に出勤することがまずしんどい。休日に開催しますと親たちがたくさん見物に来ます。教師や校長は、その多くの方々から見られ、評価されるのがしんどい。また、多くの方が来るということは、多くの方とつき合うことを余儀なくされます。これもまたしんどいことなのです。だから中学校の運動会は、いまだに平日に行われていると思っています。いかがですか。私の指摘は間違っていますか。お答えください。 私は、今まで何回となく各種委員会などでこの問題を取り上げてきました。教育委員会の答弁は、委員御指摘のとおりでございます。休日開催に努力いたしますというものでございました。しかし、ことしも休日開催はゼロでありました。なぜなのか。なぜ答弁と現実が違うのか。しかも、それを20年間以上も繰り返してきたのか。教育委員会は平然とうそをつき続けてこられたと思いますが、これについても明確にお答えをいただきたいと思います。 次に、行政改革について質問をいたします。 今回は、行政改革とは何か、あるいは行政改革のあるべき姿について論じるつもりはありません。単純な質問にとどめておきます。 本市は本年4月から部長級職を廃止しましたが、私にはこのことの意味がよくわかりません。組織を簡素化したいのであれば、他都市のように、まず局長職を廃止すべきであると思うのですが、いかがでしょうか。お答えください。 また、教育次長はことしから1名から2名にふやされたのですが、このことも全く理解できません。もともと教育次長という職は、絶対に必要なポストではありません。教育次長職がない都市は幾つもあります。これも他都市に倣って廃止すべきであると私は思っておりますが、いかがでありましょうか。お答えください。 この局長と教育次長の存続は、市民の目線からは高級官僚厚遇策であるというぐあいに映っています。本当に市民の立場に立つおつもりなら、即決で廃止を表明すべきであると思っております。 次に、子ども条例について質問をいたします。 この条例は、大変重要な条例であると私は思っております。市長も多分そういう思いで、みずからの選挙公約として子供の権利条例の制定を市民に約束されたのではないかと思っております。しかし、今、議会に提案された条例案は、市長が公約されている権利規定がすっぽりと抜け落ちているのであります。一般的な保護育成条例となっています。 このような発想は、国連の子どもの権利に関する条約の批准前の考え方に基づいて作成された条例であります。1985年に制定されました高槻市の青少年健全育成条例がその代表的な例であります。 御承知のように、日本政府は、1994年に子どもの権利に関する条約を批准いたしました。これを受け、まず最初に条例を制定したのがお隣の川西市であります。川西市子どもの人権オンブズパーソン条例であります。日本で初めての権利条例の制定でありました。多分市長は、これらの情勢変化を頭に入れて選挙公約に権利条例制定を入れられたのではないかと推察をしております。 ところが、今回の条例は育成条例となっております。市長の選挙公約と違っています。なぜなのか。選挙公約はうそであったのか、あるいは間違いであったのか。いずれにしても明らかにしていただきたいと思います。このことがあいまいなままでの提案は、筋が通りません。 次に、提案に至るまでの議会との関係についてであります。 私は、この条例を所管している健康福祉委員会に所属して2年になりますが、どうしたことか、常任委員会でのこの問題の協議は一回もありませんでした。なぜしなかったのか、この際、明らかにしてください。 また、議会本会議との関係であります。 06年3月3日の本会議におきまして、酒井一議員が、子供権利条例を制定されるよう質問をされています。その答弁では、子供は基本的人権の主体として尊重されるといった観点を基本とし云々と続き、そして明確に、条例の制定も視野に入れた検討をさらに深めると市長は答弁をされています。このやりとりも明確に権利条例を前提にしたやりとりでありますので、今回の条例とは矛盾をいたします。 本会議では権利条例制定を答弁し、実際の条例では育成条例となっています。このままでは委員会の審議に入れないのではないかと私は思っております。市長の本会議での答弁の取り消しがまずなされなければならないと思っております。この点について、市長はこの問題の整理をどう行って提案されるに至ったかについても明らかにしていただきたいと思います。 次に、私の考える子供権利条例について質問をしてまいります。 私のイメージする権利条例と最も近いのが、岐阜市の岐阜市子どもの権利に関する条例であります。この条例は、まず第1条で「児童の権利に関する条約に基づき、すべての子どもの幸せのために、子どもの自主性を尊重し、その権利を保障することを目的とします。」と目的を明確に示しています。そして第4条以下、子供の権利規定を行っています。第4条では、安全に安心して生きる権利。第5条では、のびのびと育つ権利。第6条で、自分を守り、自分が守られる権利。第7条で、意見を述べ、参加する権利。第8条で、適切な支援を受ける権利として子供の権利を明記しています。子供の権利といえば何か難しいことをいうのではないかという固定観念を持っておられる方もおられると思いますけれども、当たり前のこと、常識的なことを明記しているに過ぎません。むしろ子供の権利の内容を隠すことのほうがおかしいのでございます。 育成条例との違いは、行政の責務の違いです。権利条例では、行政は権利保障のための義務を負います。しかし、育成条例では行政の責任があいまいになります。親の責任が強調されることになります。これでは国連の人権条約の趣旨に反することになります。せっかくの条例が歴史の評価にたえることができない代物となってしまいます。 後世の人に笑い物になるような条例をつくることは、市長の本位ではないだろうと思っております。もし市長のお考えがそうであるとするならば、一遍白紙に戻し、議会と一緒になってすばらしい条例をつくるよう努力をする気はありませんか。お答えください。 幸い全国の自治体を見たとき、ほとんどの自治体がまだ条例をつくっておりません。40ある中核市で条例を制定しているのは、たったの8都市にすぎません。32都市はまだ制定していないのです。また、条例がなくても子供に関する施策は行うことができるのです。今までもやってきたではありませんか。 どうか議会を信頼し、議会と市民で構成する子供権利条例づくり市民委員会を組織し、市民参加型の条例づくりを始めませんか。市長の見解を求めたいと思います。 1問を終わります。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) 小柳議員の御質問にお答えいたします。 まず、この条例の内容は、選挙公約と違うのではないかというお尋ねでございます。 私は、1期目の選挙におきまして、子ども議会で意見を聞き、子どもの権利条例を制定することを公約の一つとして掲げました。この趣旨は、親からの虐待、子供同士のいじめなど、子供を取り巻く厳しい社会環境を少しでも改善し、子供たちが健やかに育つことができるように社会全体で取り組むための有効な方法として、条例の制定を目指そうという思いによるものでございました。 しかしながら、私の思いだけでそのあるべき方向を決めるのではなく、さまざまな方々から御意見を聞く必要があるとの考えから、公開と参画を基本とし、手続を経て取り組んできたものでございます。 まずは、18年度に19歳以上の市民を対象に意識調査を行い、大人の考えを把握するとともに、小学校高学年から高校生の年齢層の子供たちを対象に、子ども会議-ティーンズミーティング-を開き、子供同士の関係や子供と大人の関係の中で生じる問題などについて、子供たちの考えを把握したところでございます。 また、18年度に学識経験者、関係団体、公募市民の方々などで構成する尼崎市子どもに関する条例等検討委員会を設置し、2年近くにわたり御論議いただき、20年3月に意見書としてまとめていただきました。 この意見書におきましては、子供の人権を尊重することを基本として、子供の育ちを地域社会全体で支えるという理念が重要であり、その理念を実現していくための具体策を盛り込んだ条例であれば必要との趣旨の提言がなされております。 この意見書の趣旨は私の当初の思いと同じであり、本市が目指すべき方向を示したものであるため、この意見書の内容を踏まえて条例制定に向けた取り組みを行い、このたびの条例案の提案に至ったところでございます。したがいまして、この条例案は、公約に沿った内容であると認識いたしております。 次に、平成18年3月の本会議で権利条例を制定するとの答弁について、取り消しが必要と考えるが、どうか、この問題の整理をどのように行ったのかというお尋ねでございます。 18年3月の本会議での私の発言ですが、議事録に基づきましてここで確認させていただきます。 「次に、子供に関する条例についてのお尋ねでございます。近年、子供の虐待や子供が犯罪の被害者になるという痛ましい事件が後を絶たず、こうした人権侵害や少子化の進行、人間関係の希薄化などといった子供を取り巻く厳しい環境は、子供たちが健やかに育ち、社会的に自立した大人へと成長していく過程に重大な影響を与えると危惧いたしております。このような状況にかんがみ、今年度、人権、保健、福祉、教育などの関係課長により構成する庁内検討会議を設置し、子供は基本的人権の主体として尊重されるといった観点を基本に、次代を担う子供が自立した大人へと成長していく過程を社会全体で支え、支援していくには何が必要か、また、子供の手本となる大人社会はどうあるべきかなどについて検討してまいりました。来年度は、これらの検討も踏まえまして、学識経験者等により構成する検討委員会を設置するとともに、市民意識調査や子供の意見を聞く中で、条例の制定も視野に入れた検討をさらに深めてまいりたいと考えております。また、子供の人権侵害への対応等につきましても、この検討委員会において論議を深めていただくことといたしております。」と、以上のように答えさせていただきました。 さて、尼崎市子どもに関する条例等検討委員会におきましては、条例の必要性や条例に盛り込まれることが望ましい事項などについて議論され、意見書としてまとめられました。意見書では、子供の人権を尊重することを基本として、すべての子供の育ちを地域社会全体で支えるという理念が重要であり、児童虐待、いじめなど、子供の人権の著しい侵害への対応などについて具体的な仕組みを盛り込んだ条例であれば必要といった趣旨の提言が盛り込まれているところでございます。 したがいまして、当時答弁いたしましたように、検討委員会で御議論いただき、その結果を踏まえまして条例制定の取り組みを進めてきたところであり、平成18年3月の本会議場での答弁を取り消しするつもりはございません。 ○副議長(杉山公克君) 村山教育長。 ◎教育長(村山保夫君) 中学校の体育大会を休日開催しないのは教師がしんどいから、多くの方とつき合うのがしんどいから、この指摘は間違っているか、中学校の体育大会の休日開催がことしもゼロであったのはなぜか、平然とうそをついたのはなぜかと、そのようなお尋ねでございます。 各中学校では、開かれた学校として、平日は文化発表会、オープンスクール等実施しております。休日においても、教師は、土曜参観、進路説明会やクラブ活動の参観と懇談、新入説明会等、多くの中学校で実施し、生徒の様子や学校の取り組みについて積極的に理解をしていただく機会を設けております。 体育大会を休日開催しないのは、御指摘のように理解されているのはまことに残念です。休日開催できていない理由は、他校生や卒業生とのトラブルを心配してのことで、中学校においても最も大きな行事の一つである体育大会に、生徒が競技や演技に集中できるよう現在まで平日に開催しておりました。今年度におきましても、同一地区で開催できるよう調整いたしましたが、クラブの大会と重なり実施できませんでした。 しかしながら、教育委員会といたしましては、体育大会を休日に開催することは、地域の保護者に対して学校教育活動への理解と協力を得るよい機会であると考えております。本来、体育大会等の学校行事の日程につきましては、教育計画に基づいて各学校が決定するものでございますが、体育大会を同地区、同一休日に開催できるよう引き続き調整してまいります。 次に、他都市に倣って教育次長を廃止すべきであると思うが、どうかというお尋ねでございます。 教育委員会は幅広い分野を所管しておりますことから、教職員を含め約3,000名もの職員が在籍し、学校園や図書館、公民館など、数多くの教育施設を抱えております。これらを統括するとともに、多くの関係機関との連携を図りながら本市の教育行政を推進していくためには、一定の権限を持つ教育次長が不可欠であることから配置しているものでございます。 なお、教育次長を配置することは異例なことではなく、兵庫県下におきましても、いずれの中核市にも教育次長が2名配置されております。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 森総務局長。 ◎総務局長(森進君) 本年4月から部長級職を廃止しているが、組織の簡素化に向け、まず局長職を廃止すべきと思うが、どうかといった御質問にお答えいたします。 本市におきましては、団塊の世代職員が大量退職した後の市政運営を安定的なものとするため、行財政構造改革推進プランに組織の見直しを掲げ、簡素、効率的な組織体制に向けた整備に努めているところでございます。 こうした考え方のもと、今年度は、意思決定の迅速化や少数精鋭の職員による組織運営を現実のものとするため、組織階層を3階層から2階層へと見直す組織のフラット化を実施したものでございます。 組織のフラット化に当たりましては、将来に向けて必要とされる行政分野や所掌事務を整理する中で、局組織が市民に浸透していることや、類似都市における局制、部制の機構配置も参考にする中で、部単位よりもより簡素化の図れる局単位での組織構成を基本として継続させたものでございます。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 吹野こども青少年局長。 ◎こども青少年局長(吹野順次君) 子どもの育ち支援条例に関する一連の質問に順次お答させていただきます。 まず、この2年間、健康福祉委員協議会と協議がなされなかったのはなぜかというお尋ねでございます。 20年3月に尼崎市子どもに関する条例等検討委員会からいただきました意見書の内容を踏まえまして、20年度から条例制定に向けた取り組みを進めることとし、20年4月の健康福祉委員協議会におきまして意見書の内容を御報告させていただいたところでございます。 この委員協議会におきましても、委員の皆様からさまざまな御意見をちょうだいいたしたところでございますけども、そのような御意見も踏まえまして、20年度は意見書の内容につきまして関係団体等に説明を行いますとともに、広く市民の皆様を対象に6地区で説明会を行うなど、条例制定に向けました取り組みについて市民の皆様への浸透を図ってまいりました。 ことし、21年度には、この意見書の趣旨を基本として作成いたしました条例素案につきまして、この7月に健康福祉委員協議会で御報告させていただき、御意見をちょうだいしたところでございます。そして、このたび条例素案をもとに作成いたしました条例案を御提案申し上げ、御審議いただく段階に至ったものでございます。 次に、条例案を一度白紙に戻し、議会とともに条例をつくる努力をするつもりはないかというお尋ねでございます。 この条例案は、子供の人権を尊重することを基本として、子供の育ちを地域社会全体で支えることにより、すべての子供が健やかに育つ社会の実現に寄与することを目的としております。 前文にうたっております子供はその成長過程で子供の人権が尊重され、多様な人々とかかわり、多様な経験を重ねることにより、社会の一員としてさまざまな責任を果たすことができる大人へと成長していくという健やかな育ちについて、社会全体で共通認識を持つ中で、子供にかかわる大人たちは子供と向き合い、思いを聞き、それぞれの立場でみずからの役割や義務を自覚し、互いに協力しながら子供の育ちを支えることについて主体的に取り組むことを明らかにしております。 また、この条例案におきましては、次の世代の大人、そして親になる今の子供の育ちが、次代、また次代以降の本市のまちづくりにつながっていくことを踏まえ、長期的視点に立った人づくりを基本としております。 そうしたことから、人々が地域社会の中でつながり、子供たちの周囲に子供の育ちを支える大人がたくさんいるような環境を整えていくための仕組みに加えまして、児童虐待、いじめ、不登校などの要支援の子供を関係機関等が連携して支援する仕組みを盛り込んだところであり、これらの実効性を高めるための規定なども定めているところでございます。 したがいまして、この条例案は、本市の子供たちを取り巻く環境を将来にわたり継続して改善していくに当たっては有効に働き、ひいてはすべての子供が健やかに育つ社会の実現に寄与するものと考えておりますので、改めて別の条例づくりを検討するといった考えはございません。 最後に、議会と市民とで構成する子どもの権利条例づくり市民委員会を新たに組織し、市民参加型の条例づくりを始めるべきと考えるが、どうかというお尋ねでございます。 18年度に設置いたしました尼崎市子どもに関する条例等検討委員会には関係団体の方々や公募市民の方々にも参画していただき、市民意識調査での大人の考えや子ども会議での子供の考えを踏まえ、条例の必要性や、条例に盛り込むことが望ましい事項などについて議論が重ねられ、その検討結果といたしまして、19年度末に意見書としてまとめられたところでございます。 この意見書につきましては、20年度に健康福祉委員協議会で御報告した後、関係団体等に説明を行うとともに、広く市民の皆様を対象に6地区で説明会を行いました。 20年度は、この意見書の趣旨を基本として条例素案の作成を行いましたが、この作成に当たりましては、こうした説明の場で市民の皆様からいただきました御意見も参考にしているところでございます。 また、21年度には、条例素案につきまして、7月に健康福祉委員協議会で御報告した後、8月から9月にかけて改めて関係団体等に御説明を行いました。さらには、広く市民の皆様を対象に6地区で説明会を行い、その場で市民意見公募手続での意見募集についても呼びかけをしたところでございます。そして、市民意見公募手続でいただきました御意見の一部を条例案にも反映しているところでございます。 このたびの条例制定に向けました取り組みにおきましては、こうした市民参加のプロセスをそれぞれの段階で経ておりますので、広く市民の皆様の参画を得ることができたものと考えております。したがいまして、先ほども申し上げましたように、改めて別の条例づくりを検討するといった考えはございません。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 小柳久嗣君。   (小柳久嗣君 登壇) ◆34番(小柳久嗣君) まず、体育大会の休日開催の件でございますが、体育大会を同地区、同一休日に開催できるよう各学校に働きかけているということでございますが、実はそれを3年ぐらい続けてるんですよね。それでできてないんです。村山教育長は初めてやからわからんやろうけど。要するに同一地区でやって日程調整をしようとするからできないんですよ。各学校で年間スケジュールの中でやったらいいんですね。もしこのことが大事だと思ったらですよ。 これは、開かれた学校づくりの象徴なんですよ。簡単にできることなんです。この簡単にできることができないということが、実は秘密があるということを私は申し上げたいわけです。 今、たまたま開かれた学校づくりでオープンスクールをやってると、こういうことですね。やってますよ。やってますけど、親がだれも行かないんですよ。要するに、ある特定の時期、1週間なら1週間、10日間、いつでもいらっしゃいというのがオープンスクールなんですね。そんなもんいつ行っても受け入れるたって、だれも相手にする人おらんのです、行ったって。だからだれも行かないんですよ。小学校は特定の日を決めて、その日にはちゃんと受け入れ態勢を持って授業参観をさせるんですね。だから、形だけなんですよ、オープンスクールって。閉鎖スクールですよ。 だから、そのことを問題にしてるんですよ。ちょっとまだ勉強が十分できてないかもしれないけど、そういう事実をもって、そういう中学校においては閉鎖的な体質がもうしみ込んでるということを教育長はやっぱり改革の課題としてしっかりと受けとめて、来年度の体育大会は少なくとも中学校の半分以上が休日に開催をされると、そうしますということをまず答弁しなさいよ。そしたら私も、ああ、そういう努力をしようとしてる。一斉に全校がやれとは言いませんよ。せめて半数ぐらい中学校は体育大会を休日にやったとすれば、ああ、教育委員会の努力は一応始まったなという評価を私はいたしましょう。皆さんもそうしてください。 ほんで、これは私の実体験から言っとるんですよ。実は、今から15年ぐらい前から尼崎市でもただ一つ、休日に開催をしてきた学校がございます。15年間休日開催をしてきました。私の地元の常陽中学校であります。10周年記念から親たちを招いて、老人会、幼稚園児、保育園児、近くの障害児施設を招待いたしまして、中学校の体育大会を休日に開催してきました。15年間続いて、今、校長がかわりましてやめてますね。わいわい言うてもいけませんので、これは彼だけの責任じゃありませんから。教育委員会という体質の問題ですからね。体質を変えないことにはできませんから。 その間、15年間やって1回もトラブルはなかったんですよ、他校と。あるいは先輩が来るとか、卒業生が来るとかですね。だから、中学校の体育大会を休日は難しいんだというのが教育委員会の理由だったんですよ。ただ単に嫌なだけなんですよね。しんどいからですよ。もうそれしか考えられませんもん。嫌なことをやっぱりやってもらう、これは親の願いにこたえるという極めて公務員としてやらなきゃならんことですよ。親の願いに対して正面からこたえるということを教育行政の柱にしていただきたい。その試金石だということで御理解をいただきたいと思います。 まず、だから答えて、少なくとも半分ぐらいなら来年度やりますということを。そのために努力しますと。全部とは言いません。 それと、行政改革の中で問題になってきましたこの次長の問題と局長級の問題、一緒ですから言いますと、組織のフラット化の話ですね。3階層から2階層に。それはいいんですよ。賛成するんですよ。だったら何で局長級を廃止しないかと言っとるんですよ。そのことに対して答えになってないでしょう。何でそのことを答えないの。要するに、高い給料をもらってる人をやめさすほうが得でしょうが。それが行政改革ちゃうの。単純にそう思いますよ。 そして、市民になじみのあるということ、それでまあいうたら局長級を残した。市民になじみのある呼称が局長やから局長を残したんです、こういうことです。違いますよ。金が高いですよ、これは率直に言って。局長級のほうが部長級より。県でも部長級ですよ、最高は。そして、お隣の西宮市が局長をとってますからそういうぐあいに答えると思うんですけど、全国的に見たときは、そんなん局長職があるのは本当に数えるぐらいです。ゼロとは言いませんよ。 要するに、なぜ尼崎市は局長制をとってきたかといいますと、それは新しい方、御存じないかもしれませんが、尼崎市は40年ほど前から五、六年、政令市を目指したんです。東の川崎市、西の尼崎市ということで競って、それぞれ京浜工業地帯と阪神工業地帯の中核都市で、川崎市が東、尼崎市が西ということで。ところが、尼崎市の場合、3市1町の合併に失敗をいたしまして今日に至ってるわけですけども、川崎市は合併が成功して今や政令市になってる。 この政令市を目指す中で、局長職という川崎市なら川崎市と対等な関係でおつき合いをしようということで局長職が生まれたというぐあいにお聞きをいたしておりますが、それがいまだに続いてるんですよ。もう40年もたってるんですよ。もうそろそろ、中核市になったからじゃなくて、政令市を目指してたんですからね、昔は。 そういうことを踏まえて私は申し上げてるわけで、こんな簡単なことができないようではちょっとだめだと思いますよ、行政改革は。幾ら言ったって。気づいたら即できるでしょう。金も要らない。むしろ金は、いうたら余分な金が生まれてくるわけですよ、高い人をやめさせるわけですから。何でこんなことができずに市民負担の増大だけを考えるのか。施設利用の利用料を上げるのか。 後でまた問題にしますけども、今、そのようなさまざまな課題がございます構造改革推進プランの問題、これも後で申し上げます。そういうことを申し上げときます。 次に、子ども条例の問題ですが、ちょっとこれ、まあこれは委員会で細かい話はやっていきますけれども、ただ指摘だけをしときます。 前文で子供の人権についてちらっと触れてますからいいでしょうと、こういう話ですね。しかし、条約が批准されたんですね。日本人は子供の権利とは何か知らないんですよ。だから、岐阜市のこの権利条例では、行政の責務として子供の権利に関する啓発・普及活動をまず第一の義務としてるんですよ。仮に尼崎市が子ども条例を成立したとき、何を啓発、普及するんですか、規定もせずに。これは指摘ですよ。 それともう一つ大きな問題なのは、荒木議員が指摘された問題もございますよ。子供の定義、大人の定義。議論不足ですね。これは一つの指摘です。答弁要りませんよ。 それと、関係団体の意見をよく聞いてきましたということですね。関係団体、どんなことをだれに聞かれたのか知りませんが、これ、ちょっと答えてくださいね。関係団体。私が言う関係団体を申し上げます。人権団体のことですね。部落解放同盟。在日外国人の団体。障害者団体、女性団体。それぞれいつ、何回、関係団体との意見調整を行われたのかお答えをいただきたいと思います。 次に、2問目に入ってまいります。 行財政構造改革推進プランの根本的問題点について質問を行ってまいります。 このプランの本格的な論議は来年3月の予算議会で行われることになりますので、今回の質問は、その論点整理を中心に行ってまいります。 まず、第1の問題は、プランの策定過程において市民の参加と公開がなされていないということでございます。この指摘は既に北村保子議員がされておりますので、多くは語りません。 ここでは、参加と公開という言葉の理解が市長と我々議会人との間に大きな乖離があるように思われますので、この点を少し突っ込んでみたいと思います。 市長は、本市の参加と公開は十分に行っているという考え方であります。その代表的例として、経営推進会議の公開を挙げられておりますが、しかし我々はそうは思っておりません。経営推進会議の公開は形だけの公開であり、内容が全くありません。御承知のように、この会議は各局で決めたことを報告したり、市長が決めたことを報告するだけの場でしかありません。おもしろくも何ともありませんので、市民の傍聴はほとんどありません。意思決定過程が非公開であるからおもしろくないし、傍聴者も来られないのです。 我々の考えている参加と公開は、新政権によって行われた事業仕分けのやり方であります。事業仕分けの一つ一つの内容につきましては評価が分かれる点がありますけれども、その方法については、我々のイメージと全く一致をいたしております。すなわち意思決定過程への市民参加と公開が見事に実践されたからであります。我々はテレビでしか参加できなかったのでありますが、意思決定過程を生のまま見ることができる迫力を感じました。だから多くの市民、延べ2万人を超える方々が、行列をつくってまで傍聴に駆けつけたのであります。 そこで質問でありますが、市長は、みずから行っている参加と公開は、今でも胸を張って十分に行っていると言えますか。また、新政権が行っている事業仕分け作業の参加と公開についてどう評価をされておりますか。お答えください。 2つ目の問題は、住民自治の問題です。 この問題については、私は過去何回となく質問をしてまいりましたが、議会側と全くかみ合いませんでした。 我々は、本市の住民の自治が大きく崩壊しつつあると認識をしているのでありますが、市長は、本市の住民自治基盤は確立しつつあるという認識なのであります。この認識のずれは決定的であります。 しかし、このずれを正すことなしには、本市の現在の危機を脱することはできないと私は思っております。市長と議会が市民の現状認識において正反対であることは、結果として市政に大きなマイナスとして作用するからであります。それは今回のプランに見られるように、市民サービスの大幅なカットと負担の増となってあらわれています。 さて、そこで本題のずれの問題ですが、我々の認識を説明いたします。わかりやすいように先進都市の例を述べますと、例えば大分市や丸亀市は、自治会の組織率が90%を切った事実をもって住民自治が崩壊の危機に瀕していると認識をし、住民自治再生のために大分市では御近所の底力事業を、丸亀市はコミュニティー協議会運動を、それぞれ数億円を投入し、地域力の再生、すなわち協働のまちづくり運動を大々的に展開されています。この2つの先進都市に限らず、多くの自治体でも同じような取り組みが行われだしておりますのも我々と同じく住民自治崩壊の危機感からであります。 しかるに市長は住民の自治基盤は確立しつつあるという認識であります。その根拠は、市民の中に意識的な市民がふえつつあるということのようであります。したがって、従来の基礎的自治組織は相手にせず、一部の意識的市民を相手に住民自治を再生しようとされているようであります。 そこで再び我々の認識として展開されている事業を示します。それは兵庫県が行っているスポーツ21事業と県民交流広場事業であります。この2つの事業は、住民自治崩壊の危機感からその崩壊を食いとめるために、基礎的自治組織に対し、莫大な金を本市だけで10億円以上もの大金を投入してくれているのであります。大変ありがたいことであります。もしこのお金がなければ、本市の社協の組織率は66%をはるかに超えて50%を割っていたかもしれないのであります。 しかるに本市の場合は、基礎的自治組織の長である行政協力員への報償費を廃止したり、老人会のバス旅行の補助金を廃止したりしようとしています。基礎的自治組織である社会福祉協議会や老人会をつぶそうとしているとしか思えません。なぜこうも違うのでしょうか。先進都市がおかしいのでしょうか。兵庫県の住民自治再生の政策は間違っているのでしょうか。まずお答えをいただきたいと思います。 また、本市の行政協力員への報償金の廃止や老人会のバス旅行補助金の廃止は、本市の財政危機を理由として説明をされていますけれども、これでは説明になりません。なぜなら、兵庫県の財政構造は本市よりもはるかに悪いのです。それでもなお県は住民自治再生のために莫大な金を使うのです。その理由はただ一つ、県が住民自治再生を県政の最優先課題として位置づけているからであります。本市の場合は、政策の優先順位をつければ下位になっているのだと思います。 住民自治はなぜ必要なのでしょうか。多くを語る必要はないと思います。阪神大震災で証明されたように、自治がしっかりしていれば防災機能が高まります。また、鹿児島市で証明されているように、防犯機能も高まります。また、高知市や長野市で証明されているように、住民の健康増進へも大きく寄与します。そして、これらが総じて行政経費の大幅削減につながるのです。助け合い型の地域づくり、協働のまちづくりが全国で展開されている理由がここにあります。そして、それこそが全く新しい行政改革なのであります。 すべてを官僚が事業展開していたものを住民みずからが企画立案し、財源も権限も持ち、まちづくりを展開するのです。その結果、職員の数を大幅に減らすことができます。住民の福祉を向上させ、財政再建を果たす、これこそが地方分権時代の新しい姿だと思っています。市長の考えをお聞かせください。 次に、住民自治基盤確立にとって大変重要な役割を担う触れ合いの場づくりについて質問をいたします。 丸亀市では、住民自治再生のキャッチフレーズとして触れ合い・助け合い運動を展開しています。助け合い型地域をつくるためには、まず触れ合いの場づくりと触れ合いの機会づくりに大金を投入しています。触れ合いの場とは、具体的には公民館づくりです。すべての小学校区に1つずつ、計20の公民館をつくりました。この考え方は高知市、鹿児島市、長野市も同じです。それぞれ40から60カ所の公民館を整備しています。 しかるに、本市は公民館はたったの16館でしかないのに、それさえも廃止しようとしています。時代が公民館を今こそ必要としているときに、なぜ廃止なのか、私には全く理解できません。助け合い型社会をつくるための重要な拠点施設としての公民館という認識がないから簡単に廃止するという方向が出るのだろうと思います。 質問いたします。さきの先進都市のように、公民館を協働のまちづくりの拠点施設と位置づけて整備をしようとしないのか、なぜ廃止なのか、お答えください。 次に、触れ合いの場づくりとともに重要なのが触れ合いの機会づくりです。現代社会は高度に発達した資本主義の弊害に悩まされています。すなわち人間の尊厳の喪失です。個々人がばらばらにされ、人間として大切に扱われなくなってしまっているのが今日の状況であります。 そこで、人々は人と人との触れ合いを求めます。人間性回復を求めています。今、その役割を担っているのが最近ふえ続けているカラオケ喫茶であります。カラオケ喫茶は、行かれた経験のある方は理解できると思いますが、単に歌を歌うだけではありません。「元気か」「あいつはどうしてる」「今度また旅行に行こうや」などなどの会話が弾み、まさに触れ合いの場、すなわち地域のコミュニティーセンターの役割を担っています。 このように市民は触れ合い、交流を強く求めています。小金を持っている人はカラオケ喫茶に行って、触れ合いの機会に恵まれますが、その他の多数の市民はそうはいきません。行きたくても行けない人がたくさんおられるのです。そういう方々も含めて、触れ合いを求めている市民に対し、行政は責任を持って答える義務があります。そして、その触れ合いの場がすべての市民が参加できる祭りであります。 祭りこそが触れ合いの機会として最も重要な役割を果たします。丸亀市では、コミュニティー協議会の最大の事業として祭りを位置づけられています。その祭り実行委員会の中心には若い方々、子育て中のPTAの方々を据え、触れ合い交流を強められています。その結果、自治会員も順調にふえ、コミュニティー崩壊の危機は免れたそうであります。 このように、祭りは住民自治基盤確立にとって極めて重要な役割を果たすのでありますが、なぜか本市は時代の流れに逆行して、祭りから撤退する方針を明らかにいたしました。この方針は、単に全市的祭り、市民祭りだけの衰退では終わりません。各支所単位の地区祭り、各自治会単位の祭りの縮小へとまさに負の連鎖が始まります。そして、地域コミュニティーの崩壊に拍車がかかるのです。したがって、市民祭りからの行政の撤退はやってはいけないことなのです。住民自治の基盤を根底から破壊するからです。市長の見解をお示しください。 次に、住民自治基盤再生のプランが示されていないことについて質問をいたします。 最も基本的な再生事業は、基礎的自治組織への助成、財政的、人的、物的な支援でありますけれども、これについては答弁が期待できませんので、もうここでは触れません。ただ、指摘だけはしておきます。それは、本市の基礎的自治組織である社会福祉協議会の組織率を90%にすることを市長の責任で行わなければならないということについては、これははっきりと指摘をしておきたいと思います。社協の責任ではありません。市長の責任であります。 さて、再生プランをよりわかりやすくするために、過去の事業を具体的に示しながら質問をしてまいります。 例えば、きのうの上村議員が指摘されましたわんわんパトロール隊事業の再生についてであります。 彼の質問への答弁は全く不十分でございました。私はこのわんわんパトロール隊事業を再生できる能力が行政にあれば、本市の住民自治基盤の再生の可能性があるというぐあいに思っております。そこで、わんわんパトロール隊事業を協働の視点で再生する方策について改めて質問をいたします。 行政はこれまでいろんな事業に着手をされて、継続してまいりましたが、そのほとんどの事業をこのわんわんパトロール隊事業のようにいつの間にかほったらかしてきました。私が思いつくだけでもすみれ会事業、花のまち委員会事業、さわやか指導員事業、認知症100万人キャラバンメイトサポーター事業などなどがあります。 これらの事業を代表してわんわんパトロール隊事業の再生プランをこの際示していただきたいと思います。 次は、住民自治基盤再生プランの2つ目の提案でございますが、先ほども言いましたけども、公民館の充実であります。人こそが財産であり、人材の発掘、育成に努めてまいりたいと白井市長は常々あらゆる場所で言っておられます。 しかるに、その人材育成にとっての拠点施設である公民館分館廃止の方針は、全く理解できません。コミュニティーリーダー養成、老人大学、今はやりの歴史講座など、公民館が担っている社会教育の重要性がさらに増していると私は思っております。このように単純に考えても、公民館は今こそ必要であると思うのでありますが、市長は廃止をしたいと思っておられます。 これまでも言い続けてまいりましたけれども、本市の公民館数は現在でも他都市と比べたら圧倒的に少ないんです。鹿児島市は本市の4倍、長野市は3倍、そして11月に行ってまいりました高知市は5.5倍もあります。財政当局は、本市は他都市と比べ施設が多過ぎる。だから減らしたいと皆さんに説明をされてると思います。これは真っ赤なうそであります。自分の都合のよいデータをそろえて議員を説得しようとします。今回もそうであり、議員各位におかれましては、決してだまされることはないと思いますが、あえて触れさせていただきました。 社会教育の重要性、公民館の絶対数の少なさを明らかにし、本市での公民館分館廃止の理由は何一つないことを申し上げてまいりましたが、当局のお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。2問終わります。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) 参加と公開についてのお尋ねにお答えいたします。 参加と公開は、今でも十分に行っていると言えるのか、事業仕分けの参加と公開についての評価はどうかというお尋ねでございます。 私はこれまでから情報公開と市民参画をまちづくりの基本姿勢として諸施策に取り組んでまいりました。市役所を市民に開かれたものとし、透明性を高めるため、経営推進会議を初めとする会議の公開や情報公開条例の制定、直接的な市民との対話の機会をふやす取り組みとともに、市民意見公募手続を初めとする各種行政計画の策定時には市民懇話会を設置するなど、市民の皆様の意見を聞く制度の充実についても一定の成果を上げてきたと考えているところでございます。 しかしながら、同時に情報公開のあり方につきましては、社会の変化や市民意識の高まりを踏まえ、常に検証し、高めていく必要があると考えており、今後とも市民が求める情報を的確にわかりやすく、タイムリーに届けられるよう工夫し、実施していくことが必要でございます。 事業仕分けにつきましては、外部視点を取り入れながら公開実施されたことで、客観性や透明性の向上に寄与し、また国民の国政への関心が高まったと言われており、私もそのように感じておるところでございます。 なお、小柳議員が御発言の中で、組織の簡素化に向けた取り組みについて、以前尼崎市は政令市を目指していたので、それがまだ引きずられていること、また、給料の高い局長級をやめさせたくないからそのような制度にしたのではないかというふうな御発言がありましたけれども、そのあたりは全く誤解でございまして、政令市を目指していた時期に局長級をそういうふうな意思で置いたのかもしれません。それはその当時事実だったのかもしれませんけれども、現在においてそのような考えを引きずって、組織の簡素化を考えたわけでもなく、給料の高い局長級を残したいから局長級を廃止しなかったわけでもございません。 先ほど来申し上げておりますように、簡素・効率的な組織体制に向けた整備のため、将来に向けて必要とされる行政分野や所掌事務を整理する中で、部単位よりもより簡素化の図れる局単位での組織構成を基本として構築したものでございますので、誤解のないようよろしくお願いいたします。 ○副議長(杉山公克君) 鶴田協働推進局長。 ◎協働推進局長(鶴田茂君) 本市における住民の自治基盤の確立に対する考え方と先進都市や兵庫県の住民自治再生の施策とはなぜこうも違うのかとのお尋ねでございます。 少子・高齢化社会の到来や社会経済状況の多様化、複雑化の流れの中で、住民自治基盤の確立はいずれの自治体においても重要な課題でございます。 その取り組み手法は自治体によって異なるものの、地域の課題について、地域を構成する多くの市民が互いに支え合い、知恵と力を結集し、主体的に解決することができる仕組みづくりを進めるといった点においては、目指すところは同じであると考えております。 次に、住民みずからが企画立案し、財源、権限を持ってまちづくりを展開すれば、住民の福祉が向上し、財政再建も果たすことができる。これが地方分権の新しい姿ではないかとのお尋ねでございます。 地域みずからが課題を共有し、ともに解決策を考え、課題解決に向けた取り組みを進めていくという市民主体のまちづくりは、地方分権の進展とともにその重要さを増していくものと考えております。 ただ、その地方分権の流れに沿って、地域に財源や権限をゆだねていくことにつきましては、一つの手法としては認識はいたしておりますが、まずは地域みずからが課題解決策を考える力を固めていくため、現在さまざまな協働の取り組みを進めているところでございます。 次に、市民祭りから行政の撤退をしてはいけないと思うが、市長の見解はどうかとのお尋ねでございます。 議員御指摘のとおり、祭りが市民の触れ合いの場として、またコミュニティーの活性化にも重要な役割を果たしていることは認識いたしております。 また、市民祭りにつきましては、多くの関係団体が参画する協働の取り組みとしても意義のある催しだと考えております。特に平成19年度からは市民主体の実行委員会が企画運営を行い、大きな成果を上げておられるところでございます。 ただ、現在本市が危機的な財政状況であることから、行財政構造改革推進プランにおいては、イベント、行事等の一時凍結を計上し、市民祭りにおきましては、その補助金を凍結することとしております。今後の市民祭り開催の有無につきましては、主催者であります尼崎市民まつり協議会において決定されることになりますが、開催される場合におきましては、安全対策面の人的支援や警察等への手続等の側面的支援、またはこれまで培ってきた開催のノウハウの伝承といった役割等引き続き行政が担っていくべきものと考えております。 次に、わんわんパトロール隊事業の再生プランはどうかとのお尋ねでございます。 昨日の上村議員の御質問に対しましても御答弁申し上げましたが、わんわんパトロール隊は地域住民の防犯意識の高揚及び街頭犯罪の抑止効果を目的として平成16年に結成したものでございます。結成当初は全国的にも珍しい取り組みであったため、マスコミ等でも取り上げられるなど話題性もありました。 しかしながら、結成から6年を経過し、隊員の皆様の自主的な活動にお任せしていた状況があることも事実でございます。 ただ、登録隊員数は1年目の平成16年度には157名でありましたが、翌年には465名にまでふえ、現在670名が登録されており、わずかずつではありますが増加を続けていることもあり、市民の皆様にも関心を持っていただいているものと考えております。 今後とも本事業の趣旨である犯罪の未然防止や市民への防犯意識の普及のため、より一層の加入の呼びかけを行うほか、警察署や防犯協会、そういった関連機関との連携も努め、活動状況等を広くPRしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 村山教育長。 ◎教育長(村山保夫君) まず半数以上の学校は休日に体育大会ができるように、そのように言えるかと、そういった御質問でございます。 体育大会等の学校行事の日程につきましては、教育計画に基づいて各学校が決定するものでございますので、私がここで約束したかのような発言はできませんが、努力したなと思っていただける程度に開催できるようにしたいと思います。 続きまして、公民館を協働のまちづくりの拠点施設として位置づけ、整備をしないのか、なぜ廃止なのか、また公民館の絶対数が少ない中で、本市の公民館を廃止する理由について見解はどうかといったお尋ねでございます。 公民館は、住民のために実際生活に不足する教育、学術、文化に関する事業を通して、教養の向上、生活文化の振興などに寄与することを目的とする社会教育施設として昭和26年に初めて中央公民館を設置して、以降きめ細やかな学習活動を支援するため、6地区公民館と分館を設置し、今日に至っております。 また、公民館は、市では中学校の校区で設置することが望ましいとされる国の公民館設置基準が平成15年に改正され、対象区域の規定が削除されました。時代を経る中で、市民のニーズも多様化し、文化、芸術を初めとする専門施設ができ、民間のカルチャーセンターや大学等での公開講座などにより、公民館の役割、魅力が薄れる状況も出てまいりました。 分館においては、多くが昭和40年代、50年代に建設されたこともありまして、現在大変老朽化が進んでおります。こうしたことから、利用者が次第に減少し、公民館登録グループなどが占める比率が高くなってきております。さらに財政が厳しい状況にあることから、定数や経費の削減、分館での地域協議会の管理委託などの工夫に努めてまいりましたが、21年度予算では総経費約5億3,000万円でありますが、そのうち事業活動費は970万円となっております。 今回、こうした公民館を取り巻く状況と、さらに本市の一層厳しい財政状況を踏まえ、6地区公民館に人員等削減を集中して機能の強化を図り、分館については利用者の活動場所の確保に努める中で、順次地域と協議しながら移管等行っていくものでございます。 以上です。 ○副議長(杉山公克君) 答弁の途中ですが、所定の時間となりましたので、小柳久嗣君の質問は終わりました。 続いて発言を許します。 須田和さん。   (須田 和さん 登壇) ◆17番(須田和さん) みどりのかけ橋、須田和でございます。9月議会に続いて、ここでまた質問の機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げます。 これから現在推進計画を策定中である食育について、そしてきょう12月4日から始まった人権週間など人権を考える事業の2つについて質問をさせていただきます。 まず、食育の推進についてお尋ねいたします。 明治時代の学者、石塚左玄が「今日、学童を持つ人は、体育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき」と説いたのが明治31年、1898年のことだそうです。それから107年後の現代、2005年、平成17年に国が食育基本法を制定しなければならないほど食生活を考え直す取り組みが必要になった社会に私たちは今生きているのだと考える次第です。 現代の食生活は、経済の発展とライフスタイルの変化によって、食事の時間は望めばいつでも手に入る。量は望むだけの量が対価さえ払えば得ることができるようになっています。そのためか栄養のバランスを欠き、時間も不規則になり、さらに食品の安全性の信頼を失わざるを得ない、そういう問題も多発いたしました。テレビや雑誌、インターネットで子供や若い方たちがあこがれて好ましいと思うタレントやアーティストたち、特に女性のほっそりとした容姿が美しいと評価される、この風潮から起こる摂食障害、過食や拒食なども深刻な問題です。 昨日、前迫議員の御質問、中学の昼食、米飯弁当への御答弁の中で、中学生がなかなかその注文数がふえないということで、中学生に聞くと量が多いということ、特に男子生徒にはスタミナ弁当、女子にはヘルシー弁当といったような、そういう希望があるという声があったと聞きまして、少し議席からは失笑というのか、笑い声が漏れたと思うんですけれども、多分体格とか好みとか食欲という、その個で見るのではなく、男子はとにかく体力をつけるためにがっつり食べろと、そして、女子はひょっとしたらカロリー制限をしながら、太くならないようにということが中学生のもしかしてその意識の背景にもすり込まれているとしたら、まだまだ男女共同参画推進の視点での教育が必要なんじゃないかなというふうに思いました。 話を食育に戻しまして、いろいろな現在の食生活の課題を私が今ここで一つずつ皆様に説いていく必要もないまでに大変重要な社会問題になっているということ、それは家庭での子育てや教育の場だけに限らず、自分の食について考える習慣や知識を持つこと。何をいつどのようにどのくらい食べるのか、それを自分で判断する力を持つこと。これらを目標に、年代や性別、ライフスタイルなどにかかわらず、考えて、学び直さなければならなくなったのだと思います。 尼崎市では、現在、食育推進計画が策定中であり、食育推進会議の委員の皆様方が市の関係各課とともに実効性のある計画策定のために協議をされています。市のホームページ上で公開されている推進会議の議事録要旨、現在まで3回開催されておりますけれども、私も拝読いたしました。 この推進会議に先駆けて、平成20年度には庁内で環境部局がそれぞれ実施している施策の推進や調整、情報収集と共有、そして、食育推進会議の策定を目指すために、食育推進検討会議が設置されています。 成人2,000人、そして幼児の保護者や小学5年生、中学2年生、そして高校2年生、それぞれ500人を対象に尼崎市食育に関する意識調査をことし6月にも実施されました。その調査結果をもとに、食育推進会議で議論されているということがホームページの議事録からもよくわかりました。 尼崎市には生活習慣病を予防する取り組みに効果を上げているヘルスアップ尼崎戦略事業という成功例もあると思います。健康な体と心の基礎をつくるための食育の推進において、まずは計画を策定し、これから市民と市が協働しながら、ユニークな効果のある取り組みが期待できると私は思っています。 次のことを質問させていただきたく、御答弁をお願いいたします。 策定中の食育推進計画の進捗状況はいかがでしょうか。午前中の土田議員の御質問に答えられたので、計画策定への背景など、それはもう十分わかりました。現段階で御担当課が実感しておられる尼崎らしい食育を進める上での課題があればお示しください。 また、平成17年度の食育基本法制定以後、既に市で取り組んでこられた食育の推進に関する事業で、家庭、地域、学校、職場、それぞれの場でどのような効果が上がったでしょうか。今までの食育推進の事業をどのように評価されているかをお答えください。 1つ目の質問は以上でございます。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 大橋医務監。 ◎医務監(大橋秀隆君) 策定中の食育推進計画の進捗状況と尼崎らしい食育を進める上での現段階の課題は何かという御質問でございます。 尼崎市食育推進計画の策定につきましては、平成20年度に庁内関係課長で構成します食育推進検討会議を設置し、庁内の食育に関する情報収集や計画策定に向けての検討を行ってまいりました。 さらに本年5月には公募市民の方々や学識経験者、生産・流通分野や教育、保育などの委員15人で構成する尼崎市食育推進会議を設置しまして、これまで会議を重ね、計画の内容について具体的に検討を行っているところでございまして、今年度末に尼崎市食育推進計画を策定する予定で現在作業を進めております。 また、計画を策定するに当たりまして、庁内の食育に係る各種取り組み内容や統計及び本年6月に実施いたしました尼崎市食育に関する意識調査の結果から、本市の食育に関する現状や課題を整理してまいりました。 これらの結果からは、本市におきましては子供の個食や小食の欠食割合が高く、かつ年齢が上がるにつれて多くなっていること、食物に対する感謝の念が希薄であること、食生活が大きく影響する生活習慣病を起因とする死亡率が高いこと、食育への関心や認識は一定あるものの、実践には至っていないことなどを課題として受けとめております。 続きまして、食育基本法制定以後に取り組んできた食育の推進に関する事業で、家庭、地域、学校、職場、それぞれの場での効果はどうだったのか。また、どのように評価しているのかという御質問でございます。 本市におきましては、これまで教育、保育、保健、農政など多くの分野において、その役割に応じたさまざまな取り組みを行ってまいりました。それぞれの事業は、その内容や実績等について事務事業評価等により整理し、随時見直しを行いながら実施してきたところです。 しかし、これまで本市における食育の基本理念や方向性を定めた計画がなかったことから、各事業を食育という視点から評価するには至っておりませんでした。 さきにもお答えいたしましたとおり、計画策定に当たり、庁内の各種取り組み内容や統計などの把握を行いましたが、その作業を通して見えてまいりました課題は、その後に実施いたしました食育に関する市民意識調査の結果によっても多くの部分で裏づけられるものとなっております。 このことから、食育推進の方向性や目指す姿を示し、本市が取り組むべき施策を明らかにする食育推進計画の必要性を改めて確認したところでございます。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 須田和さん。   (須田 和さん 登壇) ◆17番(須田和さん) 医務監、御答弁ありがとうございました。 年度末までに計画を策定されるということで、恐らく今その締め切りといいますか、ゴールを目前にされて、策定委員会や事務局の皆様はいろいろと御苦労もあるかと思います。 お話の中で、基本理念やその方向性を示す計画がないときは評価もされなかったということを聞いて、今さらながらにこの計画というものが必要であるという、この重要性を思い知った次第です。 市民意識調査の結果の中で、子供の個食、そして食べ物への感謝の念の希薄化、それから生活習慣病による死亡率が高いという結果、知識を私たちは、確かにそういうことはあるんですけれども、実際自分を振り返ってみても、なかなか実践には至っていないということを私自身も課題として受けとめたいというふうに思いました。 先日、宮崎県で開催されました子育て支援の取り組みを母親たち自身が行っている、そういうNPOや民間団体などのネットワークの対応に参加しました。 これはもう私ももともとメンバーで、かつてこの尼崎市内でも全国大会を市民参加型のパネルディスカッションとして主催したこともありますので、自費での参加でございましたけれども、この中で、子育ての当事者自身が情報発信をしながら、いろいろな各地で取り組みを進めている。その中で、非常にこの15年たってきたこのネットワークなんですけれども、少しずつ食育に自分たちの活動もシフトしているんだと、シフトを変えているんだということを聞きました。 例えば福岡のある女性の企業家がつくった会社で、NPOとも連携しながら、さまざまな子育て支援の活動をしているところの社長が言っておりましたけれども、スーパーから魚が売れないと。新選な魚を用意していても、若い人が買ってくれないんだという、そういう声があって、どうしたらいいだろうかという相談を受けたと。 それで、まず簡単に言うとだれでもおわかりになることだと思いますけど、魚の形をしたままだとおろし方がわからないからということで売れないと。それは調べなくてもわかるんだけれども、いろいろな調査をしたり、聞き取りをすると、ほとんどの方がそこのスーパーに買いにこられるのは、密室と言われるマンションで、集合住宅で暮らしておられるので、においが残るのが嫌なんだと、それが理由なわけなんですね。それで、ただ、ずっと調べていくと、売れる日と売れない日があって、売れる日というのは曜日が固定されてて、どうしてだろうということを見ると、結局翌日に生ごみ、燃やせるごみを出せる日の前の晩なら魚をさばいても少し我慢できると、一晩のことだからという、そんな状況で、これからのマーケティングを考えていったらどうかという、子育て、それから生活者としての視点を持った提案を女性たちの会社が行っていって、大変好評であり、かつ、じゃ魚のおろし方を子供にでもわかるように今の女性たち、男性たちにわかってもらうにはどうしたらいいかというので、これは日ごろ子供に絵本の読み聞かせをしている親だからこそ出た発想だと思うんですけれども、おなかからめくると魚のおろし方が書いている。そのパンフレットそのものは魚の格好をしているという、本当に子供向きというふうに一見思われるようなものを大人対象につくって配ると、大変好評であったというものです。 そのマーケティングといいますか、そのセールスの結果までは聞いておりませんけれども、そういう取り組みを一つずつして、だれもが食育ということを頭に置きながら、これが食育なんだ、これが基本法ができたからやってることなんだということは意識していないにしても、私たちの生活の中に非常に密接なかかわりを持っているテーマだというふうに思います。 尼崎市内でも平成18年度に子供対象の飲料メーカーとそれから他市のNPOとそれから市内のNPOが連携して、食育の連続講座を開催しておられます。 生活の自立ができるようにということで、男性対象の料理教室はふえているんですけれども、そこがやられたのは、三和商店街でみずから男性たちが買い物もして、マイ包丁、マイまないたも持ってくることを課せられて、そして料理をするという、単なる用意されたものをつくって、よくできた、おいしかった、はい終わりというんではなく、1週間の献立を立てたり、食材を自分で買って、値段を知ったり、それから常備する調味料の添加物であるとか、消費期限を知るというような大人のためのそういう食育の視点を入れた料理教室がこれからふえていくんではないかというふうに思います。 公民館も話題になりますけれども、多くの市民の方がたくさんのさまざまな事業を楽しみに通っておられる。その事業の中に、今度は尼崎らしい食育の味つけがされていくこともできるんではないかと思います。 10月に発行されたばかりの「食育の力」という本で知ったのですけれども、アメリカの食育というのはあくまでもまずがん予防ということで、「Five a Day」といって、1日に5品目以上を食べる。昔、1日30品目って日本では言ってた、昔でもないですね、つい最近言っていたと思うんですけれども、1日5品目以上食べることを推進する学校での給食、それは朝食であったり昼食であったりするということですし、それから学校内の自動販売機には、低カロリーで高い栄養価のものか、もしくは炭酸飲料をどうしても人気があって置くんであったら、もう低カロリーかノンカロリーのものしか置かないというような細かい取り組みを今行っているというふうに書いてありました。 また一方、フランスでは、食生活や食文化の乱れに嘆いたシェフたちが提唱して、後に国の取り組みとなった「味覚の授業」と呼ばれる学校での食育があるそうです。つまり郷土料理や食文化という、自分たちがずっと代々なれ親しんできたものをもっと若い方が身につけられるようにというもの、それが後には「味覚の週間」という週間事業になり、これは学校だけではなく大人たちに対しても生産者や外食産業が共同でイベントを行いだしたということです。 日本も6月が食育月間ということなんですが、各種広報媒体やイベントなどを活用して、全国規模の中核的なイベントをしますよと。食育推進全国大会を開きますよ。毎年開催地を移しながら開催します。それを食育実践の契機とするように呼びかけるということとしていますと内閣府のホームページには書いてあるんですけれども、行政がそのとき限りのイベントによって、参加者数だけで浸透した、市民は関心があったという評価をするのでは、食育月間という月間は浸透しても真の食育の推進にはならないかもしれないと思っています。 文教委員会では、給食の米飯回数のことであったり食育の推進に対してふやしてほしいという陳情があって協議をしています。市民の方たちが未来をつくる子供たちのことを懸命に育てている者の立場で考えた上での提案だというふうに思います。 私たち市民がもっと多くこの計画策定の途中から関心を持って、パブリックコメントをチャンスととらえて意見を出したり、策定後はその計画の冊子だけが配られて、それを眺めているというんではない、今から策定をされている、計画をつくろうという追い込みに入っておられるところにもう少し皆様が、私も含めて関心を持たなければならないのではないかと思います。 アメリカのように健康と栄養を考える取り組みをまず徹底させるのか、フランスのように自分たちの国の文化、食文化、伝統食というものを興味が持てるような若者たちを育てる取り組みを進めるのか、尼崎スタイルの食育が計画策定後につくられていくことをビジョンとして私は持ちたいというふうに思っています。 私には4カ月になります孫がおりまして、一緒に住んでいるわけではないので、時々会う程度なんですけれども、完全に母乳だけでああして生きている、育っていくという姿、そして、母乳とわずかな水分しかまだ口にしていないのに、こちらが食べていると、このごろは身を乗り出してきたり、よだれを垂らしたりするという食へのその意欲といいますか、それは非常に先ほど市民意識調査結果でもあった食べ物への感謝の念の希薄というようなことを聞きながら、その孫のことを考えておりました。 乳幼児の日々の育ちを命を削って育てている母親、父親たちのその思いも酌んで、この食育というものを進めていっていただけたらと思います。 続いて、2つ目の質問、人権週間など人権に関する行事についてお尋ねいたします。 きょう12月4日から10日までは、もう言うまでもなく人権週間で、これは国連が世界人権宣言が採択された12月10日を世界人権デーと定め、日本も1949年、昭和24年からその世界人権デーを最終日とする1週間を人権週間としました。 「市内各所にまだ残る差別を断ち切る主役はあなた」というのぼりが掲げられています。そして、市報あまがさきでは毎年12月号では、いつも人権問題の記事が掲載されています。タブロイド版で月2回発行のときも第1面にありましたし、月間の冊子のスタイルになってからは数ページを使って人権問題の特集が組まれています。 平成18年12月号では、身近にある人権問題の例であるとかインターネットと人権、子供への虐待、そして人権啓発推進員さんの活動紹介、19年12月号では、人権侵害や人権を守ることについて、さまざまな世代の市民の皆さんたちの10人の声が上がり、そして人権啓発推進員の活動紹介があります。昨年は、相手の気持ちを尊重することをテーマに、妊娠中の妻の大変さを妊婦シミュレーターで体験した夫の声、そして、視覚障害を持つ方、高齢者がどんなふぐあいがあるかを実際に体験した幼稚園児の母親の活動レポートが挙げられていました。 また、毎年必ず市のごみ収集の仕事をされる職員の方が登場されて、プロとしての誇りや苦労などが語られ、そこから職業差別を考える記事というのが毎年掲載されています。 ことしの12月号、人権週間の特集がドメスティックバイオレンスでした。巻頭4ページの記事で、ドメスティックバイオレンスをここで今定義を説明する必要もないかと思いますが、配偶者や恋人など、とても親しい関係にある、または過去に親しい関係にあった人からの暴力のことで、今DVという語が定着しつつあると思いますけれども、その語句の説明も入り、わかりやすい説明と「許さないDV」というしっかりとした市の姿勢を打ち出された記事だったと思います。 何よりDVが夫婦間のことで、他人が立ち入ることができない問題ではなく、こうして市報に取り上げられてまで人権侵害の問題だということで、初めてこの記事で知ったという方もおられました。 おととい電話がありまして、今までDVは知っていたけれども、自分のこととは違うと思っていた。両親がそういう関係だったので、自分も夫からそうされてもそういうものなんだと思っていたけれども、この市報を読んで、暴力を振るわれたり暴言を吐かれたり無視されたりするのは何も自分だけが悪いんではないんだということを知ったというお電話をいただきました。 平成13年に策定された尼崎市人権教育・啓発推進基本計画も現在見直しが行われているとのことでございます。22年度までの計画を社会の変化に応じて少し前倒しに計画見直しを進めておられるんではないかと拝察いたしました。 私がお伺いしたいのは、今この人権週間の初日、この市報あまがさきでの記事のほかに、市民がいかなる人権侵害も、あるいはいかなる暴力も許すことはできないということをこの市民自身が学ぶことができるような市の主催事業であるとか共催の事業などはあるのでしょうか。 人権問題を考えて学ぶ、その事業の企画、実施はどのように庁内の連携や市民との協働をもって進めておられるのでしょうか。 以上が2つ目の質問です。御答弁をお願いいたします。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 答弁を求めます。 鶴田協働推進局長。 ◎協働推進局長(鶴田茂君) 人権週間のこの時期に市民が人権について考え、学ぶなど、いかなる人権侵害や暴力もゆるさないことを知るような市の主催・共催事業はあるのか、また、これらの事業の企画実施はどのように庁内の連携、市民との協働をもって進めているのかとのお尋ねでございます。 人権週間に当たり、本市におきましてもこの期間を中心として市民参加のもとにあらゆる人権問題の啓発を推進していくために、音楽と講演による人権を考える市民の集いや子供たちの人権をテーマにした作文等のコンクールの表彰と少年音楽隊や合唱隊の演奏等による人権週間の集いなどが全市的な事業として開催されております。 また、市内6カ所の総合センターの各地域では、それぞれの人権推進委員会により啓発パレードや街頭啓発活動、人権問題講演会などの人権啓発キャンペーンが実施されているところでございます。 これらの事業につきましては、市民や地域団体等で構成する実行委員会で企画立案段階から協議を行い、関係機関との連携により開催されているものでございます。特に人権を考える市民の集いは、市と企業団体と人権啓発協会による連携事業として実施され、また人権週間の集いにつきましては、法務局、教育委員会、人権擁護委員協議会の共催事業として実施されているところでございます。 さらに各地域の人権啓発推進委員会につきましては、社会福祉協議会を中心に学校やPTA、地域の老人会や婦人会などを構成メンバーとして主体的な運営が行われており、各総合センターが事務局を務め、市と地域住民団体、地域住民との協働を推進しながら人権啓発の取り組みを展開しているものでございます。 以上でございます。 ○副議長(杉山公克君) 須田和さん。   (須田 和さん 登壇) ◆17番(須田和さん) 協働推進局長、ありがとうございました。 多くの市民や地域団体の方々がこの人権週間の事業に企画立案から参画されている。そして、今総合センターの役割ということもありましたけれども、市民と行政がこの問題は一生懸命協働しながらやってきた歴史があるということを強く感じました。 ただ、人権週間のほかにもまだまだ人権に関するさまざまな月間ですとか週間ですとか何々の日というものがたくさんあるようです。兵庫県の人権啓発協会のサイトでは、男女共同参画週間とか障害者週間、児童虐待防止推進月間、女性に対する暴力をなくす運動、犯罪被害者週間など、よく皆さんが御存じのものも入れながら100以上あるというふうに挙げられていました。 人権問題を考えるとき、その人権侵害のないまちを目指して、人権週間同様効果のある全市で事業を行うべきものはまだまだあるのではないかというふうに思います。 この食育推進計画のことで申し上げましたけど、計画が計画という名の冊子の完成で終わらないように、また週間事業などもその日の名づけのPRだけで終わらないようにやりくりをしながら、これから市民と行政が知恵と工夫と協働で取り組むことを考えていただきたくお願いします。 このごろ有名な方を呼んできて、そして動員をかけて、たくさんの方が座ってじっと話を聞くという座学といいますか、承り型の講演会では、参加者の関心を継続させるというためには、よほどのその参加者のニーズ調査と、それから講師のテーマ設定やそれを伝える手法、力量と、それを事前につないでいる主催者事務局の力量がないと効果を上げるのは難しいと、私も幾つか研修の講師などで他市に伺ったりしますときに感じています。 特に人権問題の講座では、講師とそれから参加者、受講者らと、それから主催者との3者ともがその後にその意義を認めて行動するきっかけとなるような事業でならないと思います。記述式などのアンケートによって満足度をしっかりと主催者が確認し、1回きりの学習ではなく、学んだことを生かすという、その後の参加者へのフォローアップなども人権問題の啓発事業では必要ではないかと思います。 毎年見る、先ほど申し上げた市内に飾られているのぼりを見て、そして、ああ、ことしも人権週間だなと思う。キャッチフレーズを書かれたポケットティッシュを受け取って、ああ、人権週間だなと思う。そうした毎年の繰り返し、積み重ねも大変啓発には効果的だと思います。 東京タワーがピンク色になった。それは乳がんの撲滅、検診を受けましょうということで、それからオレンジ色になった。児童虐待を防止しましょうということ。そして、紫色に点灯されたのは、女性への暴力をなくしましょうということで、それを1つつけただけで何になるという方もあるかもしれません。でも、そこまでして伝えようとする大事なことなのだと思ってくださる方も多いかもしれません。 そして、何より当事者は、自分だけの問題だというふうに思っているのが、周囲の理解や、そして国を挙げて、あるいは市を挙げてこうした取り組みをやっているのだと感じることが一番の当事者の思いを酌む市政や国の行政ではないかと思います。 人権問題には新しい課題もふえている今、情報収集や企画や運営のノウハウを持つ団体、NPOが多数活躍している尼崎市だからこそ、必要とされているこの市民の方々、そして今一生懸命取り組んでくださっている市民や地域団体の方に加えて、なかなかそういう活動に参画できない子育て中の親、企業で働いておられる方たちの参画などが進めば、これからも人権啓発協会の皆様や、そして市の各課が連携した協働によって、ユニークなまた啓発事業が生まれていくのではないかと思います。 きょう人権週間始まりの日、寒さの中、午前は中央公園で、午後は4時15分からJR立花駅のデッキの上で、たくさんの市民が街頭キャンペーンに参加してくださっていることに感謝をしつつ、私も一人の市民として、やはりできることからしようと思いました。 議員になってわずか5カ月で、まだまだ非力で、そしてまちづくりという高い山があっても、その前には厳しい財政という深い谷があって、見おろしては身がすくみ、そして見上げながらため息をつくという、そういう5カ月でございましたけれども、きょう食育と、それから人権についてここで御提案させていただいたことの意をどうか市の決定する立場におられる皆様方、そして議場におられる先輩の議員の皆様方にどうか届くことを心から願いながら、この場での私の質問をすべて終えます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(杉山公克君) 須田和さんの質問は終わりました。 この際、休憩いたします。                        (午後3時34分 休憩)-----------------------------------                        (午後3時54分 再開) ○議長(蔵本八十八君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質問を続行いたします。 発言を許します。 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆31番(辻修君) 日本共産党の辻修です。私は、大庄のまちづくりについて、特に大庄西中学校跡地、琴浦市営住宅の跡地の活用が課題となっている大庄中部のまちづくり、また大庄地域に大きな影響を与える競艇場の問題について質問をいたします。 まず、大庄中部まちづくりについてです。 旧明倫中学校跡地に市営蓬川住宅が完成し、旧琴浦市営住宅は既に更地です。また、ことし9月に大庄中学校の新校舎が完成をし、旧大庄西中学校が閉鎖されました。2つの公有地の活用について、いよいよ具体的な構想計画づくりが始まる段階になり、私も大庄西中学校の跡地はどうなるのかと、よく聞かれるようになりました。 本年1月に、私が大庄中部の皆さんにアンケートをしたところ、219人の方々から御意見をいただきました。決して多くはありませんが、関心の高い方々からの御意見だと受けとめています。その結果を紹介します。 旧大庄西中学校の跡地活用についての意見で、複数回答ですが、一番多いのはやはり福祉施設です、44.7%。続いて2位が、公共施設用地が28.7%、3位が公園・広場の28.3%、4位が防災対策、23.3%となっています。旧琴浦市営住宅跡地についての意見でも、同様の傾向が見られます。1位はやはり福祉施設、2位は公園・広場、3位、公共施設用地、4位は同じ防災対策。どちらも5位には教育施設が上がっておりました。2つの公有地の活用に当たっては、福祉施設、公園・広場、公共施設、防災対策、教育施設などでの活用を希望される人が多いというのが結果でした。こういった方向で、活用計画が策定されることを希望しておきます。 さて、2つの公有地の活用について、昨年9月に大庄中部《未来につなぐ》まちづくり市民委員会がつくられました。国道2号線以南の連協の会長、PTAの役員、公募市民などで構成され、約1年かけて検討された結果が、間もなく報告書としてまとめられようとしています。去る9月29日に市民委員会主催で意見交換会が開かれました。平日の夕方というなかなか出にくい時間帯で、参加者はそれほど多くなかったように見受けられました。さまざまな意見が出されましたが、意見交換会はこれ1回だけのようであります。 そのとき、市民委員会の座長が、市民委員会のまとめは市民委員の意見をまとめたもので、多くの住民の意見を集約することにはなっていないとのことでした。私が行ったアンケートでは、市民委員会の存在を知っている人は1割でした。アンケートに答えていただいた比較的関心のある方々でもこの程度です。議論されている内容については、なおさら知られていません。私は、委員会で議論されていることをニュースにするなど、知らせたらどうかとの提案をこの一般質問でも行いましたけれども、実施されませんでした。多くの住民が知らないまま報告書がまとめられようとしています。 そこで、お聞きいたします。今からでも多くの住民の意見を聞くべきではないのでしょうか。どのように知らせ、意見を聞くつもりなのか、当局の見解をお聞かせください。 次に、旧大庄西中学校跡地について伺います。 当局は、財政規律として学校統合でできた土地の活用は売却を基本としています。しかし、大庄西中学校跡地については、以前の一般質問でも、活用するとの答弁をいただきました。まちづくり市民委員会の議論でも、単純な売却を前提とされていません。常光寺小学校跡地での市民委員会の議論は、最初に財政の話として、お金がない、お金がないということをうんと説明した後、さて活用はどうしましょう、こういうことだったと聞いております。まさに売却を誘導するものであったと考えます。 売却を前提としない大庄の場合でも、具体化するに当たっては、財源の裏づけが必要です。市民委員会の報告書案では、随所に南の口公園の移転という記述が出てきます。また、公共施設の集約、建てかえという意見もあります。そこで思い起こされるのが開明小学校の跡地活用や現在進められようとしている常光寺小学校でのやり方、周辺の公園を移転して売却するというやり方です。あるいは、公共施設集約後の跡地を売却するということも考えられます。南の口公園は、毎日、子供たちやお年寄りが利用し、夏には盆踊りも開催されています。他の公共施設も同様に親しまれています。軽々に売却すべきではありません。 そこで、お尋ねします。結局、大庄西中学校の跡地は売らないが、転用したほかの公園や公共施設跡地を売却し、財源にしようという懸念が生まれますが、当局の見解をお聞かせください。 次に、行政からの意見について伺います。 市民委員会の意見交換会に出された資料には、行政内部からの意見、庁内ヒアリング調査による活用意見として、公共施設の耐震化を図るための建てかえ用地、武庫川沿いの密集住宅地への対策、避難場所になるような公園、介護老人福祉施設、これは特別養護老人ホームと書かれています。西消防署の移転建てかえ地などの意見が列挙されています。採用するかどうかは別として、それぞれ必要なことなのかもしれません。特養ホームの建設や西消防署の建てかえなどは具体的でよくわかりますし、地域でよく聞く声としても、特別養護老人ホームの建設などは強い要望が出されています。私も強く望むものです。市民委員会の報告書にも書かれると思われます。 そこで、お尋ねします。特別養護老人ホームの建設用地としての活用は、地域の要望も強く、市民委員会でも意見が出され、行政内部からも希望が出されています。大庄西中学校跡地もしくは琴浦市営住宅の跡地活用について、特養建設が最優先されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、琴浦市営住宅跡地活用についてですが、まちづくり市民委員会の議論でもまだ明確なものが見えてきません。先月の市民意見交換会も大庄西中学校跡地が主な課題でした。これまで琴浦市営住宅跡地については、尼崎競艇場から市当局に対し、暫定的利用として競艇場の公営駐車場にとの要望が出されておりました。 ところが、最近、競艇場の駐車場にとの要望を取り下げたと聞いています。確かに道意線の交通渋滞も懸念されますし、成徳小学校に隣接した競艇場施設は好ましくありませんので、結構なことだと思います。 そこで、お尋ねします。暫定的な利用として、競艇場の駐車場にしないのであれば、どのような活用を考えておられるのでしょうか、お答えください。 これで第1問を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) 大庄中部のまちづくりについての御質問でございます。 まず、多くの住民にどのように知らせ、意見を聞くのかというお尋ねでございます。 大庄西中学校と琴浦住宅の跡地活用につきましては、大庄中部《未来につなぐ》まちづくり市民委員会を設置し、地域の意見を聞きながら検討しているところでございます。 市民委員会の委員には、周辺の社会福祉協議会の会長や未来を担う子供たちの保護者の方、そして公募した委員で構成をしておりますが、幸いにも、日ごろから地域の子ども会や婦人会、老人会などで熱心に御活動され、地域の実態をよく御承知の方に御参画をいただいております。 これまで2カ年にわたり、熱心に、また自主的に意見交換を行っていただくとともに、さらに広く市民の意見を聞くために、市民委員交換会を市民委員会みずからが開催していただくなど、精力的に幅広い御活動を展開していただいてまいりました。このように、多くの方々の意見を踏まえた中で、報告を今まとめていただいているところでございます。 今後は、市としての方針を定める段階におきまして、議会にも御説明し、市民意見公募手続などを実施してまいる考えでございます。 次に、大庄西中学校跡地は売らないが、転用した他の公園や公共用地を売却するのではないかというお尋ねでございます。 先ほど申し上げました市民委員会において、南の口公園の移転、公共施設の集約建てかえ、高齢者福祉施設の建設など、さまざまな御意見をちょうだいしたところでございますが、現在、市民委員会としての報告書を取りまとめていただいているところでございます。 したがいまして、市としての具体的な活用策について申し上げる段階ではございませんが、市民委員会の報告を十分踏まえ、長期的な視点で跡地の活用を進めてまいりたいと考えております。 次に、大庄西中学校跡地、もしくは琴浦住宅跡地については、特別養護老人ホームの建設を最優先にすべきではないかというお尋ねでございます。 市民委員会におきましても、地域の高齢化が進んでいる状況を踏まえ、高齢者福祉施設の建設という御意見がございました。また、今、本市の介護保険事業計画に基づきまして、特別養護老人ホームの施設整備を進めているところでございます。 しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたとおり、市民委員会からの報告をいただいた上で、市としての計画をつくっていくことになりますが、その際には、市民委員会の意見や特養施設の整備に必要な用地の確保が困難となっている状況などを総合的に勘案しながら検討をしてまいります。 最後に、琴浦住宅跡地において暫定的な利用としてどのような活用を考えているのかという点でございます。 琴浦住宅跡地につきましては、阪神電鉄の尼崎センタープール前駅と近接しているという利便性、また臨海部の工場立地の動向やそれに伴う拠点性など、将来的な駅前周辺の状況の変化なども考えられることから、現在のところは暫定的な利用を検討しているところでございます。 市民委員会におきましても、駅前や競艇場に近接する立地を生かした意見をいただいており、こうした意見を尊重しながら、市としての活用案をまとめ、お示ししてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆31番(辻修君) 御答弁いただきました。市民意見交換会、1回だけなんですよね。参加者はそんなに多くなかったと思います。ですから、多くの人はまだ知らないということですので、ぜひ多くの市民の意見を聞く方策を考えていただきたいというふうに思います。特養建設については、優先していただきたいなという思いがあります。 2問目に入ります。 2問目は、競艇場のあり方についてお聞きをしてまいりたいと思います。 尼崎競艇場は1951年(昭和26年)に、逼迫した財政を補てんするために、大庄湿地帯の一部を掘り起こして建設され、その土で湿地帯を埋め立て、公園、学校、公営住宅などの用地をつくったわけであります。その後、数回の存廃論議がありました。その結果、1964年、昭和39年ですが、市議会で競艇場廃止の修正案が否決をされて、存続することで決着をしたと。その際、競艇等の収益に頼らなくても、地方財政が運営できるよう、財政措置を国に求めるとの意見書が採択されました。競艇場は必要悪とも言われているわけですけれども、自治体財政の脆弱さから当面の存続が選択されたわけです。 しかし、当面と言いながら、この間、競艇場の収益は下水道建設の後、都市整備という名目で大型開発に使われてきました。たび重なる騒擾事件や旧西警察署への接待事件などがありましたが、ドル箱として競艇事業は守ることが重視されてきたのではないでしょうか。しかし、もともとばくちであること、周辺住民に迷惑をかけていること、これを忘れてはならない。自殺者も出ていることを先輩の議員からも聞いております。 さて、競艇場事業からの一般会計の繰り入れは、1990年、平成2年に145億円、これを記録してピークに達しました。その後、収益は減り続けて、2000年には34億円にまで落ち込みました。その危機感から、21世紀競艇プラン検討会が設置をされ、売り上げ増加の方策として、1つには競艇のレジャー化、2つにはナイターレースの開催、3つには公営駐車場の整備などが打ち出されました。ざっとした競艇場の沿革ですけれども、この上に立って、順次伺ってまいります。 まず、公営駐車場についてです。 駐車場の整備について、21世紀競艇プランではこう書かれています。現在の成熟した車社会においては、今後も車での来場者は増加はしても減少することはないと予想される。これから競艇場周辺に散在している公営駐車場を集約して、琴浦市営住宅跡地を競艇場の駐車場として利用したいという要望が競艇場から市長部局に出されていたわけであります。 ところが、最近、競艇場が断念したということですので、質問としては省きます。ただ、琴浦市営住宅跡地にかわって、新たに競艇場の南側の阪神電車との境の空き地に200台規模の駐車場を建設する意向だと聞きました。みずからの敷地の中に駐車場をつくるというのは、現在公営駐車場として土地を借り上げている、そのお金を節約するためだと伺いました。21世紀競艇プランの予想に反して、自動車は減り続けています。既に集約する必要はなくなっている、このように申し上げておきたいと思います。 また、ナイター競艇も、市当局はなお検討が必要だとして凍結をしていますが、実際は、周辺住民が強く反対し、照明設備など必要な整備にかける費用の回収も見込めないことから、事実上不可能となっています。さらに、競艇ファンは高齢化が激しく、レジャー化という位置づけで新たなファンを開拓しようというねらいは成功していません。 そこで、質問です。21世紀競艇プランは既に時代に合わなくなっています。破綻した21世紀競艇プランは破棄すべきだと思いますが、いかがでしょうか。そして、現実性のないナイター競艇はあきらめたらどうでしょうか、お答えください。 次に、競艇場の中長期の見通し、今後のあり方について伺います。 尼崎競艇の収益のピークは1990年です。このときの本場の総入場者数は189万人、1日平均1万5,252人でした。ところが、2008年を見てみましたら、去年ですけれども、総入場者数が211万人、1日平均1万6,247人と、最近のほうが入場者はふえています。何が違うのかといえば、1人当たりの購買額が1990年では6万円。ところが、去年では9,800円。6分の1に減っています。当然、1日売上も90年の9億2,700万円が、去年では1億5,900万円と6分の1に落ち込んでいます。競艇収入は入場者数よりも経済不況による影響のほうが大きいと言えます。 また、ここ五、六年を見てみましたら、入場者数は1日平均で毎年1,000人ずつ減っています。1人当たりの購買額も毎年1,000から2,000円ずつ減っています。1日売り上げは2,500万円から5,000万円も毎年落ち込んでいます。これに歯どめがかかっていません。 ボートピア梅田の影響、電話投票へのシフトという問題もあるでしょうけれども、本場に来るファンは高齢化し、年金生活者がふえるに従って購買額が減っています。若い人は非正規雇用を余儀なくされ、職人さんも仕事がないと嘆きの声をよく聞きます。ギャンブル業界全体が今、斜陽産業となっているのではないでしょうか。 こうした中、尼崎競艇では、2006年から2008年に緊急経営改善計画に取り組んで、スタンドの建てかえでの市債償還額の返還に見合う基金をためる目標、これをほぼ達成されました。しかし、なお経営環境はさらに厳しい状況にあるとして、今年度から2013年まで5年間の経営改善計画が現在取り組まれています。本場も伊丹開催も新開地も売り上げが毎年11%から12%も減り、2011年度以降は赤字に転じるという予測のもと、売り上げ増と経費の節減で乗り切っていこうという計画であります。 しかし、経営が改善されたとしても、収益は2011年度で6億円、2012年以後は5億円、このような見込みです。この収益は、9億円の離職慰労金の積み立てや施設整備積立に使われ、下水道や公共施設整備基金への支出は、2011年度以降2億5,000万円、この2億5,000万円以外は実際は競艇場がみずからの存在を維持するのがやっとという状況ではないでしょうか。 確かに5年間の見通しと計画は立てられています。ギャンブル冬の時代と言われる中で、10年後はどうでしょう、15年後はどうでしょうか、お聞きいたします。 競艇事業の中長期の見通しはどのように考えているのでしょうか。赤字に転落する可能性も想定すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 さて、間もなくまとめられようとしている大庄中部まちづくり市民委員会の報告書の案が出されています。今後、土地利用転換の可能性のある公有地として、将来社会情勢等によっては廃止される可能性のある施設として、センタープールが上げられています。これは委員から出た意見をまとめたものかもしれませんが、市民委員会の事務局は企画財政局と協働推進局が担っています。その上に立って、琴浦市営住宅跡地の活用に当たっての課題として、センタープールの動向を見据えながら、当面は暫定的な利用を図ると書かれています。 お聞きいたします。 企画財政局も報告書案の記述のように、回避される可能性のある施設という評価をしているのでしょうか。また、尼崎市長としてもどのように考えておられるのか、お答えください。 これで第2問を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 芝産業経済局長。 ◎産業経済局長(芝俊一君) まず、21世紀競艇プランは、時代に合わなくなっているため破棄してはどうか。また、ナイターレースの開催は完全にあきらめるべきではないのかというお尋ねでございます。 平成12年度に策定いたしました21世紀競艇プラン実施計画は、ファン拡大に向けた対応やレジャー施設としての施設整備について有識者の提言をもとに策定し、平成13年度から15年度までの3カ年で取り組むべき事業を網羅した計画でございました。その後9年が経過し、尼崎競艇場を取り巻く情勢の変化から、昨年度、尼崎市競艇事業経営改善計画を策定したところでございます。この計画は、平成21年度から25年度を対象とし、競艇事業がまちづくりに貢献するという本来の役割を安定的かつ継続的に担うための経営全般にわたる取り組みを示しており、その中でナイターレースにつきましては、他場での実施効果や費用対効果の観点から、計画期間中は凍結といたしております。 次に、競艇事業の中長期見通しはどうか、また赤字に転落する可能性も想定すべきではないかと考えるがどうかというお尋ねでございます。 近年の売り上げ傾向は、携帯電話を使用したウエブ投票などの電話投票やボートピア梅田などの場間場外発売が好調の反面、本場の売り上げが減少する傾向が続いており、競艇事業を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。先ほど申し上げました尼崎市競艇事業経営改善計画では、売り上げ状況などに大きな変化があった場合には、適宜時点修正を行うことを前提に、平成25年までの5カ年を計画期間としたものであり、10年先、15年先といった中長期の見通しを明らかにすることは現在の社会経済情勢におきましては、競艇事業に限らず困難ではないかと考えております。 公営競技は地方財政の健全化に貢献するために存在すべきもので、本市競艇事業におきましても、まちづくりへの貢献と安定的かつ継続的な事業経営を目指しているところでございまして、そのため、経営改善計画を策定したところでございます。市税を投入して継続することは許されないものと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) 企画財政局でも、尼崎競艇場について廃止される可能性のある施設という評価をしているのかという御質問にお答えを申し上げます。 尼崎競艇場の今後の運営につきましては、先ほど産業経済局長が御答弁申し上げましたように、本年1月に策定をいたしました経営改善計画に基づき、現在の厳しい経営状況を踏まえ、まちづくりに貢献するといった本来の姿を取り戻すために、安定的かつ継続的な事業運営を目指した取り組みを行っているところでございます。 財政を所管いたします企画財政局といたしましても、この競艇事業が収益事業として本来の姿を取り戻し、まちづくりに貢献するものになることを期待いたしております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆31番(辻修君) 御答弁いただきましたけれども、市民委員会からのまとめが間もなく出されます。案が既に出されているんですけれども、先ほどからの答弁があるように、地域に根ざした方たちがそれなりにおられます。その人たちが、もうもたんのちゃうかと、こういうふうな評価なんですよね。それが報告書に出てくるということなんですよ。 その中で、琴浦の市営住宅跡地も、競艇場の動向がはっきりするまで置いておこうやというのが暫定利用の理由になっているというふうに思うんですけれども、その点で、市の希望はわかりますけれども、本当にそういう競艇が存続できるのかどうかという見きわめもある意味では必要なのかなというふうに思います。先行きは不透明であると。 それから、大庄中部まちづくりでの9月の市民意見交換会で出された意見ですが、慌てずに時間をかけて、しばらくこのままの活用も考えてはどうかとの意見もありました。確かに大きな開発の方向、まちづくりの方向を決めていくわけですから、慌てずにゆっくりという意見もうなずけます。大庄西中学校は、校舎がつぶれたわけではありません。グラウンドも当面、野球とかスポーツには利用できます。南の口市民プールはプールが閉鎖されましたけれども、西中のプールはまだ使えるんじゃないでしょうか。当面は暫定利用でも住民の要望にこたえつつ、だれもが納得できるような計画になっていくように望んでおきます。 さて、大庄中部地域は、競艇場を中心に形づくられてきたといっても過言ではありません。地域のど真ん中、しかも駅前一等地に広大な面積で存在をしてきました。周辺の住民は民間駐車場として利用され、開発が阻害されてきたということもあります。周辺の社協には、いわゆる迷惑料が配られ、場内の売店経営、雇用の場としても利用されてきました。多くの従事員、ガードマンも働いています。周辺商店への影響も大きなものがあります。それだけに、頑張ったけれども、ある日突然赤字になったのでやめますということになれば、大変な状況にもなります。 しかし、現在のデフレスパイラルと言われる経済状況の中で、赤字に転落しないとも限りません。立ち行かなくなれば、甲子園競輪の場合でも多額の保証料をめぐって訴訟が争われているということもありますし、費用の面でも大きな問題が懸念されます。兵庫県競馬組合では、数年前に赤字になりましたけれども、基金で補てんしてしのいできました。その上で、次に単年度収支で赤字になったら、5年後に廃止という方針も決めています。 そこで、お尋ねします。公営ギャンブルという性格から、赤字になったからと税金を投入するわけにはいきません。赤字になったらどうするかというプランも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、念のためお聞きいたします。 大庄中部まちづくり市民委員会の議論の中で、競艇場にカジノを持ってきたらどうかという意見があったと聞きます。市民生活が苦境にあえぎ、ギャンブル産業そのものが衰退しているときに、新たなギャンブルの誘致で尼崎市民の幸せをつくり出せるでしょうか。実現性は乏しく、まさに噴飯物ですけれども、意見は意見です。 そこで、お聞きします。この意見は市民委員会の報告書に反映されるのでしょうか。まさか市はそれをまじめに検討しないと思いますが、お答えください。 これで、私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 芝産業経済局長。 ◎産業経済局長(芝俊一君) 公営ギャンブルは、性格上、赤字になっても税金を投入するわけにはいかない。赤字になったらどうするのかというプランも必要ではないかというお尋ねでございます。 モーターボート競走法は、事業実施の趣旨を公益の増進を目的とする事業の振興に資すること、並びに地方財政の改善を図ることと規定しており、本市におきましても、この趣旨にのっとり競艇事業を運営しております。こうした収益事業の趣旨を実現するため、経営改善計画に基づき場間場外発売の拡充、レース開催経費のさらなる削減などに全力で取り組み、収益確保を図っていく考えでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 岩田企画財政局長。 ◎企画財政局長(岩田強君) 競艇場にカジノを持ってくる意見について検討するのかというお尋ねでございます。 競艇場にカジノをとの意見につきましては、昨年度でございますが、この市民委員会の中で出された一つの意見で、これを会議録の一部として記載しているところでございまして、尼崎競艇場を活用して地域を活性化させるとの趣旨で発言されたものでございまして、市としてはこういった考えは持っておりません。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 辻修君の質問は終わりました。 続いて発言を許します。 田中淳司君。   (田中淳司君 登壇) ◆7番(田中淳司君) 緑のかけはしの田中淳司です。議場の皆様方におかれましては、大変お疲れのことかと存じますが、あとしばらく御静聴のほどよろしくお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。 まず、行政委員会委員報酬の問題について質問させていただきます。 地方自治法に基づき全国の自治体には、首長からの直接の指導を受けることなく、公正、中立な立場から専門的な判断を求められる行政上の問題を、合議制で協議する行政委員会が設けられています。尼崎市では、教育委員、選挙管理委員、監査委員、公平委員、固定資産評価審査委員、農業委員で構成される6つの行政委員会が存在しており、固定資産評価審査委員への報酬以外は市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例の中で、支給月額での報酬体系が示されています。この行政委員会委員への報酬に関しまして、平成21年1月22日、滋賀県の大津地裁は、非常勤職員である行政委員への勤務日数によらない月額報酬を支出してはならないとして、滋賀県知事に支出差しとめを命令しました。問題となったのは、月に一、二回の会議を開くのみで月額報酬を支給されていた選挙管理委員会、労働委員会、収用委員会の3つの行政委員会でした。 非常勤職員の報酬について、地方自治法第203条2の2項では、条例で特別に定めた以外は、勤務日数に応じて報酬を支給すると規定されており、大津地裁での訴訟は、報酬額が勤務実態に見合っているかや、月額報酬制を定めた条例が法の趣旨に反していないかなどが争点となり、判決で裁判長は、月額報酬制は勤務実態が常勤職員と異ならない場合に限られるとして、勤務実態が伴わない公金の支出の違法性を認定しました。 勤務実態でいえば、滋賀県と同様の状況が本市行政委員会にもあります。平成20年度の各行政委員会の開催状況から申しますと、選挙管理委員会は年間19回開催され、1回の会議時間は20分から1時間程度、これで毎月、委員長には19万4,400円、委員3名には9万7,200円が支給されています。公平委員会は、年間12回開催され、1回の会議時間は1時間から3時間程度、これで毎月、委員長には10万3,700円、委員2名には8万8,200円が支給されています。農業委員会は年13回開催され、1回の会議時間は1時間から1時間30分程度、これで毎月、農業委員会会長には6万2,400円、副会長には5万9,200円、委員12名には5万8,500円が支給されています。つまり、月一、二回の会議出席で、約5万から20万円が月額支給されているわけです。これら行政委員会の仕事内容は、ほとんど知られておらず、市の財政状況ががけっ縁であると叫ばれ、市民へのサービスに係る予算も削減される方向にある中、月一、二回の会議出席で支給される月額報酬は高過ぎますし、税金の使われ方として非常識だと言わざるを得ません。 なお、人口40万人以上の中核市の中で、教育委員会委員長への月額報酬25万9,200円や選挙管理委員会委員長への月額報酬19万4,400円などは、前者が14万6,005円、後者の選挙管理委員会委員長ですが、全国中核市、人口40万人以上の中核市の平均額は8万7,845円という平均額からしても突出して高く、その他の行政委員会委員報酬についても、全国的に見て、本市は高い水準にあります。 そこで、市長にお尋ねいたします。全国では、行政委員会委員報酬を月額制から日額制に見直しの検討を始めているところが次々と出てきています。本市の高額な支給月額となっている行政委員会委員報酬についても、市特別職報酬等懇話会などを開かれ、早急に日額制及び引き下げる方向に見直されるべきであると思慮しますが、市長の御見解をお聞かせください。 また、議員から選出される監査委員と農業委員については、そもそも議員報酬を受け取っているわけですから、無報酬にすべきであると強く感じますが、あわせて御所見を伺いたく存じます。 以上、私の1問目の質問とさせていただきます。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 森総務局長。 ◎総務局長(森進君) 行政委員会の委員報酬に係る質問にお答えいたします。 まず初めに、行政委員会の委員報酬について、支給額はもとより月額制から日額制への見直しも含めて検討すべきではないかといった御質問でございます。 本市の非常勤の選挙管理委員会、公平委員会及び農業委員会の委員に対して、月額単位で報酬を支給しているのは違法であるとして、本年の7月に住民監査請求がなされたところでございますが、この住民監査請求につきましては、ふだんからの情報、知識の収集のほか、法的、社会的責任が課せられており、単に勤務日数に応じた対価としてはとらえがたい。また、議決を経て適宜改正を行っている。そして、請求棄却されたところでございます。 しかしながら、一方では、滋賀県の大津地裁の判決につきまして、現在、大阪高裁に控訴されまして係争中でありますことから、その動向を注視してまいりたいと考えております。 そうした中で、本市の各行政委員会の委員報酬の水準につきましては、全国の中核市グループと比較する中で、今後、特別職報酬等懇話会などを開催し、検討を行ってまいりたいと考えております。 続きまして、監査委員と農業委員会の委員に議員から選出された場合は、無報酬とすべきではないかといった御質問にお答えいたします。 非常勤の監査委員や農業委員会の委員につきましては、地方自治法第203条の2の規定によりまして、報酬を支給することが義務づけられております。市議会議員がその職に選出された場合も、議員としての職務内容とは異なることから同様でございまして、報酬を支給することが妥当であると考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 田中淳司君。   (田中淳司君 登壇)
    ◆7番(田中淳司君) 先ほど御答弁いただきました行政委員会の報酬見直しにつきましては、懇話会等を開かれて見直す方向に検討いただけるということで御答弁をいただいたところでございますが、それにつきまして、再質問をさせていただきたく存じます。 一方、滋賀県、大津地裁の判決とは別の観点に立って、今回大幅に市民の方へのサービス、それが削減される方向の予算、これが余儀なくされている状況にある中で、これ市長にお伺いしたいんですが、財政改革、そういった観点に立って早急に、懇話会等で時間がかかる場合、例えば緊急的に5%、10%削減を行う、こういった御決断を賜りたく存じますが、これを先ほどの再質問とさせていただきたく存じます。緊急的に削減の方向を示されるおつもりはありますか、ありませんかという部分です。 続きまして、本市の包括的な危機管理体制の整備状況についてお伺いいたします。 新型インフルエンザや災害、そして職責等の不祥事や暴力団等の不当要求ほか、自治体にとっての危機の場面において、何をどう伝えるのか、その対応の仕方で自治体の住民への姿勢が判断されます。昨今、多くの自治体では、旧態依然とした行政の縦割り対応体制を改め、より幅広く、きめ細かなリスクマネジメント体制の構築へと大きくかじを切られています。 本市では、これまでにも記憶に新しいところでは、現尼崎市公設地方卸売市場を舞台にした偽計業務妨害事件がありました。平成20年11月13日の記者会見で、白井市長は、委託業者の決定方法が変更されたことについて一切報告はなかったと発言され、後に、全庁的に進められた契約事務の実態調査の結果、平成20年度に契約した委託料、賃借料など1,234件のうちの511件、41%が、契約の根拠が不明確であったことが報道されました。また、平成18年7月28日に、尼崎市が元幹部職員3名を提訴しましたが、これは平成9年当時の理財局長、税務部長、資産税課長らが土地保有税の徴収を怠った上、後任にも引き継がなかったため、平成15年3月に時効が成立してしまい、市に約1億7,000万円の損害を与えたというものでした。 そして、平成20年11月26日に、廃棄物処理法違反、焼却禁止の疑いで、市内の業者が書類送検された事件についてですが、従業員2名が同年4月5日に廃棄物から金属を取り出そうと、倉庫内で木くずや廃プラスチックなどを不法に焼却した容疑で、火が倉庫の一部に燃え移り、消防が出動したことから発覚したわけです。新聞報道の中で私が驚いたのは、尼崎市は10年以上前から同社に適切な焼却炉の設置などを求めてきた。住民からも苦情が出ていたというくだりでした。つまり、市は火災による発覚まで10年以上も手を打たなかったわけです。 また、医療介護報酬等福祉分野での不正請求なども全国的に後を絶たず、貧困ビジネスと呼ばれる生活保護受給者を不当に搾取する問題なども顕在化してきています。 ここで、現在進行形の問題としてお尋ねいたします。平成21年9月定例会におきまして私が一般質問しました有限会社なかよしグループによる不正請求案件についての返還に係る進捗状況を教えてください。また、今後、不正請求された額、障害福祉課関係は1,713万9,095円、介護保険課関係は220万4,202円の合わせて1,934万3,297円を全額回収するまでに、時効等に係る可能性はあるのかないのかも含め、回収困難な場合、市としてどのような手を打たれるのか、具体的に答弁を願います。 自治体が対応を求められるリスクには、人為的に発生するリスクや、もちろん地震や台風、水害、そして今回の新型インフルエンザなどの自然発生的なものがあります。また、これは日本全体もそうですが、超高齢社会となる中で、この尼崎市では、平成20年1月から12月の間、死後24時間以内に発見されなかった65歳以上の独居高齢者の方が170名いらっしゃいました。この状況も、まさに本市で発生している危機であると思います。 平成21年11月から、国のモデル事業の一環として、見守り事業が開始されたわけですが、この取り組みに並行して、災害時要援護者リストの作成及び具体的支援体制の確立も市として果たされるべきだと存じます。 そこで、市長にお尋ねいたします。大規模災害等が発生した場合、とりわけ災害弱者とされる寝たきりの高齢者、障害のある人、妊産婦、難病患者など、一般の避難所で共同生活が困難な方が安心して避難生活ができるための福祉避難所が必要とされていますが、本市での福祉避難所としての指定状況、利用可能な施設等をどのように把握しておられるのかお聞かせください。 また、既存の指定避難所においても、例えばストレッチャーなどの備品が最低限必要となりますが、それら市民への安全・安心の確保に係る投資を、財政状況が厳しいで一蹴せず、今こそ市民の方々からの浄財で成り立つ市民福祉振興基金の活用を希求いたします。平成20年度末決算における市民福祉振興基金の残高は15億7,904万6,000円であり、年間利息は約2,000万円です。 そこで、市長にお尋ねいたします。これら基金について、確保されておくべき残高とその根拠をお聞かせください。また、基金から生まれる約2,000万円の利息収入は、一般会計を通り抜け、そのまま尼崎市民福祉振興協会へ流れ、タレントなどによる講演会やステッカー作製経費の助成などに充てられています。市民福祉振興基金とその利息の使途について、いま一度再考されるおつもりはありませんか、お聞かせください。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 山本健康福祉局長。 ◎健康福祉局長(山本博久君) 有限会社なかよしグループからの返還に係る進捗状況、時効等の可能性及び回収困難な場合への対応についての御質問でございます。 当該事業所に対する介護給付等の返還請求につきましては、加算金を含めまして障害福祉関係で1,713万9,095円、介護保険関係で220万4,202円と請求額が確定したことから、9月18日付で返還請求の通知を送付いたしました。 しかしながら、当該通知につきましては、あて先不明で返送されてきたことから、事業所及び代表者宅への訪問、登記簿の調査により代表者の転居先の確認を行い、改めて通知し、11月28日に到達したところでございます。 また、介護給付費等の不正受給に伴う返還請求の事項は公募上の債権であることから、地方自治法第236条第1項の規定により、請求通知が相手方に到達した日の翌日から起算して5年となります。本市といたしましては、引き続き法人関係者への接触を図り、返還交渉を行うとともに、法人の残余資産の差し押さえ等、返還金の回収手続を進めてまいります。あわせて、当該事案は悪質性が高いと考えられることから、本市としては、今後の対応について県及び警察と現在協議しているところでございます。 次に、市民福祉振興基金で確保しておくべき残高は幾らで、その根拠は何か。また、基金運用の使途について再考するつもりはないかといった御質問でございます。 市民福祉振興基金は、尼崎市民の福祉に関する条例に基づき、市民や企業の皆様からの社会福祉などを目的とする寄附金を積み立てているものでございます。また、基金の処分は、市民福祉の向上を目的とした事業の推進という基金設置目的を達成するため、必要があるときに限られておりますが、基金残高の基準、根拠は定められておりません。現在、基金の運用収益の一部につきましては、市民福祉振興協会への補助金に充てられております。この市民福祉振興協会は、市民が福祉の担い手として自覚を高め地域福祉活動を推進し、市民福祉の増進に寄与することを目的に設置されたもので、市民の福祉意識の啓発、市民の福祉活動の振興、市民福祉に関する調査研究開発に関する事業を行っております。事業内容といたしましては、老人給食等のボランティア活動の支援、障害者の社会参加支援、DV被害者の救済、市民の福祉意識を深めるための講演会などであり、これらの事業を通して市民福祉の向上に取り組んでいるところでございます。 今後、基金の運用収益につきましては、基本的には現在の枠組みの中で、市民福祉振興協会の理事会での意見もいただきながら、既存事業の効果を検証するなど、より効果的に活用していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 森総務局長。 ◎総務局長(森進君) まず、非常勤の行政委員会の委員報酬について、プランの見直しをする中で、直ちに引き下げるべきではないかといった再度のお尋ねがございましたので、それについてお答えを申し上げたいと思います。 非常勤の行政委員会の特別職の委員報酬につきましては、現在、きょう資料を持ち合わせておりませんけれども、直近では15年度か16年度、学識経験者や市民代表を交えた特別職報酬等懇話会を開催し、見直しを図ったところでございます。こうしたことから、同様に学識経験者や市民代表から成る特別職報酬等懇話会などを開催し、検討してまいりたいと考えております。 次に、大規模災害等が発生した場合、福祉避難所が必要とされているが、本市での福祉避難所としての指定状況、利用可能な施設等をどのように把握しているのか、そういった御質問にお答えいたします。 災害時におきまして、高齢者や障害者、難病患者の方々など、災害時要援護者の支援対策は重要な課題と認識しており、現行の尼崎市地域防災計画におきましても、必要に応じ災害時要援護者用避難所を開設することといたしております。災害時要援護者用避難所の設置につきましては、避難生活の長期化が予想される場合や避難所の急増等で、高齢者及び障害者等への配慮が必要となった場合に設置することといたしております。設置場所といたしましては、各地区会館やすこやかプラザを予定しているところでございます。 なお、運営に当たりましては、あわせて健康調査や健康相談等を実施することと規定いたしているところでございます。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 田中淳司君。   (田中淳司君 登壇) ◆7番(田中淳司君) いずれにしても、行政委員会の方針に関しては、懇話会を早急に開かれるとのことで答弁をいただきました。 2点目で、有限会社なかよしの不正請求に関して、さっぱり答弁の内容がわからない。このまま警察との協議なんていうものを進めているということなんですが、平成18年からその事案というものが始まっていると、担当課のほうからお聞きしています。5年ですので、来年から順繰りに、不正請求されたお金は戻らないというふうな形になってまいりますが、そもそも、ここで再質問をさせていただきたいんですが、警察等に対して、なぜ刑事告訴されないのか、その理由についてお聞かせください。 そして、そもそも公務員には法律によって告発の義務、犯罪を認知したもの、公務員については告発の義務というものがございますが、そういった観点に立って、この案件についてはどのようにお考えなのか。また、回収できなかった場合は、どなたがその金額を、尼崎市の大切なこの保険料から不正請求されたお金については返還をしていただけるのか、責任を問われるのか、明確にお答えをいただきたく存じます。 もう1点なんですが、先ほど市民福祉振興協会における事業の中で、適切に運営がされているかどうか。今回、平成22年度新規・拡充事業の素案として示されました事業個別表の中に、私驚いたんですが、地域高齢者福祉活動推進事業として4,700万円が計上されて、一般財源から計上される事業として、地域の高齢者に対して昼食の提供等を行うと、そのための補助金を出す。一方、市民福祉のほうの事業にも、同じ事業が展開されております。こういった無駄な、中身の調整が全くとれていないような使い方のまま、こういったお金が使われていいはずがないと存じますが、その点についていま一度、市長のほうから、こういった使途について再考されるおつもりがあるかどうか、もう一度お聞かせいただきたく存じます。 地方自治法を取り巻くリスク環境は大きく変化し続けています。何よりも住民の安全と生活を第一に考えられる、住民から信じられる自治体であるために、あらゆる危機に対し備え、行動できることは、市政に携わる者の役目であると存じます。 最後に、市長にお尋ねいたします。 リスク管理、危機管理の専門組織の設置や包括的な危機管理基本マニュアルの策定など、全庁的なリスク、危機管理体制の構築が必要だと存じますが、本市でのこれからの取り組みについて御見解をお聞かせください。 以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 森総務局長。 ◎総務局長(森進君) 危機管理の専門組織の設置や体制の構築は必要だと思うがどうか、そういった御質問にお答えいたします。 危機管理への対応が重要なことは、今さら申し上げるまでもございません。しかしながら、一口に危機管理といいましても、自然災害や健康危機、ライフライン等に係る重大事項、地域における防犯や防災に関するものなど、さまざまな行政分野にまたがるもので、それぞれに専門性があり、取り組み方なども異なるため、これまでも対象や内容等を踏まえながら、迅速な対応を基本に個別に対応しているところでございます。 一方で、市民の安全・安心を守るという視点におきましては、今般の新型インフルエンザ対策のように、社会生活機能の低下を招き、市民の生命や生活に重大な影響を与えることが懸念され、全庁的な対応が必要とされる危機管理事案に対しましては、尼崎市新型インフルエンザ対策本部を設置し、関係部署が連携を図る中、本部組織による対応を行ってまいりました。その場合には、マニュアルとなる行動計画の策定など、総務局の防災対策課がその中核的役割を果たしておりました。 最も重要なことは、行政分野間の情報の共有化と迅速性、そして市民への情報発信であることを踏まえまして、今後とも個々の事案に応じ、組織横断的な連携、強化の取り組みを進めるなど、適宜適切に行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 山本健康福祉局長。 ◎健康福祉局長(山本博久君) 先ほどの有限会社なかよしグループに関する御質問でございます。 それにつきまして刑事告訴をしないのかといった、まず質問でございます。刑事告訴につきましては、今現在、県及び警察と協議しておりますのは、この刑事告訴をするという前提でどういった手続が必要なのか、そういったことを協議しておるということでございまして、基本的にはその方向に向けてやっていこうという考えをやっております。 それと次に、回収できなかった場合どうするのかといったことでございますが、今現在、先ほど申しましたように、請求手続にやっと到達したという状況になっております。それから、基本的には回収という意味での返還交渉を行っていくわけでございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、法人の残余財産の差し押さえとか、そういったことをまず進めていき、返還金の回収手続を進めていこうという、あわせて、先ほど申しましたような刑事告訴とかそういったことも万全を期していきたいというぐあいに考えております。 2点目の市民福祉振興基金のことでございますけれども、市民福祉振興基金につきましては、先ほども御答弁申しましたが、一部を市民福祉振興協会に、福祉に活用するという意味でやっております。 その中で、先ほど一つの例がございました高齢者への昼食ということでございますが、中身が若干違ってございまして、振興協会で高齢者の昼食ボランティアをやっております分は、自主調理グループで食器の滅菌装置とかいったもの、高額な機械がございます。そういった分を新規で開設される場合に貸与しようという形のもので振興協会ではやっておりまして、先ほど述べられましたこれからの地域福祉高齢者につきましてはそういったことも、運営とかそういったことに使っていただきたいというような考え方で、昼食に限った内容ではございませんけれども、広く高齢者の施策に使っていただきたいという趣旨で今回計上させていただいたものでございます。 いずれにいたしましても、市民福祉振興協会につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、理事会で各理事さんの意見も十分お聞きする中で、事業効果を検証しながら活用していきたいというぐあいに考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 田中淳司君の質問は終わりました。 続いて発言を許します。 松村ヤス子さん。   (松村ヤス子さん 登壇) ◆43番(松村ヤス子さん) 日本共産党議員団の松村ヤス子です。今議会最後の一般質問です。いましばらくよろしくおつき合いください。 9月議会に続いて、市バスと敬老パスについてお尋ねいたします。 私は、9月議会で、半額負担などの見直しでは3割から7割の乗客が減少するとの市バス事業のあり方懇話会報告や健康福祉委員会での答弁に基づいて、敬老パス有料化で高齢者の乗車が減り、市バスへの負担金が減るのであれば、これまでどおり無料を維持する、市の負担金は市バス経営を維持できる最低の額を市と交通局で協議して、市バス会計に入れることを提案してきました。市バスとしても、福祉的な観点の取り入れなど、負担金の考え方を柔軟にしてほしいと求めたのです。 しかし、市長も、自動車運送事業管理者も、私の提案についてはにべもありませんでした。他都市の市バスもすべて地方公営企業法に基づいているので、私自身、敬老パスが有料・無料は別にして、尼崎市と同様に運賃相当額を繰り入れているものと思っていました。その上で何とか、市バスも、一般会計も、高齢者も守らなければとの思いから、新しい考え方を提案したのです。行政視察で行った仙台市では、市営バス以外に市営地下鉄、民間バスともに敬老パスが使えます。一般会計の負担額は、運賃相当額ではなく、交通事業者と協議して決めているとのことでした。民間バスも乗ってもらうことが大事だからと、運賃相当額より少ない額で了解しているとのことでした。尼崎市と全く異なっていたのには正直驚きました。 全国には29自治体に市バスがあり、敬老パスを実施しているのが28自治体、私は各自治体の交通局に直接問い合わせました。その結果、乗車回数を推計し、運賃全額を繰り入れているのが、尼崎市を含めて13自治体、全額より少ないのが15自治体です。横浜市は、210円のところを135円に、熊本市、鹿児島市は利用者負担の不足額の半額、宇都宮市、佐世保市、神戸市、仙台市は毎年協議、高槻市、伊丹市、明石市は固定額などです。伊丹市は、1991年の流動調査に基づく負担で、2005年度は5億7,000万円でした。高齢者人口がふえ、市財政が厳しくなっているとし、無料のまま、2006年度から5億3,000万円に据え置き、高槻市も無料のまま、2007年度の実績で据え置きです。 地方公営企業であっても、福祉事業に関しては市バスとしても努力すべきとの認識を示した交通局もありました。現在、神戸市では、無料から1回100円に見直す計画でしたが、反対運動の高まりで、2年間は50円にしています。50円にしたことで、乗車人数は33%も減っているとのことです。来年度から予定どおり100円にする予定ですが、今以上の乗客減を予測しています。 ことし3月に出された老人市バス特別乗車証のあり方検討会の報告では、交付時に一部負担金を徴収する方式が望ましいとし、仮の負担額として、バスパスの交付時に所得に応じて、無料、3,000円、5,000円、7,000円、1万5,000円の負担金を徴収するとして試算しています。試算によれば、高齢人口がピークになる2025年度の市の負担は19億4,700万円のところ、市に負担金収入が入るのと敬老パスの利用をあきらめる高齢者が出るので、実質負担は13億5,700万円になり、5億9,000万円削減できるとあります。 先月出された行財政構造改革推進プランでは、交付時に4,500円、7,500円、1万5,000円を負担するフリーパス方式と、乗車のつど100円負担するコイン方式の選択方式に見直すと説明を受けました。フリーパス方式は、65歳以上が対象の年間3万円の定期券である寿定期の半額1万5,000円の負担を基本にし、生活保護世帯や世帯全員が住民税非課税の低所得者には4,500円、7,500円に減額する制度です。敬老パスあり方検討会報告に例示されたものより、かなり重い負担です。 お尋ねいたします。今回、推進プランに示されたフリーパス方式及びコイン方式のそれぞれについて、交通局への負担金繰入額及び実質的な一般会計の負担は、経過措置がなくなる2012年度ではどの程度になると見込んでいるのかお尋ねいたします。 推進プランによる見直しで、今後、高齢者の市バス乗車人数はどの程度減少すると見込んでいるのか、答弁願います。 公営企業審議会答申では、見直しが実施された場合には、市バスに対し収入減の影響をもたらすおそれもあり、看過し得ないものがあると述べています。また、交通局が2008年11月26日の公営企業審議会専門部会に示した改善型地方公営企業方式で進めた場合のシミュレーションでは、2010年度から神戸方式に見直すとすれば、単年度資金収支は2010年度以降、毎年度赤字が続き、2017年度には累積資金収支が35億円から59億円の赤字になると試算しています。 しかし、交通局が推進プランにある見直しで、寿定期の半額負担を基本にすることを了承しているのは、見直しを行っても経営上市バスを維持できると判断しているからではないかと思います。この点について、明確な答弁を求めます。 次に、国民健康保険についてお尋ねいたします。 尼崎市では、1人当たり保険料が阪神間で最も高い時期があり、前市長時代に世帯主の窓口負担を2割に軽減していたものを3割に引き上げ、浮いた財源のうち約10億円を使って、阪神間平均を目指すとする対応が始まりました。その後、前市長の策定した経営再建プログラムでは、その10億円をゼロにすると発表した後、白井市長が当選されました。当選直後に、白井市長は、4億円の繰り入れを、保険料引き下げ財源の基本にしました。その後、6億円以上の赤字が出たとき、それを保険料引き上げではなく、繰り入れ増で穴埋めするようにと、市民、議会の強い要求でおおむね4年で解消ということになり、4億円の繰入額が5億5,000万円に引き上げられました。また、特定健診の受診率引き上げには随分頑張っていることも承知いたしております。 しかし、福祉事務所と並んで、国保課の窓口はともに、生活苦にあえぐ市民の声が満ちあふれています。国民皆保険の根幹を成すのが国民健康保険ですが、高過ぎる国保料が市民生活を苦しめており、滞納による資格証の発行で、医療を受けることすらできない市民が大勢います。1984年以前は、国保会計における国の負担割合は医療費の45%、保険料負担は医療費の25%でした。それが84年に改悪され、国の負担が医療費の35%、保険料負担が25%、2006年度には国の負担分の35%のうち4.9%分を県の負担としました。1984年度以降、保険料負担が医療費の25%であったものを35%に、1.4倍も引き上げたことが高い保険料の最大の要因です。 その上に、高齢化の進展、失業者、社会保険のない不安定労働者の増加、自営業者の衰退、すなわち低所得者の増加などが背景となり、国民健康保険制度の基盤そのものがますます弱くなっています。 10月に、私は、大阪社会保障推進協議会が実施した門真市の国保世帯の実態調査活動に参加しました。門真市は、生活保護率は尼崎市よりも高く、08年3月末で41.25パーミル、国保料が高いことでマスコミにも登場したことがある自治体です。尼崎市の国保料は、門真市の98%から95%です。高い国保料で苦しむ門真市民の実態は、尼崎市民の実態と共通しているとの思いで、私も調査活動に参加しました。聞き取り調査のデータの分析、解析は年末までかかるとのことですが、調査員が聞き取った生の声が既に報告されています。保険料が日々の暮らしを圧迫している。保険料が高くて滞納せざるを得ない。これ以上の負担はできない。短期証はもらっている、しかし、お金がかかるので医者に行けない。2年前にがんの手術をした。検査もお金がかかるので我慢している。特に悪いときだけ行く。自分より家族を優先的に受診させている。薬局で薬を買って様子を見ているなど、命を守るための国保が貧困を拡大し、必要な受診を控えさせていることなどが多数の方から寄せられました。 お尋ねいたします。門真市民のこれらの生の声は、尼崎市民の実態でもあると受けとめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 私は、これまでも国保法第1条、この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とすると定めていることを指摘し、国民健康保険料が高過ぎることに対して幾度となく質問してきましたが、国保は加入者で支える社会保険であるとの言葉が答弁に含まれてきたことを忘れることができません。法には、社会保険とは一言も書いてはないのです。国保はみんなで支える社会保険だといって済ませる状況ではありません。市民の死活にかかわるところまで深刻な事態に立ち至っています。 お尋ねいたします。医療という社会保障制度にアクセスするために、高額の保険料を支払わなければならず、それができない場合は医療を受けられないというのでは、社会保障制度の本来の趣旨から乖離していると言わざるを得ないと思いますが、市長の認識を伺います。 全国市長会が2005年12月に国民健康保険について、国民皆保険制度を堅持するため、保険基盤安定制度、財政安定化支援事業、高額医療費共同事業を2006年度以降も拡充・強化するとともに、国保の財政基盤を確立するべく、抜本的な財政措置を講ずることとの意見を出しています。 お尋ねします。全国市長会の意見ももちろん妥当だと思います。財政基盤を確立し、皆保険制度の根幹を担うにふさわしい医療保険にするためには、国の負担割合を計画的にもとに戻すことが不可欠です。これを国に求めるべきと思いますが、いかがですか。 次に、医療費減免制度についてです。 尼崎市には、国保法第44条に基づく一部負担金減免制度がなかったために、私は沖縄県国保審査会が法に基づく制度を実施しないのは、国保法により認められた裁量を逸脱したものであり違法との採決を下した論拠を紹介し、尼崎市でも制度をつくるようにと質問しました。その後、2004年6月から一部負担金減免制度が実施されるようになりました。 お尋ねいたします。この一部負担金減免制度実施以来の申請件数及び実施件数をお尋ねいたします。また、今年度の国保予算では、この一部負担金減免による費用をどの程度と見ているのでしょうか、御答弁お願いいたします。 これで第1問を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 山本健康福祉局長。 ◎健康福祉局長(山本博久君) 今回プランで示されたフリーパス方式、コイン方式のそれぞれについて、交通局への負担金繰入額及び実質的な一般会計の負担は、経過措置がなくなる2012年度ではどの程度になると見込んでいるのかといった御質問でございます。 経過措置後の平成24年度で、一定条件のもと試算いたしましたところ、交通局への負担金繰入額はフリーパス方式で8億1,100万円、コイン方式で5,600万円の計8億6,700万円を見込んでおります。また、実質的な一般会計の負担額につきましては、フリーパス方式で2億6,200万円の利用者負担が歳入で見込まれますことから、フリーパス方式で5億4,900万円、コイン方式で5,600万円の計6億500万円を見込んでおります。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 阿万自動車運送事業管理者。 ◎自動車運送事業管理者(阿万幸雄君) 交通局では、老人市バス特別乗車証制度の見直しの影響による老人の乗車人数の減少をどの程度見込んでいるかという御質問でございます。 老人市バス特別乗車証制度の見直しの考え方に基づき、乗車人数を試算いたしますと、約3割程度の減少となっております。 次に、老人市バス特別乗車証制度の見直しを行っても、市営バスを維持できると考えているのかといった質問でございます。 この12月1日から、武庫営業所の管理の受委託や変形労働時間制の導入などの勤務条件の見直しを行っておりますが、今後想定される老人市バス特別乗車証制度の見直しの影響などによる乗車数の減少に対応するため、現在、尼崎市公営企業審議会の答申の内容を踏まえた次期経営計画の策定に向けて、取り組み内容の追加及び精査を行っております。 したがいまして、老人市バス特別乗車証制度の見直しによる影響は大きいものの、給与水準の見直しやさらなる勤務条件の見直し等、これまで以上のコスト削減策や増収増客に向けた取り組みを進めることによりまして、当該見直しに係る影響に対しては一定対応できるものと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 浅野環境市民局長。 ◎環境市民局長(浅野悟郎君) 門真市民の生の声は、尼崎市民の実態でもあると受けとめるべきだと思うがどうかとのお尋ねでございます。 長引く景気低迷に加え、昨年来の世界同時不況により社会経済情勢は急変し、国民健康保険を取り巻く状況も一層深刻なものとなっております。本市におきましては、門真市でのような実態調査は実施しておりませんが、市役所窓口での市民対応や個別訪問時等の相談の中で、生活状況や収入状況についての国保加入者の声を日々受けておりまして、昨年末以来、その厳しさは一段と増しているところでございます。 次に、医療という社会保障制度にアクセスするために、高額な保険料を支払わなければならないのは、社会保障制度の趣旨から乖離しているのではないかとのお尋ねでございます。 国保制度は、社会保障制度の一つでございますが、社会的な相互扶助の精神に基づき、加入者により支え合う社会保険であることから、保険料は医療費等の支出に見合った額を賦課する原則となっております。また、低所得者への法定軽減に加え、厳しい財政状況のもとではございますが、被災、失業・廃業、所得激減等の市単独減免のほか財政健全化繰り入れにより保険料の軽減に努めているところでございます。 次に、国の負担割合を計画的にもとに戻すよう国に求めるべきと思うがどうかとのお尋ねでございます。 議員御指摘のとおり、昭和59年の法改正により国庫負担割合は引き下げされましたが、あわせて国保財政の負担を減少させるため、企業を退職された方々の医療費を退職者が従前勤めていた健康保険組合等に負担いただく退職者医療制度が創設されております。同制度は、国庫負担割合引き下げ相当の負担軽減効果があったものと考えておりますことから、現時点では国の負担割合に係る要望は検討いたしておりません。 なお、適宜国への要望を提出しており、本市が提案いたしました国保の財政基盤の強化策の継続等が11月20日全国市長会から国に対して要望されたところでございます。 最後ですが、一部負担金減免制度実施以来の申請件数及び実施件数はどうか。また、今年度の国保予算における一部負担金制度の費用額はどうかとのお尋ねでございます。 平成16年6月1日の制度実施以降の実績につきましては、平成16年度に2件の申請があり、10割減免1件、申請取り下げ1件という状況でございます。なお、平成21年度国保会計予算につきましては、過去3年の実績を踏まえて編成しておりますことから、一部負担金に係る費用は計上しておりませんが、一部負担金減免制度を適用した場合には、療養給付費から執行することとなります。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 松村ヤス子さん。   (松村ヤス子さん 登壇) ◆43番(松村ヤス子さん) 私は、市バスも守らなければならないと思っていますから、負担金が少なければ少ないほどいいとは思っていません。考え方の問題として柔軟にすべきではないか、有料化で高齢者の市バス乗車を制限するのでなく、よりよい着地を探るべきではないかというのが本意なのです。今、答弁をいただきましたけれども、市の負担は大体14億円ぐらいから6億円ぐらいまで少なくなります。そして、3割もの高齢者がバスに乗らない、乗れない、こういう状況になります。これをどうやってお年寄りに安心して乗っていただけるかということを考えるのが本来交通局であり市行政の責務だと思って、9月議会から一貫してこの問題を取り上げているところです。 公営企業審議会答申で、敬老パスの見直しで市バスの収入減のおそれがあり、見過ごすことができないと懸念を表明していますが、1問目の答弁で、敬老パスを推進プランどおりに実施しても、市バスの経営は何とか維持できる、その方向性が明確に答弁されました。ということは、その金額でやっていける、やっていけるのであれば高齢者を乗せてあげても経費はふえないということを示しているわけです。 そこで、制度を見直した場合、市バスの収入と高齢者の負担額はどうなるのか。当局の資料をもとに、私が計算しました。敬老パス利用者による運賃収入は、フリーパス方式の負担金とコイン方式の補助金及びバス乗車時に払うバス代の合計額、高齢者の負担額はフリーパス交付時の一部負担金とコイン方式でのバス代の合計です。2010年度は運賃相当額は9億1,470万円、高齢者の負担が1億8,870万円、21年度は運賃相当額が8億8,350万円、高齢者の負担が2億2,230万円、2012年度は運賃相当額が9億2,300万円、高齢者の負担が3億1,800万円です。現行制度のまま推移した場合、高齢者人口が最高になる2025年度で、市の負担、言いかえれば運賃相当額が19億4,700万円と見込んでおり、これでは市の財政がもたないとして見直しが提案され、今回の見直しで運賃相当額が11億4,800万円、高齢者の負担が3億9,600万円となっています。19億4,700万円から11億4,800万円、ここまで市の負担が少なくなるというのが今回の見直しです。 要するに、当面は10億円程度、最高時でも11億5,000万円の繰り入れ、言いかえれば、現行制度による市の負担金の70%程度、最高時では60%程度、これだけ交通局の収入として市から入れば、交通局は経営上大丈夫だと判断していることになります。 お尋ねいたします。私は、市バスを維持できる最低限の繰入額を協議してと一貫して求めてきましたが、その最低額と今回の見直しによる運賃相当額との間に、どの程度の差があるのか答弁願います。 2008年度の自動車運送事業費会計の決算審議で、自動車運送事業管理者は、環境問題の関心の高まりにより、公共交通機関を利用するという流れも出てきており、この状況は市バスにとっては追い風と考えている。これから打って出て、乗客を多く呼び込み、引き戻してくるというような形で経営していきたい。来年度に向けて、ぜひともそういうセクションを設けて、打って出るような体制をこしらえたいと思っていると意気込みある答弁をしました。ぜひ乗客をふやすために頑張ってほしいと思います。 今回の見直しは当局自身が高齢者の乗車数を大幅に減少させるものと予測しています。本当にそれでいいのでしょうか。何度も申し上げますが、高齢者の乗車数がふえても、市バスの経費に影響がありません。自動車運送事業管理者に質問します。これ間違いありませんね。私は棒グラフで見ましたけれども、経費はほとんど同じです。だから、高齢者の人数がふえても、市バスの経費には変わりがないというふうに認識しておりますが、おおむねこれは間違っていないと思いますが、確認の答弁をお願いします。 制度見直しをしたときの運賃相当額と同程度の繰り入れが確保されれば市バスは大丈夫なのですから、先ほどの答弁でした。問題は、見直し制度を実施した場合の3億数千万円の高齢者の新たな負担です。それをゼロにすることが高齢者の願いにこたえることになります。市の負担額は、現行に比べて7億円から8億円、最高時では12億円もの削減が見込まれているわけです。日本一のノンステップバス導入の尼崎市です。高齢者に優しい市バスとしての意気込みを大いに生かしてほしいと思っています。市も協調補助でお金を出しています。高齢者のためにお金を出しているんです。ならば、今まで答えていた尼崎市流の考え方をやめて、他の多くの自治体で実際の運賃ではないけれども、お互いに折り合いのつくところで実施している、そういう考え方に切りかえてもらいたい。そうすれば、高齢者に負担金を求めなくても、もう少しの頑張りでバスに乗っていただくことができるわけです。高齢者の負担相当の3億数千万円を市並びに交通局で何とか吸収するよう、両者で協議して無料制度を維持することも再度求めます。いかがでしょうか。 私は今回、具体的に案が出て、具体的に市の負担がどうなるのか、高齢者の負担がどうなるのか、そしてそれに対して市バスのほうが了承しているということはやっていけるという答弁もいただいたんです。ならば、その範囲で高齢者だけ無料で乗せてあげることが可能だという道筋を明らかにしたんです。あとは理屈を変えるだけなんです。 パラダイム何とか、シフトとか言っていましたね。あれをこういうときにこそ持ってきたらええんじゃないですか。考え方の基本を変えてほしい。前もそう言ったんです。今回は具体的に数字が示されたので、その立場に立って質問しましたので、再度答弁を求めます。 次、国民健康保険に行きます。 本当に大変な実態、その実態、実情については国保課も十分認識をされている。そのことが先ほどの答弁で明らかになりました。本当にこのままでいいのでしょうか。 今年度、2009年度の阪神間各市の保険料を比較しました。医療分と支援金分について、尼崎市を除いた阪神7市の1人当たり平均は8万8,650円で、尼崎市は8万4,757円です。阪神8市では5番目ですから、1人当たり額は高いほうではありません。生活実態に照らしてどうかを調べるために、4人世帯、5人世帯で5つのパターンで計算方法が同じ阪神7市を比較しました。そのうち子供が2人、3人の世帯を紹介します。所得200万円、40歳未満の夫婦に子供2人では、尼崎市が最高で35万4,192円。最低の宝塚市が26万3,050円。所得に対して尼崎市は17.7%です。所得300万円、40歳以上の夫婦に子供2人では、尼崎市が最高で54万312円、所得の18.0%。最低の宝塚市が41万3,216円。所得300万円、40歳以上の夫婦に子供3人では、尼崎市が最高で56万7,420円、所得の18.9%。最低の宝塚市が44万216円。この3パターンでは尼崎市が最も高く、最も安い宝塚市の1.3倍もの保険料です。単身世帯でも、尼崎市が最も高いのは変わりがありません。また、1人当たり保険料が一番高い芦屋市は、このパターンで見ると、7市中5番目か6番目であり、1人当たり保険料が最も低い宝塚市は、パターンで見ても一番低い保険料です。 このように、1人当たり保険料と各世帯の実際の保険料とは同じ傾向ではありません。4人、5人世帯で、国保料だけで所得の約20%を占めるのは、まさに異常です。国保料以外に国民年金、所得税、住民税、保育料、幼稚園保育料、子供の教育費関係、それに家賃などの固定的な費用を差し引くと、可処分所得は相当少なくなり、その生活は困窮状態といって差しさわりありません。 私たちも以前は、尼崎市の1人当たり国保料が阪神間で最も高いと指摘し、引き下げの署名運動などもしてきました。しかし、尼崎市の場合、高額所得者が少なく、低所得者が多いために、1人当たり保険料だけを目安にしても、実質的な保険料は他都市より高くなっています。1人当たりの単純平均では、生活実態から見て適正かどうかを把握することができません。 お尋ねします。同じ家族構成、同じ所得で比較した場合、尼崎市の国民健康保険料は全県で見た場合、どの位置にあるのか答弁願います。1人当たり保険料でなく、個々の家庭の生活実態から見ての負担が問題です。阪神間平均を目指すというのであれば、4人世帯などで同一世帯の実質的な保険料の平均を目指すなど、目標とする基準を変えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 新日本出版社の雑誌「経済」12月号は、子供の貧困と格差を特集しています。その中で、後藤道夫、都留文科大学教授の論文が掲載されています。18歳未満の子供のいる世帯の平均年収は、1996年の782万円から2007年の691万円と、11年間で90万円も減っており、97年から2006年までの9年間で、450万円未満の低所得層が22.7%から35.5%と大幅にふえ、子育て世帯の貧困化が進んでいるとあります。そして、年収400万から500万円が貧困ラインの区切りになると言っています。貧困ラインの区切りになる年収500万円、40歳以上2人と子供2人の4人世帯の場合、社会保険料であれば約21万円、ところが尼崎市の国保料では58万3,356円です。国保世帯の貧困度合いは社会保険加入世帯より深刻です。高過ぎる国保料は貧困家庭をさらに痛めつけることになり、子供の養育、教育にも悪影響をもたらすものと言わざるを得ません。08年度の尼崎市の国保世帯に占める滞納世帯は23.7%ですが、1人世帯は23.6%、2人世帯は16.2%、3人世帯は30.6%、4人世帯以上になると44.8%、特に4人以上世帯の所得500万円未満では、実に50%を超える世帯が滞納世帯です。未来を担う子供たちのいる世帯で、貧困ラインと言われる所得階層での滞納世帯数の多さは、このまま放置できる状況ではありません。 お尋ねいたします。国保世帯で4世帯のうち1世帯が滞納している最大の要因は、所得に比べて高過ぎる国保料だと思います。市長の認識はいかがでしょうか。下げる努力を求めますが、いかがですか。 また、4人以上世帯に対する特別の対応が必要です。一般財源による新たな減免制度を実施すべきと考えます。未来の子供たちのために、今の暮らしを支えてやってください。御答弁願います。 先ほど答弁をいただきましたが、国保法第44条に基づく尼崎市の医療費の減免制度がつくられて以来の5年間で、適用されたのはたったの1件です。 お尋ねいたします。制度はつくられたけれども、こういう状況、現実には極めて利用されにくい、利用させない制度にしているからではないのですか。また、この制度で困った人を救済しようとする精神そのものがないということではないのでしょうか。答弁を求めます。 しかし、同じ制度であっても、適用基準などの違いから、東大阪市では、年間6,000件近くもあり、尼崎市とは雲泥の差です。私が4年前の12月議会で、利用しやすい制度に見直すよう求めたときの答弁は、利用しやすい制度とは、現行の基準を緩和していくことと認識するが、国民健康保険が社会保険制度であること、また当該制度の財源が保険料となっていることなどから、国民健康保険としては現制度の運用は適切なものであると考えている。また、当該制度を国民健康保険制度の中で運用している以上、保険料を財源として実施することが基本であるとの答弁でした。 尼崎市が適切な運用というのであれば、利用実績の多い他都市は不適切な運用をしていることになるのでしょうか。本市の要綱では、一時的に収入が減っても、3カ月の平均収入月収が生活保護法の基準生活費の120%以下になった場合で活用すべき資産がないこと、世帯に稼働能力のある人がいる場合は就労していることなど、生活保護適用と同等の条件を必要としています。 お尋ねします。資産要件をなくすか、預貯金の保有を例えば100万円以下とするなど、見直すべきと思います。答弁願います。 ことしの6月18日の参議院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃議員がこの第44条に関して質問し、政府委員が次のように答弁しています。1、国保法第44条により、すべての自治体で独断の定めがなくても実施することが可能である。2、同時に、2007年度の調査では、条例等で基準を持っているのは1,818自治体のうち1,003であり、その中でも低所得者を基準としているのはわずか155にすぎない。3、生活が困窮している人にはセーフティーネットをさらに広げる努力が必要である。4、負担分の半分ぐらいは国が見ることができないか検討している。セーフティーネットは重層的にさまざまなものがあってよいです。低所得者への医療費軽減策の必要性が増していることを政府も認めざるを得なくなっているわけです。それだけに医療を受けられない市民を生まないように、自治体から大いに声を上げることが必要です。 お尋ねいたします。国民健康保険料には、国の制度として低所得者保険料について低所得者軽減制度があります。医療費についても低所得者に軽減する制度の創設を国に求めるべきですが、いかがでしょうか。 これで2問目を終わります。(拍手) ○議長(蔵本八十八君) 答弁を求めます。 中村副市長。 ◎副市長(中村昇君) 高齢者の負担相当の3億数千万円を市並びに交通局で何とか吸収するよう、両者で協議して無料制度を維持することを求めるがどうかという御質問でございます。 今回、老人市バス特別乗車証の件につきましては、公営企業で運営しております市バス事業と、福祉制度で負担をしております特別乗車証のあり方、両方をそれぞれに検討しながら進めてきたものでございます。公営企業審議会の答申は、当面、公営企業法に基づく公営企業方式での運営をするようにという答申をいただいております。したがいまして、尼崎市の市バス運営事業は、公営企業法に基づく公営企業としての運営を原則として、今後も運営をしていくということになります。その中で、私ども市のほうで負担をしておりますけれども、これはあくまでも乗車率に基づく負担として、乗車運賃の負担としてお支払いをしているということになっております。 そのことを踏まえまして申し上げますと、今回、将来にわたってこの制度を安定的に運営できるようにしていくために、現在無料でありますものを、市のみならず利用者も含めましてこの制度を支え合うと、そういった考え方のもとに、半額を基本に、事業運営に係る経費負担を利用者にもお願いをしていくという考え方に基づくものでございます。これは、尼崎市老人市バス特別乗車証のあり方検討委員会でもいろいろ御協議をいただいて、その考え方を踏まえたものでございます。 このように、これまでこの制度の見直しに当たりましては、交通局とも協議を行いながら進めてきたものでございます。この制度は、今申し上げましたように、高齢者の生きがい、あるいは社会参加等を目的とした福祉制度として今後も続けていこうというものでございますので、今後、対象者数が増加し、また事業費が増加することが確実に見込まれておりますので、現在の尼崎市の収支均衡もはかりがたい。例えば今回の健全化プランでお示しをしておりますように、今回はこの分も含めまして、22年度に向けましては28億円の構造改善額を生み出そうとしておりますけれども、それでもなお94億円の収支不足が見込まれているところでございます。 その収支不足、今後この老人市バス事業、翌年度以降も多額の負担を、増額が見込まれる中でありますので、22年度におきましてもこうした状況をどうして克服するかという方向が定まっていない状況の中で、この福祉制度を何とか維持していくためには、利用者の皆さんにも御負担をいただかざるを得ないという判断をしているところでございます。 そして、これは検討委員会の中でも、検討会でも市民のアンケートを求めておりますけれども、70歳以上の皆様方に対するアンケートの中でも、もちろん両方の御意見がございますが、市の負担に対して無料で行っているものについても負担を求めるべきだという意見も3割ございますし、70歳未満の方のアンケートの中では、無料にしておるものの負担を求めるべきだという御意見が4割ございます。そうした意味で、市民の皆さんの中でも、やはり無料ではなく、負担をしていってもいいですよという方々があるということを踏まえて、今後長期的にこれを安定的に運営していくためには、今回こうした見直しをせざるを得ないということで、市民の皆さんにも御協力をお願いしていく、そういう考え方で御提示しているものでございます。 以上です。 ○議長(蔵本八十八君) 阿万自動車運送事業管理者。 ◎自動車運送事業管理者(阿万幸雄君) お年寄りが、高齢者の方の乗車がふえても経費は変わりはないかという御確認の御質問からお答えいたします。 交通事業は、乗っていただいて料金をいただくという原則がございます。それを除きますと、お年寄りが乗られたら、経費そのものは変わりません。 次に、市営バスを維持できる最低限の繰入額と、今回の見直しによる運賃相当額にどの程度の差があるかというお尋ねでございます。 先ほども御答弁申し上げましたとおり、現在、次期経営計画を策定中でありますが、その中で、老人市バス特別乗車証制度の見直しによる収入の減額の影響を見込んだ中でも、市営バスの経営は何とか維持できるのではないかと考えております。 以上でございます。 ○議長(蔵本八十八君) 浅野環境市民局長。 ◎環境市民局長(浅野悟郎君) 国保問題の一連の御質問に順次お答えいたします。 まず、同じ家族構成、同じ所得で比較した場合、本市の国保料は全県で見るとどの位置にあるのかとのお尋ねでございます。 議員御指摘のとおり、総所得200万円で4人世帯、総所得300万円で4人または5人世帯であれば、阪神7市では本市が一番高い保険料となっております。県下での位置につきましては、本市の国保料算定が所得割、均等割、平等割の合計額でございますが、土地や家屋にかかる固定資産税額に基づく資産割も合計する市町が66%もあることや、所得割についても算定基礎となる所得の種類が異なる市もあることから、総所得と加入人数のみによる全県での比較は困難でございます。 次に、阪神間平均を目指すのであれば、1人当たり平均保険料ではなく、4人世帯などの同一世帯の実質的な保険料の平均など、目標とする基準を変えるべきではないかとのお尋ねでございます。 本市国保料は、阪神間並み水準を維持するという基本的考え方のもと、阪神間平均1人当たり保険料を指標として予算を編成してきております。これは従来、国保料が阪神間でも一番高かったという実態があったことから、少しでも納めやすいようにと、阪神間並み水準を基準に設定するという考え方を再建プログラム等で明らかにしたものでございます。 なお、現行の国保制度は、市町村単位で運営しており、それぞれの自治体によって医療費や所得、世帯人員等に相違がございますので、保険者間の保険料負担の比較においては、国や県の事業統計に用いる1人当たり平均保険料を採用しているものでございます。 次に、4世帯に1世帯が滞納している最大の原因は、所得に比べ高過ぎる保険料だと思うがどうか。保険料引き下げの努力はどうか。4人以上世帯に一般財源による新たな減免制度を実施すべきと考えるがとのお尋ねでございます。 一般的に保険料が引き上がれば、滞納につながる世帯が増加いたしますが、滞納の原因につきましては、国保制度のあり方についての構造的問題があると認識いたしております。国保制度は、高齢者、無職者、リストラされた方、フリーターなどの受け皿となっており、また年金生活者については、平成15年度から平成18年度にかけて年金給付がマイナス改定となるほか、社会経済情勢の悪化を受け、国保加入者の所得が低下していることなども、滞納増加の大きな要因であると考えております。 次に、保険料の引き下げにつきましては、国庫支出金の獲得努力や保険料収納率向上対策の取り組み、ヘルスアップ尼崎戦略事業等の推進による医療費適正化の努力を鋭意継続しているところでございます。 また、多人数世帯への新たな減免制度につきましては、一般会計からの繰入金の増額が必要であり、現在の危機的な一般会計の財政状況を勘案いたしますと、困難であると考えております。 続きまして、本市一部負担金減免制度は極めて適用されにくい、利用させない制度ではないか。また、困った人を救済しようとする精神がないのではないかとのお尋ねでございます。 本市の一部負担金減免制度につきましては、収入の著しい減少などの特別な理由により、一部負担金を支払うことが困難であると認められる国保加入者に対し、緊急避難的な制度として実施しているものでございます。その適用範囲や基準については、本市の取扱要綱においても、阪神間各市とほぼ同様の内容となっておりますので、本市の制度が特別なものであるというわけではございません。 続きまして、一部負担金減免制度の資産要件をなくすか、預貯金の保有を100万円以下とするなどの見直しが必要なのではないかとのお尋ねでございます。 一部負担金減免制度の運用に当たりましては、生活保護法による保護の実施要領に基づく取り扱いを基本としているため、資産の保有があれば売却を原則とし、預貯金の解約や生命保険の解約返戻金等を活用していただくことが前提となっております。御指摘の資産要件につきましては、阪神間各市、中核市等の詳細な調査をしておりませんので、今後、調査検討してまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、減免適用基準を緩和していくためには、その財源を保険料か新たな一般会計繰入金に求めることとなり、本市の国保財政及び一般会計の財政状況からは、現時点では困難であると考えております。 ○議長(蔵本八十八君) この際申し上げます。 答弁中ではありますが、所定の時間になりましたので、松村ヤス子さんの質問は終わりました。 これをもって質問を終結いたします。 日程第2 議案第135号 訴えの提起についてを議題といたします。 提案理由の説明を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) 提案理由を御説明申し上げます。 議案第135号 訴えの提起につきましては、冷凍倉庫に対する固定資産税等の課税に係る損害賠償請求事件について、第一審判決において、本市に対して損害賠償金の支払いが命じられたことから、その取り消しを求めて、大阪高等裁判所に控訴しておりましたところ、平成21年11月26日、控訴を棄却する判決が出されたことから、それを不服として上告するため議決を求めるものでございます。 よろしく御審議を賜り、御賛同いただきますようお願い申し上げます。 ○議長(蔵本八十八君) 説明は終わりました。 これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。 質疑はありませんか。 質疑なしと認めます。   (「議長」と呼ぶ者あり) ○議長(蔵本八十八君) 辻修君。 ◆31番(辻修君) この際、動議を提出いたします。 ただいま議題となっております議案第135号については、会議規則第39条第3項の規定により、委員会への付託を省略し、直ちに採決されることを望みます。   (「議長」と呼ぶ者あり) ○議長(蔵本八十八君) 荒木伸子さん。 ◆38番(荒木伸子さん) ただいまの辻修さんの動議に賛成いたします。 ○議長(蔵本八十八君) ただいま辻修君から、議題となっております議案第135号については、委員会への付託を省略し、直ちに採決されたいとの動議が提出され、所定の賛成者がありますので、動議は成立いたしました。 よって、本動議を直ちに議題とし、採決いたします。 お諮りいたします。 本動議のとおり決することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(蔵本八十八君) 異議なしと認めます。 よって、本動議は可決されました。 したがいまして、議案第135号については、委員会への付託を省略し、直ちに採決に入ることに決定いたしました。 これより採決に入ります。 議案第135号は原案のとおり決することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(蔵本八十八君) 異議なしと認めます。 よって、議案第135号は原案のとおり可決されました。 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 お諮りいたします。 委員会審査のため、明5日から15日まで11日間休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(蔵本八十八君) 異議なしと認めます。 よって、明5日から15日まで11日間休会することに決定いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。                        (午後5時55分 散会)-----------------------------------議長   蔵本八十八副議長  杉山公克議員   真崎一子議員   松村ヤス子...